カテゴリー: 1.漬物つけもの

No.30で紹介しょうかいした「ひっぱり」のほかに山形やまがた内陸ないりく部ぶには、もう一ひとつ簡易かんいなソールフードがある。それは「水みずかけご飯めし」と称しょうされるものである。常々つねづね私わたしは、この簡単かんたん簡易かんいめしこそソウルフードと言いわれるものになる一番いちばんの近道ちかみちだと思おもっている。人間にんげんは怠惰たいだなのである。毎日まいにちのルーティンである食生活しょくせいかつにそんな情熱じょうねつを込こめて、真摯しんしに取とり組くんでいたら、仕事しごとにも支障ししょうをきたしてしまうだろ。あんまり労力ろうりょくをかけずに、それでいて、そこそこイケルものが食たべられるなら、それに越こしたことはないない。そして、それに飽あきがこないが伴ともなえば、完璧かんぺきなソウルフードなる可能かのう性せいがあるのである。例たとえばインスタントラーメンは、現在げんざいでは、日本人にっぽんじんのソウルフードと称しょうされているが、「安やすくて、早はやく、旨うまい」という三拍子さんびょうしが揃そろった典型てんけい的てきな例れいではないだろうか。だが、注意ちゅういしなければならないのが、こういうものに限かぎって、食たべ過すぎると余あまり体からだにはよくないということである。まあ、何なにでも過すぎることは、心こころ（頭あたま）にも身体しんたいにもよくないのであるが…。

　今回こんかいご紹介しょうかいする「水みずかけご飯めし」も、とかく食欲しょくよくのなくなる夏場なつば（私わたしは全然ぜんぜんなくならないですが）にはピッタリの一品いっぴんで、素晴すばらしいのは食欲しょくよくがなくてもいくらでも腹はらに収おさまってしま魔法まほうの食たべものなのであるが、これが欠点けってんで、決けっして体からだにはよくない。それでもという覚悟かくごが必要ひつような食たべ物ものなので注意ちゅういしていただきたい。それでは「水みずかけご飯めし」とはいかなるものなのか。分わかりやすく例たとえれば「お茶漬ちゃづけの冷つめたい水みず」版ばんである。実じつは、オジサン、「バター飯めし」と「水みずかけご飯めし」は全国ぜんこくどこでも普遍ふへん的てきに食たべられているものだと思おもったが、そんなもの食たべてたことない民みんがいることに、ぶったまげたのである。「水みずかけご飯めし」はまだしも「バター飯めし」を食たべたことがないなどは、生いきているのに可哀かわいそうだなと（大おおげさかな）。また「水みずかけご飯めし」の方ほうは、食たべたことがないのは頷うなづけるが、もったいないと思おもうしかない。食たべてみてよーと叫さけぶしかない。

　それでは、食たべたことのない人ひとに「水みずかけご飯めし」レシピをご紹介しょうかいしたい。まず、余あまってしまった炊飯すいはんジャーの白しろ飯めし（電源でんげんを切きって１日にち置おいておいた方ほうがベストなのだが）をザルにあけ、水みずでよく洗あらう。よく洗あらい流ながした白しろ飯めしを冷水れいすいと氷こおりを入いれた丼どんぶりに移うつし、それで完成かんせい。冷蔵れいぞうした白しろ飯めしは、30秒びょうくらいレンジでチンをしてザルにいれる。そして、お茶漬ちゃづけのように、お好すきなご飯はんのお供ともを用意よういして、サラサラと食たべるだけである（紹介しょうかいするほどでもなかった）。昔むかしはレンジなどないのでご飯はんは常温じょうおん保存ほぞんしかなかったため、腐くさりかけで硬かたくなったご飯はんを如何いかにして美味おいしく食たべるかということで編あみ出だされたものだと思おもうのだが、如何いかか。そのため今いまや「水すいかけ」にして食たべる必要ひつようはないのだが…。たまに食たべると、特とくに夏なつに食たべると結構けっこうなのである。

　私わたしの今回こんかいのお供ともは、山形やまがた内陸ないりく部ぶのぺちょら漬づけとおかかネギ、新潟にいがたのめし喰くらえ（味噌みそ）。ぺちょら漬づけなど聞きいたことがない方ほうがいるだろうが、これは山形やまがた県けん人じんでも聞きいたことがない人ひとが多おおくいるマニヤックな漬物つけもので、ナスを独特どくとくの汁しるに付つけ込こんだ（鷹たかの爪つめが入はいっているので少すこしピリ辛からし）もの。オジサンが山形やまがたの母親ははおやの実家じっかへゆくと必かならず食卓しょくたくに出でてくる漬物つけもので、伯母おばのぺちょら漬づけは最高さいこうに旨うまく、何なん度どもおかわりをした記憶きおくが残のこっている。東京とうきょうで買かえるのは銀座ぎんざの山形やまがたのアンテナショップ「おいしい山形やまがたプラザ＊」だけだが、やはり袋ふくろにずーっと漬つかっているので、ナスも柔やわらかくなりすぎていて、伯母おばのとは似にて非ひなるものだが、市販しはんするにはこの味あじが限界げんかいなような気きもする。因ちなみに山形やまがた「だし」なるものが最近さいきんよく販売はんばいされているが、これもほんまもんの「だし」とは似にて非ひなるもので、オジサンにとってはこの出回でまわっている「山形やまがただし」は「だし」ではない。なんだか話はなしは別べつの方角ほうがくにそれてしまったが、基もと（もとい）この「水みずかけご飯めし」、もっと普遍ふへん的てきになってよいと思おもうのだが、はしたないと言いえばはしたない食たべ物ものなので、お里さとがよろしい人ひとが食たべるものではないわな。因ちなみに芸能げいのう界かいでは、さすがの大食漢たいしょくかんだけあって、美味おいしいものをご存ぞんじな俳優はいゆう・渡辺わたなべ徹とおるがこの「水みずかけご飯めし」が好物こうぶつで、何なにととんかつと一緒いっしょに食たべていたというのだから、これはいかんがなと思おもうしかない（だが、とんかつ茶漬ちゃづけ「新宿しんじゅくすずや」があるのだからこれもアリか）。早死はやじににしてしまうのも肯うなずけるが、食たべて食たべて食たべまくって死しんだのだから幸しあわせだったのだろう（合掌がっしょう）。話はなしがまたそれてしまったが、オジサンはひょっとすると、山形やまがた名物めいぶつ冷ひやしラーメンも、この「水みずかけご飯めし」からの発想はっそうで考かんがえられたものと推測すいそくするのだが穿うがち過すぎか。アイデアがアイデアを生うむ。最高さいこうではないか。胃いにはよくはないが一いち度どはお試ためしあれ。