アパート経営けいえいの年収ねんしゅうはどれくらい？　必要ひつような投資とうし額がくや融資ゆうしの年収ねんしゅう倍率ばいりつも解説かいせつ

1. アパート経営けいえいの建築けんちく費ひと利回りまわり

最初さいしょにアパート経営けいえいの建築けんちく費ひと利回りまわりについて解説かいせつします。
アパートの建築けんちく費ひの坪つぼ単価たんかは下表かひょうの通とおりです。

2階かい建だてアパートの場合ばあい、構造こうぞうは木造もくぞうまたは軽量けいりょう鉄骨てっこつ造づくりを選択せんたくします。
昨今さっこんのアパートは、国内こくないシェアが上位じょういのハウスメーカーが軽量けいりょう鉄骨てっこつ造づくりを得意とくいとしていることもあり、軽量けいりょう鉄骨てっこつ造づくりが主流しゅりゅうです。

また、首都しゅと圏けん及および関西かんさい圏けんにおけるアパートの平均へいきん賃料ちんりょうは以下いかのようになっています。

建築けんちく費ひの坪つぼ単価たんかと賃料ちんりょうが分わかれば、各かく地域ちいきにおける利回りまわりをある程度ていど推測すいそくすることが可能かのうです。

利回りまわりの一ひとつとして、「表面ひょうめん利回りまわり」というものがあります。
表面ひょうめん利回りまわりとは、年間ねんかん家賃やちん収入しゅうにゅうを建物たてもの投資とうし額がくで割わった利回りまわりのことです。

アパート経営けいえいは元々もともと土地とちを持もっている人ひとが行おこなうことが多おおいので、ここでは分母ぶんぼに土地とちの投資とうし額がくを含ふくまない形かたちで計算けいさんします。

表面ひょうめん利回りまわりの計算けいさん式しきは以下いかの通とおりです。
・表面ひょうめん利回りまわり＝年間ねんかん賃料ちんりょう収入しゅうにゅう÷建物たてもの投資とうし額がく

建築けんちく費ひの坪つぼ単価たんかを90万まん円えんとした場合ばあい、各かく地域ちいきの表面ひょうめん利回りまわりは下表かひょうのようになります。

2. 収入しゅうにゅう別べつに見みる必要ひつような投資とうし額がく

この章しょうでは収入しゅうにゅう別べつに見みる必要ひつような投資とうし額がくについて解説かいせつします。

2-1. 収入しゅうにゅう500万まん円えんのアパート経営けいえい

年間ねんかんの家賃やちん収入しゅうにゅう500万まん円えんのアパートは、月額げつがくの家賃やちん収入しゅうにゅうが41.6万まん円えんとなります。
前章ぜんしょうで示しめしたように東京とうきょう都とのアパートの平均へいきん賃料ちんりょうは1戸こあたり「月つき7.1万まん円えん」、面積めんせきは1戸こあたり「27.79平米へいべい」でした。

41.6万まん円えんを7.1万まん円えんで割わると約やく5.9戸ことなり、6戸こ以上いじょうあれば年間ねんかん家賃やちん収入しゅうにゅうが500万まん円えんを超こえることになります。

東京とうきょう都との1戸こあたりの面積めんせきの平均へいきんは「27.79平米へいべい」ですので、6戸こ作つくると「166.74平米へいべい」となります。

166.74平米へいべいは「約やく50坪つぼ(＝166.74×0.3025)」です。
建築けんちく費ひの坪つぼ単価たんかを坪つぼ90万まん円えんとすると、4,500万まん円えんの投資とうし額がくが必要ひつようとなります。

アパートの延のべ床ゆか面積めんせきは、敷地しきちに指定していされている建けんぺい率りつと容積ようせき率りつによって決きまります。
建けんぺい率りつとは、建築けんちく面積めんせき(概おおむね建物たてものを上うえから見みたときの面積めんせきのこと)の敷地しきち面積めんせきに対たいする割合わりあいのことです。
容積ようせき率りつとは、延のべ床ゆか面積めんせきの敷地しきち面積めんせきに対たいする割合わりあいになります。

建けんぺい率りつと容積ようせき率りつは、用途ようと地域ちいきと呼よばれる建築けんちく可能かのうな用途ようとを定さだめた地域ちいきごとに指定していされています。

建けんぺい率りつと容積ようせき率りつが最もっとも厳きびしく指定していされている用途ようと地域ちいきには、「第だい一種いっしゅ低層ていそう住居じゅうきょ専用せんよう地域ちいき」と呼よばれる低層ていそう住宅じゅうたくに係かかる良好りょうこうな住居じゅうきょの環境かんきょうを保護ほごするための地域ちいきがあります。

第だい一種いっしゅ低層ていそう住居じゅうきょ専用せんよう地域ちいきは戸建こだて住宅じゅうたく街がいに指定していされる用途ようと地域ちいきですが、アパート建築けんちくも認みとめられています。

第だい一種いっしゅ低層ていそう住居じゅうきょ専用せんよう地域ちいきでは、建けんぺい率りつが50％、容積ようせき率りつが100％といったような数値すうちで指定していされていることがよくあります。

ここで、建けんぺい率りつが50％、容積ようせき率りつが100％と指定していされている50坪つぼの土地とちを例れいに考かんがえます。
1階かいと2階かいの各かく面積めんせきは、土地とち面積めんせきと建けんぺい率りつにより最大さいだいで25坪つぼ(＝50坪つぼ×50％)となります。
また、延のべ床ゆか面積めんせきは、土地とち面積めんせきと容積ようせき率りつにより最大さいだいで50坪つぼ(＝50坪つぼ×100％)です。

よって、都内とないで50坪つぼの土地とちを持もっている人ひとであれば、建けんぺい率りつと容積ようせき率りつが50％と100％で指定していされていていても、約やく4,500万まん円えんの投資とうしで2階かい建だてアパートを建たてることで家賃やちん収入しゅうにゅう500万まん円えんを得えることができます。

2-2. 収入しゅうにゅう1000万まん円えんのアパート経営けいえい

前節ぜんせつと同様どうように考かんがえると、年間ねんかんの家賃やちん収入しゅうにゅう1,000万まん円えんのアパートは、月額げつがくの家賃やちん収入しゅうにゅうは83.3万まん円えんが必要ひつようです。

東京とうきょう都とのアパートの平均へいきん賃料ちんりょう「月つき7.1万まん円えん」、平均へいきん面積めんせき「27.79平米へいべい」を前提ぜんていにすると、戸数こすうは12戸こ、延のべ床ゆか面積めんせきは約やく100坪つぼとなります。

建築けんちく費ひの坪つぼ単価たんかを坪つぼ90万まん円えんとすれば、必要ひつような投資とうし額がくは9,000万まん円えんです。
また、土地とちの広ひろさとしては100坪つぼの面積めんせきが必要ひつようとなります。

2-3. 収入しゅうにゅう1億おく円えんのアパート経営けいえい

年間ねんかんの家賃やちん収入しゅうにゅう1億おく円えんは、前節ぜんせつの家賃やちん収入しゅうにゅう1,000万まん円えんのアパートが10棟むね分ぶんということです。
必要ひつような建物たてもの投資とうし額がくは9億おく円えん、必要ひつような土地とちの広ひろさは1,000坪つぼということになります。

ただし、本当ほんとうに都内とないで1,000坪つぼの土地とちを持もっていれば、オフィスビル等とうのさらに高こう収益しゅうえきな土地とち活用かつようが可能かのうです。

3. 年収ねんしゅうの求もとめ方かた

この章しょうでは年収ねんしゅうの求もとめ方かたについて解説かいせつします。

3-1. NOIの求もとめ方かた

アパート経営けいえいのような不動産ふどうさん投資とうしでは、NOI (エヌオーアイ：Net Operating Income)という言葉ことばがよく出でてきます。
直訳ちょくやくすれば「実質じっしつ的てきな運用うんよう益えき」です。

NOIは、自己じこ資金しきん100％(借入金かりいれきんなし)で投資とうしをした場合ばあいの物件ぶっけんから得えられる収入しゅうにゅうというイメージになります。
・NOI＝年間ねんかん家賃やちん収入しゅうにゅう－NOIの費用ひよう

年間ねんかん家賃やちん収入しゅうにゅうから差さし引ひくNOIの費用ひようの項目こうもくは以下いかのものになります。

【NOIを求もとめるときの費用ひよう】
・固定こてい資産しさん税ぜいおよび都市とし計画けいかく税ぜい
・損害そんがい保険ほけん料りょう(火災かさい保険ほけん等とう)
・管理かんり委託料いたくりょう(管理かんり会社かいしゃへ支払しはらう管理かんり料りょう)
・軽微けいびな修繕しゅうぜん費ひ(クロスの張替はりかえ費用ひようや空室くうしつ対策たいさく費用ひよう等とう)
・入居にゅうきょ者しゃ募集ぼしゅう費用ひよう(仲介ちゅうかい手数料てすうりょう)

NOIを求もとめるときの費用ひようは「借入金かりいれきんの返済へんさい額がく」や「減価げんか償却しょうきゃく費ひ」が含ふくまれていない点てんがポイントです。

借入金かりいれきんの返済へんさい額がくは、アパートオーナーの資金しきん力りょくに依存いぞんするものであり、物件ぶっけんそのものの稼かせぐ力ちからとは関係かんけいないため、控除こうじょする項目こうもくに含ふくめないことになっています。

また、減価げんか償却しょうきゃく費ひは実際じっさいに支出ししゅつを伴ともなう費用ひようではないことから、NOIの計算けいさんでは含ふくめないのがルールです。
減価げんか償却しょうきゃく費ひとは、建物たてものの取得しゅとく原価げんかを各かく会計かいけい期間きかんに費用ひようとして配分はいぶんするために発生はっせいする会計かいけい上じょうの費用ひようのことを指さします。
NOIの費用ひようの合計ごうけい額がくは、家賃やちん収入しゅうにゅうに対たいして20～30％程度ていどとなることが一般いっぱん的てきです。

3-2. 不動産ふどうさん所得しょとくの求もとめ方かた

不動産ふどうさん所得しょとくとは、個人こじんが不動産ふどうさん賃貸ちんたい業ぎょうを行おこなったときに得えられる所得しょとくのことです。
家賃やちん収入しゅうにゅうではなく利益りえきに相当そうとうし、「年収ねんしゅう」という表現ひょうげんになると不動産ふどうさん所得しょとくが該当がいとうします。

不動産ふどうさん所得しょとくの計算けいさん式しきは以下いかの通とおりです。
・不動産ふどうさん所得しょとく＝総そう収入しゅうにゅう金額きんがく－必要ひつよう経費けいひ
　　　　　＝年間ねんかん家賃やちん収入しゅうにゅう－NOIの費用ひよう－減価げんか償却しょうきゃく費ひ
　　　　　＝NOI―減価げんか償却しょうきゃく費ひ

不動産ふどうさん所得しょとくはNOIから減価げんか償却しょうきゃく費ひを控除こうじょしたものに該当がいとうします。
減価げんか償却しょうきゃく費ひは家賃やちん収入しゅうにゅうの40～50％程度ていどの割合わりあいを占しめます。

NOIの費用ひようの合計ごうけい額がくが家賃やちん収入しゅうにゅうの20～30％程度ていど、減価げんか償却しょうきゃく費ひが家賃やちん収入しゅうにゅうの40～50％程度ていどとすると、不動産ふどうさん所得しょとくを求もとめるための必要ひつよう経費けいひは家賃やちん収入しゅうにゅうに対たいして60～80％程度ていどです。
つまり、不動産ふどうさん所得しょとくは家賃やちん収入しゅうにゅうの20～40％程度ていどとなります。

3-3. キャッシュフローの求もとめ方かた

キャッシュフローとは最終さいしゅう的てきな手て残のこりのことです。
キャッシュフローは、NOIから借入金かりいれきんの元本がんぽん返済へんさい額がくと税金ぜいきんを控除こうじょしたものになります。
・キャッシュフロー＝NOI－借入金かりいれきんの元本がんぽん返済へんさい額がく－税金ぜいきん

借入金かりいれきんの元本がんぽん返済へんさい額がくはオーナーが借かりる借入金かりいれきんの額がくによっても異ことなります。
また、税金ぜいきんはオーナーの他ほかの所得しょとくによっても税率ぜいりつが異ことなってきます。

仮かりに、借入金かりいれきんの元本がんぽん返済へんさい額がくを家賃やちん収入しゅうにゅうの50％、税金ぜいきんを家賃やちん収入しゅうにゅうの5％、NOIの経費けいひ率りつを25％とした場合ばあい、キャッシュフローは家賃やちん収入しゅうにゅうの20％程度ていどとなります。

4. アパート融資ゆうしの年収ねんしゅう倍率ばいりつの目安めやす

アパートローンの借入かりいれ可能かのう額がくは、銀行ぎんこうによって基準きじゅんが異ことなります。
借入かりいれ可能かのう額がくの年収ねんしゅう倍率ばいりつは、10～30倍ばい程度ていどの設定せっていにしている銀行ぎんこうが多おおいです。

ただし、他たの住宅じゅうたくローン等とうを抱かかえている場合ばあいは、年収ねんしゅう倍率ばいりつで計算けいさんされる金額きんがくから残のこっているローンを控除こうじょしたものが買かい入にゅう可能かのう額がくとなります。

例たとえば、年収ねんしゅう倍率ばいりつによって借入かりいれ可能かのう額がくが1億おく円えんの場合ばあい、3,000万まん円えんの住宅じゅうたくローン残ざん債さいがあるときは7,000万まん円えんまでしか借かりられないのが一般いっぱん的てきです。

5. まとめ

以上いじょう、アパート経営けいえいの年収ねんしゅうについて解説かいせつしてきました。
アパート経営けいえいは、建築けんちく費ひが坪つぼ90万まん円えん程度ていどで、表面ひょうめん利回りまわりは全国ぜんこくの主要しゅよう府県ふけんが7～8％程度ていど、東京とうきょうは10％超ちょうでした。

都内とないの50坪つぼの土地とちであれば、約やく4,500万まん円えんの投資とうしで家賃やちん収入しゅうにゅう500万まん円えんのアパートを建たてられる見込みこみです。
今後こんごのアパート経営けいえいの参考さんこうにしていただければと思おもいます。

(記事きじは2021年ねん12月1日にち時点じてんの情報じょうほうに基もとづいています。)