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なぜ「瞬間英作文」では英語が話せるようにならないのか?――自然な英会話力を身につけるための秘訣/芹沢一也 - SYNODOS

2022.04.11

なぜ「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」では英語えいごはなせるようにならないのか?――自然しぜん英会話えいかいわりょくにつけるための秘訣ひけつ

#英語えいご学習がくしゅう

ふだは「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」?

ほかのスクールではどうやって「英語えいごはなかた」をおしえているのだろうか?

こうした疑問ぎもんをもって、ぼう有名ゆうめいコーチングスクールを調しらべたことがあります。そこでは、スピーキングのためのトレーニングとして、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」を学習がくしゅうしゃにやらせていました。ちなみに、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」とは、あたえられた日本語にほんご文章ぶんしょう瞬時しゅんじえい作文さくぶんすることです。

このスクールにかぎらず、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」をスピーキングりょく向上こうじょうふだだとするスクールはおおいようです。

というよりも、スピーキングについては、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん以外いがいにはめぼしいトレーニングはあまり見当みあたらない、というのが実情じつじょうでしょう(最近さいきん、ふたたびはやりはじめた「パターンプラクティス」については、またべつ記事きじ評価ひょうかしたいとおもいます)。

しかし、この「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」、ほんとうにわれるほどの効果こうかがあるのでしょうか?

TOEICが900てんだいあり、CNNも完璧かんぺきにききとれるのに

ぼくはコーチングをけるとき、最初さいしょえい作文さくぶんのチェックをすることにしています。そこでは、けっこうおおくの学習がくしゅうしゃが、日本語にほんごあたえてやると、あいだをおくことなく英語えいごにすることができます。つまり、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」ができます。

では、そのひとたちは英語えいごはなせるのか?

もちろん、はなせないから、あるいは自分じぶんのスピーキングりょく納得なっとくできないから、ぼくのところにているわけです。

これまでぼくがおしえた生徒せいとに、TOEICが900てん以上いじょうあり、CNNも完璧かんぺきにききとれるのにおもうようにはなせない、というほうがいました。このほうも、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」は散々さんざんやったけれども、まったく成果せいかがらなかった、という学習がくしゅうしゃでした。

まるでAIのようなはなしかた

もちろん、すべてのことに例外れいがいはあります。自分じぶんは「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」で英語えいごはなせるようになった、というほうは、そのままつづけていただければとおもいます。

しかし、ぼくがおおくの学習がくしゅうしゃ観察かんさつした経験けいけんからは、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」でスピーキングりょくきたえたというひとたちは、「コミュニケーション能力のうりょく」がとてもひくいという印象いんしょうがあります。

つねにあたまなか一生懸命いっしょうけんめい日本語にほんごえい作文さくぶんしているかんじで、意識いしきはな相手あいてほうにほとんどかっていないのです。それに、英語えいご区切くぎかたあいだかたもとても不自然ふしぜんで、ことばに感情かんじょうもこもっておらず、はしてきって、ただ英文えいぶんくちにしているだけなかんじです。

また、瞬間しゅんかんてき英語えいごおうとするくせがついているので、いて英語えいごはなすことができず、つねにあたふたしているのも共通きょうつうしています。

コミュニケーションにおいては、情報じょうほうのやり以上いじょうに、自分じぶん気持きもちが相手あいてつたわることが重要じゅうようです。こうした意味いみで、「コミュニケーション能力のうりょく」がひく印象いんしょうあたえるのです。

瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」のコンセプト

はなしもどしましょう。

会話かいわにおいては、ったなしで時間じかんながれていきます。自分じぶん発言はつげんするターンがきたら、すぐにはなしはじめる必要ひつようがあります。そのため、おおくの学習がくしゅうしゃが、うまく反応はんのうできずにくるしんでいます。

そこで、日本語にほんご瞬間しゅんかんてきえい作文さくぶんするトレーニングをすれば、スピーキングりょく向上こうじょうするだろう、というのが「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」の基本きほんてき発想はっそうです。

具体ぐたいれいをあげてはなしすすめましょう。

たとえば、「わたしは映画えいがるのがきです。」という日本語にほんごあたえて、それを1びょうか2びょうで“I like to watch movies.”と英語えいご変換へんかんできれば、そしてさまざまな文章ぶんしょうでこうしたことができるようになれば、英語えいごはなせるようになるだろう、というわけです。

一見いっけん理屈りくつはあっているようながしますね。

具体ぐたいてき場面ばめんひもづけなればならない

そこでためしに、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」のトレーニングをんできたひとに、たとえば“What do you like to do in your free time”(日本語にほんごですと「趣味しゅみなに?」というようなニュアンスです)といてみます。

すでに過去かこなんかこの質問しつもんをされていて、それにたいして“I like to watch movies.”とこたえてきた経験けいけんのあるほうは、“I like to watch movies.”という文章ぶんしょうくちからます。しかし、そうでないひとは、“I like to watch movies.”と、とっさにうことが往々おうおうにしてできません。

そうしたひとたちのあたま形成けいせいされているのは、「わたしは映画えいがるのがきです。」という「刺激しげき」にたいして、“I like to watch movies.”という「反応はんのう」だけだからです。だから、“I like to watch movies.”という文章ぶんしょうを、実際じっさい会話かいわなかでうまく「使つかえない」のです。

したがって、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」のトレーニングを実践じっせんかそうとおもうのならば、すべての「刺激しげき」と「反応はんのう」を、具体ぐたいてき場面ばめんんでやらなくてはいけません。自分じぶん実際じっさいに“I like to watch movies.”とうのはどういう場面ばめん想像そうぞうして、そのような場面ばめんたらとっさにこたえられるようにしておく必要ひつようがあります。

刺激しげき」と「反応はんのう」では太刀打たちうちできない

しかし、問題もんだいはそのさきです。

というのも、“What do you like to do in your free time”という質問しつもんたいして、“I like to watch movies.”とこたえることのできるひとも、たいていはその一文いちぶんでストップしてしまうからです。

“I like to watch movies.”とったのちで、たとえば「いつもばん御飯ごはんべたのちはネットフリックスをてます。昨日きのうはマトリックスの新作しんさくたのですが、これは期待きたいはずれでした。」みたいなかんじで、英語えいごでの会話かいわがまったくつづいていきません。

たりまえですよね。「刺激しげき」と「反応はんのう」のトレーニングしかしてないのですから。こんなトレーニングではなせるようになるほど、実際じっさい会話かいわ単純たんじゅんではありません。

また、がんばって「瞬間しゅんかんえい作文さくぶんちから駆使くしして文章ぶんしょうならべられるひとも、さきべたように、あたま一生懸命いっしょうけんめい、フル回転かいてんさせてえい作文さくぶんをするのにいそがしく、機械きかいてき英語えいごくちからアウトプットしていくかんじで、英語えいごがとても不自然ふしぜんになります。

日本にっぽんぶん不自然ふしぜん

さらには、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」の問題もんだいてんとして、そもそも「刺激しげき」としてあたえられている日本にっぽんぶんが、きわめて不自然ふしぜんだということがあります。

わたしたちが日本語にほんごはなすとき、たとえばつぎのようなかんじではなしますよね。

「きのうみちあるいていたら、すごくかわいいいぬをみかけて、で、ちかづいたらげられてさ。」

これ、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」でトレーニングすれば、えるようになるとおもいますか? 

刺激しげき」としてあたえられている日本にっぽんぶんとのおおきすぎませんか? なにをやれば、このめられるようになるのでしょうか? こうしたいに、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」のトレーニングはいっさいこたえてくれません。

そもそも「はなすときの自然しぜんあたまはたらかた」にっていない

それだけではありません。「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」にたいする最大さいだい疑問ぎもんは、ひとがはなすとき、ふつうはあたまなか文章ぶんしょうをつくってからはなさない、ということがあります(じつは、そうしたひともいるのですが、あくまで「ふつうは」です)。

昨日きのうなにしてたの?」とともだちに質問しつもんされたとして、それにこたえている自分じぶんをちょっと想像そうぞうしてみてください。

いちいち完全かんぜん文章ぶんしょうをつくってからはなしていますか? そうではないですよね。はなしながらあたまにいろいろとかぶことばをつなげていくはずです。たとえば、つぎのようなかんじでしょう。

昨日きのう? 昨日きのうはえーっと、なにしたっけな? そうだ! 図書館としょかんってさ、そしたらそこで佐藤さとうさんにばったりったんだよ!」

けっして、「昨日きのう図書館としょかんったら、佐藤さとうさんにばったりいました。」なんて文章ぶんしょうが、いきなりあたまかぶわけではないですよね。

英語えいごもまったくおなじです。かんがえながらはなし、そしてはなしながらかんがえ、ことばをつむいでいくわけです。

ようするに、日本語にほんご文章ぶんしょう英語えいご文章ぶんしょう瞬間しゅんかんてき変換へんかんする、という「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」のトレーニングは、そもそも「はなすときの自然しぜんあたまはたらかた」にまったくっていないのです。このようなトレーニングをいくらしても、おもうように英語えいごはなせるようにならないのも当然とうぜんです。

英語えいごはなせるようになるための最初さいしょいち

問題もんだいは、瞬時しゅんじ日本語にほんご英語えいごにすることができないことではありません。では、いったいなに問題もんだいなのでしょうか? 

最初さいしょにクリアしなければならないやっかいな問題もんだいは、英語えいご日本語にほんごでは語順ごじゅんちがうこと、そして日本語にほんごではしばしば主語しゅごが、そしてときには目的もくてき省略しょうりゃくされることです。

たとえば、「きのうみちあるいていたら、すごくかわいいいぬかけて、で、ちかづいたらげられてさ。」という会話かいわぶんをふたたびげましょう。この文章ぶんしょうにある「きのうみちていたら」も、「すごくかわいいいぬかけて」も、「わたし」という主語しゅご省略しょうりゃくされていますよね。しかも、「ちかづいたら」では、「わたし」という主語しゅごだけでなく、「いぬ」という目的もくてきまでが省略しょうりゃくされています。

英語えいごはなすときは、省略しょうりゃくされているこのようなことばをおぎないつつ、英語えいご語順ごじゅん文章ぶんしょうをつくっていく必要ひつようがあります。このハードルを克服こくふくすることが、英語えいごはなせるようになるための最初さいしょいちです。

そして、このハードルを克服こくふくするのに、「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」は無力むりょくだというのがぼくの見解けんかいです。

英語えいごはなすように日本語にほんごはな

では、どうすればよいのか? いろいろとしなればならないトレーニングがあるのですが、まずはひとつ効果こうかてきなのは、英語えいご語順ごじゅん日本語にほんごはなしてみることです。

具体ぐたいてきには、さきいぬについての会話かいわぶんだと、つぎのようなかんじではなしてみてください。

「わたしはあるいてた、みちを、昨日きのう。わたしはかけた、とてもかわいいいぬを。わたしはちかづいた、そのいぬに。そのいぬげた。」

これはじつは、英語えいごはなしていることと一緒いっしょです。ちなみに、英文えいぶんむときは、かならずこのようにむようにしてくださいね。日本にっぽん学校がっこうたたまれる「がえみ」をしているかぎり、英語えいごはなせるようにはなりません。

英語えいごでは、だれか/なにかが、なにかをしている

さて、ここでのコツは、「だれか / なにかが、なにかをしている」ということを意識いしきすることです。「わたし」が「あるいていた」わけですし、「わたし」が「かけた」のです。そして、「わたし」が「ちかづき」、「そのいぬ」が「げた」わけです。

具体ぐたいてき状況じょうきょうあたまおもえがき、「だれが / なにが、なにをしているのか」をまず「描写びょうしゃ」してください。そうすれば、自然しぜんにそれにつづく英語えいごてきます。

たとえば、「わたしはあるいていた」とえば、「どこを?」という疑問ぎもんまれますよね。それにこたえるために、「みちを」と感覚かんかくです。あるいは、「わたしはかけた」ならば、「なにを?」となりますから、「とてもかわいいいぬを」とつづく。

これが英語えいご発想はっそう核心かくしん、「英語えいごはなかた」です。まずはこの感覚かんかくをしっかりとつかんでください。「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」で日本語にほんごまるごと英語えいごにしようとしても、このような感覚かんかくにつけることはけっしてできません。

さて、ここで単語たんご問題もんだいさえなければ、「わたしはあるいてた、みちを、昨日きのう。わたしはかけた、かわいいいぬを。わたしはちかづいた、そのいぬに。そのいぬげた。」を、そのままつぎのように英語えいごにできるでしょう。

“I was walking down the street yesterday, and I saw a really cute dog. I tried to get closer to the dog, but it ran away.”

これは「瞬間しゅんかんえい作文さくぶん」をやるよりも、はるかにスピーキングに効果こうかてきなトレーニングだと保証ほしょうします。

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簡単かんたん英語えいごなのに、そのでとっさにてこない!」
意見いけんはあるのに、英語えいごでうまくつたえられない!」

おおくの学習がくしゅうしゃかかえるこうしたなやみの原因げんいんは、日本語にほんご発想はっそうしてしまうことにあります。
日本語にほんごかんがえているかぎり、いつまでたっても英会話えいかいわ上達じょうたつしません。
では、どうすればいいのか?

カギとなるのは「語順ごじゅん」です。
英語えいご語順ごじゅん感覚かんかくにつければ、自然しぜん英語えいご発想はっそうできるようになります。
しかし、そのためには特別とくべつなトレーニングが必要ひつようです。

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