切 き り札 ふだ は「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」?
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ほかのスクールではどうやって「英語 えいご の話 はな し方 かた 」を教 おし えているのだろうか?
こうした疑問 ぎもん をもって、某 ぼう 有名 ゆうめい コーチングスクールを調 しら べたことがあります。そこでは、スピーキングのためのトレーニングとして、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」を学習 がくしゅう 者 しゃ にやらせていました。ちなみに、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」とは、与 あた えられた日本語 にほんご の文章 ぶんしょう を瞬時 しゅんじ に英 えい 作文 さくぶん することです。
このスクールにかぎらず、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」をスピーキング力 りょく 向上 こうじょう の切 き り札 ふだ だとするスクールは多 おお いようです。
というよりも、スピーキングについては、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」以外 いがい にはめぼしいトレーニングはあまり見当 みあ たらない、というのが実情 じつじょう でしょう(最近 さいきん 、ふたたびはやり始 はじ めた「パターンプラクティス」については、また別 べつ の記事 きじ で評価 ひょうか したいと思 おも います)。
しかし、この「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」、ほんとうに言 い われるほどの効果 こうか があるのでしょうか?
TOEICが900点 てん 代 だい あり、CNNも完璧 かんぺき にき取 きと れるのに
ぼくはコーチングを引 ひ き受 う けるとき、最初 さいしょ に英 えい 作文 さくぶん のチェックをすることにしています。そこでは、けっこう多 おお くの学習 がくしゅう 者 しゃ が、日本語 にほんご を与 あた えてやると、間 あいだ をおくことなく英語 えいご にすることができます。つまり、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」ができます。
では、その人 ひと たちは英語 えいご を話 はな せるのか?
もちろん、話 はな せないから、あるいは自分 じぶん のスピーキング力 りょく に納得 なっとく できないから、ぼくのところに来 き ているわけです。
これまでぼくが教 おし えた生徒 せいと に、TOEICが900点 てん 以上 いじょう あり、CNNも完璧 かんぺき にき取 きと れるのに思 おも うように話 はな せない、という方 ほう がいました。この方 ほう も、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」は散々 さんざん やったけれども、まったく成果 せいか が上 あ がらなかった、という学習 がくしゅう 者 しゃ でした。
まるでAIのような話 はな しかた
もちろん、すべてのことに例外 れいがい はあります。自分 じぶん は「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」で英語 えいご を話 はな せるようになった、という方 ほう は、そのまま続 つづ けていただければと思 おも います。
しかし、ぼくが多 おお くの学習 がくしゅう 者 しゃ を観察 かんさつ した経験 けいけん からは、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」でスピーキング力 りょく を鍛 きた えたという人 ひと たちは、「コミュニケーション能力 のうりょく 」がとても低 ひく いという印象 いんしょう があります。
つねに頭 あたま の中 なか で一生懸命 いっしょうけんめい 、日本語 にほんご を英 えい 作文 さくぶん している感 かん じで、意識 いしき が話 はな し相手 あいて の方 ほう にほとんど向 む かっていないのです。それに、英語 えいご の区切 くぎ り方 かた や間 あいだ の置 お き方 かた もとても不自然 ふしぜん で、ことばに感情 かんじょう もこもっておらず、端 はし 的 てき に言 い って、ただ英文 えいぶん を口 くち にしているだけな感 かん じです。
また、瞬間 しゅんかん 的 てき に英語 えいご を言 い おうとする癖 くせ がついているので、落 お ち着 つ いて英語 えいご を話 はな すことができず、つねにあたふたしているのも共通 きょうつう しています。
コミュニケーションにおいては、情報 じょうほう のやり取 と り以上 いじょう に、自分 じぶん の気持 きも ちが相手 あいて に伝 つた わることが重要 じゅうよう です。こうした意味 いみ で、「コミュニケーション能力 のうりょく 」が低 ひく い印象 いんしょう を与 あた えるのです。
「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」のコンセプト
話 はなし を戻 もど しましょう。
会話 かいわ においては、待 ま ったなしで時間 じかん が流 なが れていきます。自分 じぶん が発言 はつげん するターンがきたら、すぐに話 はな しはじめる必要 ひつよう があります。そのため、多 おお くの学習 がくしゅう 者 しゃ が、うまく反応 はんのう できずに苦 くる しんでいます。
そこで、日本語 にほんご を瞬間 しゅんかん 的 てき に英 えい 作文 さくぶん するトレーニングをすれば、スピーキング力 りょく も向上 こうじょう するだろう、というのが「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」の基本 きほん 的 てき な発想 はっそう です。
具体 ぐたい 例 れい をあげて話 はなし を進 すす めましょう。
たとえば、「わたしは映画 えいが を観 み るのが好 す きです。」という日本語 にほんご を与 あた えて、それを1秒 びょう か2秒 びょう で“I like to watch movies.”と英語 えいご に変換 へんかん できれば、そしてさまざまな文章 ぶんしょう でこうしたことができるようになれば、英語 えいご が話 はな せるようになるだろう、というわけです。
一見 いっけん 、理屈 りくつ はあっているような気 き がしますね。
具体 ぐたい 的 てき な場面 ばめん に紐 ひも づけなればならない
そこで試 ため しに、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」のトレーニングを積 つ んできた人 ひと に、たとえば“What do you like to do in your free time”(日本語 にほんご ですと「趣味 しゅみ は何 なに ?」というようなニュアンスです)と聞 き いてみます。
すでに過去 かこ に何 なん 度 ど かこの質問 しつもん をされていて、それに対 たい して“I like to watch movies.”と答 こた えてきた経験 けいけん のある方 ほう は、“I like to watch movies.”という文章 ぶんしょう が口 くち から出 で ます。しかし、そうでない人 ひと は、“I like to watch movies.”と、とっさに言 い うことが往々 おうおう にしてできません。
そうした人 ひと たちの頭 あたま に形成 けいせい されているのは、「わたしは映画 えいが を観 み るのが好 す きです。」という「刺激 しげき 」に対 たい して、“I like to watch movies.”という「反応 はんのう 」だけだからです。だから、“I like to watch movies.”という文章 ぶんしょう を、実際 じっさい の会話 かいわ の中 なか でうまく「使 つか えない」のです。
したがって、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」のトレーニングを実践 じっせん に生 い かそうと思 おも うのならば、すべての「刺激 しげき 」と「反応 はんのう 」を、具体 ぐたい 的 てき な場面 ばめん に埋 う め込 こ んでやらなくてはいけません。自分 じぶん が実際 じっさい に“I like to watch movies.”と言 い うのはどういう場面 ばめん か想像 そうぞう して、そのような場面 ばめん が来 き たらとっさに答 こた えられるようにしておく必要 ひつよう があります。
「刺激 しげき 」と「反応 はんのう 」では太刀打 たちう ちできない
しかし、問題 もんだい はその先 さき です。
というのも、“What do you like to do in your free time”という質問 しつもん に対 たい して、“I like to watch movies.”と答 こた えることのできる人 ひと も、たいていはその一文 いちぶん でストップしてしまうからです。
“I like to watch movies.”と言 い った後 のち で、たとえば「いつも晩 ばん 御飯 ごはん を食 た べた後 のち はネットフリックスを観 み てます。昨日 きのう はマトリックスの新作 しんさく を見 み たのですが、これは期待 きたい 外 はず れでした。」みたいな感 かん じで、英語 えいご での会話 かいわ がまったく続 つづ いていきません。
当 あ たり前 まえ ですよね。「刺激 しげき 」と「反応 はんのう 」のトレーニングしかしてないのですから。こんなトレーニングで話 はな せるようになるほど、実際 じっさい の会話 かいわ は単純 たんじゅん ではありません。
また、がんばって「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」力 ちから を駆使 くし して文章 ぶんしょう を並 なら べられる人 ひと も、先 さき に述 の べたように、頭 あたま を一生懸命 いっしょうけんめい 、フル回転 かいてん させて英 えい 作文 さくぶん をするのに忙 いそが しく、機械 きかい 的 てき に英語 えいご を口 くち からアウトプットしていく感 かん じで、英語 えいご がとても不自然 ふしぜん になります。
日本 にっぽん 文 ぶん が不自然 ふしぜん
さらには、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」の問題 もんだい 点 てん として、そもそも「刺激 しげき 」として与 あた えられている日本 にっぽん 文 ぶん が、きわめて不自然 ふしぜん だということがあります。
わたしたちが日本語 にほんご を話 はな すとき、たとえば次 つぎ のような感 かん じで話 はな しますよね。
「きのう道 みち を歩 ある いていたら、すごくかわいい犬 いぬ をみかけて、で、近 ちか づいたら逃 に げられてさ。」
これ、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」でトレーニングすれば、言 い えるようになると思 おも いますか?
「刺激 しげき 」として与 あた えられている日本 にっぽん 文 ぶん との差 さ が大 おお きすぎませんか? 何 なに をやれば、この差 さ を埋 う められるようになるのでしょうか? こうした問 と いに、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」のトレーニングはいっさい答 こた えてくれません。
そもそも「話 はな すときの自然 しぜん な頭 あたま の働 はたら き方 かた 」に合 あ っていない
それだけではありません。「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」に対 たい する最大 さいだい の疑問 ぎもん は、ひとが話 はな すとき、ふつうは頭 あたま の中 なか で文章 ぶんしょう をつくってから話 はな さない、ということがあります(じつは、そうした人 ひと もいるのですが、あくまで「ふつうは」です)。
「昨日 きのう は何 なに してたの?」と友 とも だちに質問 しつもん されたとして、それに答 こた えている自分 じぶん をちょっと想像 そうぞう してみてください。
いちいち完全 かんぜん な文章 ぶんしょう をつくってから話 はな していますか? そうではないですよね。話 はな しながら頭 あたま にいろいろと浮 う かぶことばをつなげていくはずです。たとえば、次 つぎ のような感 かん じでしょう。
「昨日 きのう ? 昨日 きのう はえーっと、何 なに したっけな? そうだ! 図書館 としょかん に行 い ってさ、そしたらそこで佐藤 さとう さんにばったり会 あ ったんだよ!」
けっして、「昨日 きのう 、図書館 としょかん に行 い ったら、佐藤 さとう さんにばったり会 あ いました。」なんて文章 ぶんしょう が、いきなり頭 あたま に浮 う かぶわけではないですよね。
英語 えいご もまったく同 おな じです。考 かんが えながら話 はな し、そして話 はな しながら考 かんが え、ことばを紡 つむ いでいくわけです。
要 よう するに、日本語 にほんご の文章 ぶんしょう を英語 えいご の文章 ぶんしょう に瞬間 しゅんかん 的 てき に変換 へんかん する、という「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」のトレーニングは、そもそも「話 はな すときの自然 しぜん な頭 あたま の働 はたら き方 かた 」にまったく合 あ っていないのです。このようなトレーニングをいくらしても、思 おも うように英語 えいご が話 はな せるようにならないのも当然 とうぜん です。
英語 えいご を話 はな せるようになるための最初 さいしょ の一 いち 歩 ほ
問題 もんだい は、瞬時 しゅんじ に日本語 にほんご を英語 えいご にすることができないことではありません。では、いったい何 なに が問題 もんだい なのでしょうか?
最初 さいしょ にクリアしなければならないやっかいな問題 もんだい は、英語 えいご と日本語 にほんご では語順 ごじゅん が違 ちが うこと、そして日本語 にほんご ではしばしば主語 しゅご が、そしてときには目的 もくてき 語 ご が省略 しょうりゃく されることです。
たとえば、「きのう道 みち を歩 ある いていたら、すごくかわいい犬 いぬ を見 み かけて、で、近 ちか づいたら逃 に げられてさ。」という会話 かいわ 文 ぶん をふたたび取 と り上 あ げましょう。この文章 ぶんしょう にある「きのう道 みち を歩 ふ ていたら」も、「すごくかわいい犬 いぬ を見 み かけて」も、「わたし」という主語 しゅご が省略 しょうりゃく されていますよね。しかも、「近 ちか づいたら」では、「わたし」という主語 しゅご だけでなく、「犬 いぬ 」という目的 もくてき 語 ご までが省略 しょうりゃく されています。
英語 えいご を話 はな すときは、省略 しょうりゃく されているこのようなことばを補 おぎな いつつ、英語 えいご の語順 ごじゅん で文章 ぶんしょう をつくっていく必要 ひつよう があります。このハードルを克服 こくふく することが、英語 えいご を話 はな せるようになるための最初 さいしょ の一 いち 歩 ほ です。
そして、このハードルを克服 こくふく するのに、「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」は無力 むりょく だというのがぼくの見解 けんかい です。
英語 えいご を話 はな すように日本語 にほんご を話 はな す
では、どうすればよいのか? いろいろとしなればならないトレーニングがあるのですが、まずはひとつ効果 こうか 的 てき なのは、英語 えいご の語順 ごじゅん で日本語 にほんご を話 はな してみることです。
具体 ぐたい 的 てき には、先 さき の犬 いぬ についての会話 かいわ 文 ぶん だと、次 つぎ のような感 かん じで話 はな してみてください。
「わたしは歩 ある いてた、道 みち を、昨日 きのう 。わたしは見 み かけた、とてもかわいい犬 いぬ を。わたしは近 ちか づいた、その犬 いぬ に。その犬 いぬ は逃 に げた。」
これはじつは、英語 えいご を話 はな していることと一緒 いっしょ です。ちなみに、英文 えいぶん を読 よ むときは、必 かなら ずこのように読 よ むようにしてくださいね。日本 にっぽん の学校 がっこう で叩 たた き込 こ まれる「返 がえ り読 よ み」をしているかぎり、英語 えいご が話 はな せるようにはなりません。
英語 えいご では、誰 だれ か/何 なに かが、何 なに かをしている
さて、ここでのコツは、「誰 だれ か / 何 なに かが、何 なに かをしている」ということを意識 いしき することです。「わたし」が「歩 ある いていた」わけですし、「わたし」が「見 み かけた」のです。そして、「わたし」が「近 ちか づき」、「その犬 いぬ 」が「逃 に げた」わけです。
具体 ぐたい 的 てき な状況 じょうきょう を頭 あたま に思 おも い描 えが き、「誰 だれ が / 何 なに が、何 なに をしているのか」をまず「描写 びょうしゃ 」してください。そうすれば、自然 しぜん にそれにつづく英語 えいご が出 で てきます。
たとえば、「わたしは歩 ある いていた」と言 い えば、「どこを?」という疑問 ぎもん が生 う まれますよね。それに答 こた えるために、「道 みち を」と足 た す感覚 かんかく です。あるいは、「わたしは見 み かけた」ならば、「何 なに を?」となりますから、「とてもかわいい犬 いぬ を」とつづく。
これが英語 えいご の発想 はっそう の核心 かくしん 、「英語 えいご の話 はな し方 かた 」です。まずはこの感覚 かんかく をしっかりとつかんでください。「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」で日本語 にほんご を丸 まる ごと英語 えいご にしようとしても、このような感覚 かんかく を身 み につけることはけっしてできません。
さて、ここで単語 たんご の問題 もんだい さえなければ、「わたしは歩 ある いてた、道 みち を、昨日 きのう 。わたしは見 み かけた、かわいい犬 いぬ を。わたしは近 ちか づいた、その犬 いぬ に。その犬 いぬ は逃 に げた。」を、そのまま次 つぎ のように英語 えいご にできるでしょう。
“I was walking down the street yesterday, and I saw a really cute dog. I tried to get closer to the dog, but it ran away.”
これは「瞬間 しゅんかん 英 えい 作文 さくぶん 」をやるよりも、はるかにスピーキングに効果 こうか 的 てき なトレーニングだと保証 ほしょう します。
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