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3・11から2年半 被災地仙台の復興は進んだか? ―― 現地の大学・NPOの共同調査から見る被災地の現状と課題/佐藤滋×渡辺寛人 - SYNODOS

2013.10.09

3・11から2ねんはん 被災ひさい仙台せんだい復興ふっこうすすんだか? ―― 現地げんち大学だいがく・NPOの共同きょうどう調査ちょうさから被災ひさい現状げんじょう課題かだい

佐藤さとうしげる×渡辺わたなべ寛人ひろと

社会しゃかい #東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい#POSSE#震災しんさい復興ふっこう#仙台せんだい

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいから2ねんはん経過けいかした。被災ひさいへの関心かんしん低下ていかしつつあるが、仮設かせつ住宅じゅうたくでの生活せいかつ余儀よぎなくされている被災ひさいしゃ仙台せんだいには現在げんざいでもやく2まんにんいる。被災ひさい仙台せんだい状況じょうきょうとは? 被災ひさいしゃ生活せいかつ再建さいけんすすんでいるのだろうか? どのような政策せいさく支援しえん必要ひつようなのか? 震災しんさいから現在げんざいいたるまで、現場げんば被災ひさいしゃ支援しえんたずさわってきた仙台せんだいPOSSE代表だいひょう渡辺わたなべ寛人ひろと東北学院大学とうほくがくいんだいがく経済学部けいざいがくぶじゅん教授きょうじゅ佐藤さとうしげる被災ひさい仙台せんだい現状げんじょうとこれからの課題かだいについてはなった。

えにくい被災ひさい仙台せんだい

渡辺わたなべ 震災しんさいから2ねんはん経過けいかしましたが、被災ひさい仙台せんだい現状げんじょう課題かだいなにか。おおくの支援しえん団体だんたい撤退てったいするなかで、こん必要ひつよう支援しえんとは? 今日きょうはないたいのはこうしたテーマです。

仙台せんだいPOSSEでは東北学院大とうほくがくいんだい経済学部けいざいがくぶ佐藤さとうゼミと、共同きょうどう仮設かせつ住宅じゅうたく生活せいかつ実態じったい調査ちょうさすすめています。調査ちょうさ自体じたいはまだ完了かんりょうしていないので、途中とちゅう経過けいかにはなりますが、そこからどのような示唆しさられるのかということもふくめて議論ぎろんできればとおもいます。

佐藤さとう まずは、調査ちょうさをするにいたった問題もんだい意識いしきとも関係かんけいしてくるのですが、仙台せんだい=被災ひさいという言説げんせつすくなさをかんじています。「被災ひさい」といったときにかたられるのは、福島ふくしま、あるいは津波つなみ被害ひがいつよけた岩手いわて沿岸えんがんのことで、仙台せんだい被災ひさいとしてげられることはあまりないようにおもいます。

渡辺わたなべ 現実げんじつには、仙台せんだいではやく2まんにん被災ひさいしゃがいまだに仮設かせつ住宅じゅうたくでの生活せいかついられているわけです。

佐藤さとう 一方いっぽうでは被災ひさいまえ生活せいかつ徐々じょじょ移行いこうはじめて、普通ふつう生活せいかつをしているひともいる。こういう断層だんそうがなぜしょうじているのか。これをあきらかにする目的もくてきで、我々われわれ調査ちょうさ着手ちゃくしゅしたわけですね。

渡辺わたなべ 現場げんば支援しえんつづけていると、仮設かせつ住宅じゅうたくにおまいのほうから、さき見通みとおしがたない、仮設かせつ住宅じゅうたくてもむところがないと不安ふあんうったえるこえをよくみみにします。こうした実態じったいそと発信はっしんしていく必要ひつようがあるとずっとかんじていました。

求人きゅうじん好調こうちょう」のうらひろがる貧困ひんこん

佐藤さとう 仙台せんだい被災ひさいとしてとりあげられることがすくない背景はいけいには、「東北とうほくさんけん求人きゅうじん好調こうちょう」といったことを強調きょうちょうするメディアの影響えいきょうもあるかもしれません。実際じっさい今年ことしの7がつまつのニュースによれば、宮城みやぎけんは15かげつ連続れんぞく有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつが1ばいえていて、全国ぜんこくで4、8がつだと全国ぜんこく3といったことがほうじられています。

それと、有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつはなしとはそれますが、被災ひさいさんけん生活せいかつ保護ほごりつひくさもあげられます。東北とうほくさんけん生活せいかつ保護ほごりつ全国ぜんこくてきにみてかなりひくいんです。ですから、経済けいざいてきにみて仙台せんだいはあまり問題もんだいかかえていないのだろうと。被災ひさいとしてろんじるべき対象たいしょうではないのではないかという意識いしきがどこかにあるのかもしれません。

渡辺わたなべ そうしたイメージと実態じったいとの乖離かいりかんじています。ぼくは、被災ひさい仙台せんだいでは、貧困ひんこん問題もんだいあらわれているとかんがえてきました。

ひとれいをあげましょう。仙台せんだいPOSSEでは、就学しゅうがく支援しえん事業じぎょうといって、被災ひさいしたどもたちの勉強べんきょうています。このは、高校こうこういち年生ねんせいおんなで、母子ぼし家庭かていです。2ねんまえから支援しえんをしています。震災しんさいまえ時点じてんでの収入しゅうにゅうつきまんえんと、かなり大変たいへん生活せいかつをしていたのですが、はは祖母そぼさんにんらしでなんとか生活せいかつっていました。もともといじめや登校とうこうがありてい学力がくりょくでした。そもそもうつと躁をかえしている様子ようすがあり、学校がっこうくと頭痛ずつうがしてしまう。学校がっこうくと1にち、2にち寝込ねこんでしまうというんですね。

震災しんさい、この祖母そぼはな親子おやこ仮設かせつ住宅じゅうたく入居にゅうきょします。そこで母親ははおや病気びょうきかかえてたきり状態じょうたいになり、家事かじ洗濯せんたくもできなくなってしまうんです。支援しえんけられずに見放みはなされた状況じょうきょうでこの生活せいかつしていました。こうした状況じょうきょうにあったところ、ぼくたちの支援しえん継続けいぞくしてつながるようになり、精神せいしんてきめんもサポートしながらなんとか高校こうこう進学しんがくしました。

被災ひさいどものかかえている問題もんだいについて、おおくは被災ひさいのショックなど精神せいしんめんだけで説明せつめいされがちです。しかし、その背景はいけいには貧困ひんこん状態じょうたいなどの経済けいざいがあり、そのなかおやどもの勉強べんきょうることもできず、どものてい学力がくりょくという問題もんだいしょうじているのではないかとおもいました。そこで、ぼくたちは、たんに勉強べんきょうおしえるだけではなく、生活せいかつめんふくめた支援しえんをしています。

佐藤さとう 実際じっさい、「復興ふっこう需要じゅよううるお仙台せんだい」というわれることとはべつに、仙台せんだいでは貧困ひんこんがどんどん増加ぞうかしています。これは生活せいかつ保護ほごりつてもあきらかです。仙台せんだいだけをとりあげた場合ばあい東京とうきょう遜色そんしょくのないレベルです。震災しんさいまえの2011ねん2がつにおける人口じんこうたいする生活せいかつ保護ほご受給じゅきゅうしゃ割合わりあいは15.8‰、2013ねん7がつ統計とうけいでは16.14‰です。じつは、人口じんこう流入りゅうにゅうによって分母ぶんぼ増大ぞうだいしているにもかかわらず、保護ほごりつ上昇じょうしょうしている。分母ぶんぼおおきくなれば保護ほごりつりそうなものですが、ぎゃく保護ほごりつえている。これは受給じゅきゅう世帯せたい受給じゅきゅう人員じんいんえているからです。受給じゅきゅう世帯せたいすうは11,382にんから12,167にんまでえている。

渡辺わたなべ こうした貧困ひんこんひろがりつつあるなかで、仮設かせつ住宅じゅうたく人々ひとびと生活せいかつはどうなっているのか、調査ちょうさ事例じれいていきたいとおもいます。そのまえにぼくたちが調査ちょうさしているプレハブ仮設かせつ住宅じゅうたくんでいるひと構成こうせいはどのようになっているのでしょうか。

佐藤さとう とりわけ注目ちゅうもくできるのは65さい以上いじょうです。たとえば一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんパーソナルサポートセンターが1ねんまえ公表こうひょうしているデータでは、仙台せんだいのプレハブ仮設かせつ居住きょじゅうしゃは、33.6%が高齢こうれいしゃです。仙台せんだい全体ぜんたい平均へいきんは16.1%、民間みんかんアパートの仮設かせつ住宅じゅうたくは23.0%であるのにたいし、プレハブ仮設かせつではさんわりえる高齢こうれいりつです。

渡辺わたなべ 支援しえんしている現場げんば感覚かんかくでも、高齢こうれいほうおおいです。POSSEでは、仙台せんだい市内しない仮設かせつ住宅じゅうたく送迎そうげい事業じぎょうというのをおこなっています。無料むりょう送迎そうげいバスを運行うんこうして、仮設かせつ住宅じゅうたくひとたちの通院つういんもののサポートをするんです。つき平均へいきんで300にん被災ひさいしゃ利用りようされているのですが、高齢こうれいしゃが95%以上いじょうめ、なかでも70さい以上いじょうほうが5わり以上いじょうです。わかほうでは被災ひさいした自宅じたく自力じりき再建さいけんして仮設かせつはなれていくひともいるのですが、仮設かせつ住宅じゅうたくのこされているのはとりわけ高齢こうれいしゃおおいという印象いんしょうです。

仮設かせつ住宅じゅうたくでのききと調査ちょうさ

佐藤さとう そうした仮設かせつんでいる人々ひとびと生活せいかつについて、たんに量的りょうてき把握はあくするのではなく、ミクロに質的しつてき調査ちょうさおこなうのが、われわれの調査ちょうさ特徴とくちょうですね。

渡辺わたなべ そうです、震災しんさい生活せいかつにどのような変化へんかをもたらしたのか、ききとりをおこなっています。ヒアリング項目こうもくとしては、つぎのようなものです。世帯せたい構成こうせい変化へんかした理由りゆう、プレハブをえらんだ理由りゆうとか、世帯せたい収入しゅうにゅう支出ししゅつがく震災しんさいによる変化へんか就労しゅうろうじょうきょう失業しつぎょう経験けいけん有無うむなど。所得しょとく見通みとおし、満足まんぞく健康けんこう状態じょうたい今後こんご見通みとおしとか、あるいは復興ふっこう公営こうえい住宅じゅうたくについていまろんじられているけれどどうおもっているのとか、生活せいかつ保護ほご制度せいどについてどのようにおもっているのか。

佐藤さとう かなり生活せいかつんだ質問しつもんをしますよね。病気びょうきから障害しょうがいから借金しゃっきんはどうなっているというはなしもでてくる。センシティブなことを調査ちょうさできるのはPOSSEのひとたちがずっと継続けいぞくして住民じゅうみん人々ひとびと信頼しんらい関係かんけいきずいてきたからだとおもうのですが、いかがでしょうか?

渡辺わたなべ ええ、2ねん以上いじょう被災ひさいしゃ日常にちじょう生活せいかつ密着みっちゃくした支援しえんつづけ、そのなか被災ひさいしゃほう時間じかんをかけて関係かんけいきずいてきたことはおおきいのかもしれません。また、ぼくたちの支援しえんは、社会しゃかい福祉ふくし、ソーシャルワークといういいかたをしますが、そのかかわりの技法ぎほうみなまなんで、信頼しんらい関係かんけいをしっかりつくり、そのうえでいろいろなはなしいていくということをこころがけています。たとえば、就学しゅうがく支援しえんでも、「わたしなんかおしえて価値かちがないです」とっていたどもが、時間じかんをかけて丁寧ていねいにかかわりつづけるなかで、担当たんとうしゃしんひらいてくれたということがありました。

佐藤さとう 団体だんたいとか大学だいがくではなかなかできないことだとおもうんですよね。

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みずか言葉ことばふうじる被災ひさいしゃ

渡辺わたなべ では、調査ちょうさ結果けっか一部いちぶてみましょう。Aさん、78さい。このひと年収ねんしゅうは、年金ねんきんの45まんえんです。光熱こうねつ節約せつやくのため、お風呂ふろいちにちおきにしている。介護かいご保険ほけんサービスはなるべく利用りようしたくないとう。

佐藤さとう 介護かいご保険ほけん利用りようしたくないのは保険ほけんりょうがかかるからでしょうね。介護かいご保険ほけん使つかえば使つかうほどおかねがかかります。

渡辺わたなべ このAさんは、復興ふっこう公営こうえい住宅じゅうたくについてどうかんがえているかといういにたいして、家賃やちん生活せいかつをどこからはらえばいいのかからないとこたえています。仮設かせつ住宅じゅうたくにいるほうがましだともいます。

佐藤さとう これはひどいですよね。復興ふっこう公営こうえい住宅じゅうたく家賃やちんはらえるか不安ふあんだというわけです。

渡辺わたなべ また、べつ世帯せたいてみましょう。高齢こうれい女性じょせいBさんとその息子むすこ45さい収入しゅうにゅうてみます。年金ねんきんなどつき9まんえん、2かげつ一度いちどまれる。ここからさらに介護かいご保険ほけん医療いりょう保険ほけん天引てんびきされる。息子むすこ被災ひさいにより失業しつぎょうしているのでたよることができない。震災しんさい支出ししゅつ変化へんかとしては、医療いりょう減免げんめん制度せいどがなくなったので通院つういん回数かいすうらしています。

佐藤さとう 医療いりょう保険ほけんりょう介護かいご保険ほけんりょう増額ぞうがくされたのをご存知ぞんじですかね。被災ひさいしゃたいしては、国民こくみん健康けんこう保険ほけん保険ほけんりょう介護かいご保険ほけんりょう減免げんめんされていたのですが、その措置そちわってしまいました。9まんえんなかからかれる保険ほけんりょうがわずかでも増額ぞうがくされたらものすごい痛手いたでです。じっさい、高齢こうれい病気びょうきがちなひとがこうして通院つういん回数かいすうらしているわけですから。そして、負担ふたんなかで、光熱こうねつ医療いりょう節約せつやくすることによってなにとか生活せいかつりたせているような状況じょうきょうです。

渡辺わたなべ あるいは一人暮ひとりぐらしの男性だんせいCさん、46さい収入しゅうにゅうはガソリンスタンドでつき10まんえん。ここに障害しょうがい年金ねんきんくわわります。震災しんさいまえつき20まんえんだったが、震災しんさい契約けいやく社員しゃいんしょくうしないました。震災しんさい収入しゅうにゅうげん食費しょくひ抑制よくせいによってカバーしている。しかも、介護かいご保険ほけんりょう介護かいごがくえています。それでも、生活せいかつじょうきょうについては、「いまいるところで満足まんぞくするしかない」とうんです。「震災しんさい直後ちょくご屋根やねのない生活せいかつくらべたら充分じゅうぶんありがたい」と。
佐藤さとう  調査ちょうさなか頻繁ひんぱんてくるのが、この「満足まんぞくしている」という言葉ことばです。これだけきびしい状況じょうきょうかれているのに、感謝かんしゃしているとか、満足まんぞくしているとこたえるほうおおいです。我慢強がまんづよいとうより、みずか言葉ことばふうじているというような印象いんしょうけます。

渡辺わたなべ これは、調査ちょうさ結果けっか一部いちぶですが、あきにかけて50~100けん票数ひょうすうあつめることを目標もくひょうにしています。

社会しゃかい保障ほしょう逆進ぎゃくしんてき機能きのうしている

佐藤さとう プレハブ仮設かせつ住宅じゅうたくでの貧困ひんこんがどんどんすすんでいることをしめすデータもあります。かくか、昨年さくねん仙台せんだい世帯せたい平均へいきん年収ねんしゅうが540まんえん程度ていどのはずです。さきほどのパーソナルサポートセンターの数字すうじによれば、プレハブ仮設かせつ住宅じゅうたくひと平均へいきん年収ねんしゅうは、65さい以下いかで244まんえん。65さい以上いじょうは200まんえんっています。ただしこれはいちねんまえ数字すうじでこれなので、現在げんざいはもっと深刻しんこくさをしています。調査ちょうさなかからは世帯せたい年収ねんしゅう200まんえんたっしているというような数字すうじはあまりてきませんよね。これほどたか数字すうじてこない。

渡辺わたなべ プレハブ仮設かせつ住宅じゅうたくでの貧困ひんこん深刻しんこくしているということですが、すこ被災ひさいからはなれて、マクロなところに視点してんうつしたとき、日本にっぽん全体ぜんたいでは貧困ひんこんについてどのようなことがえますか。

佐藤さとう 年齢ねんれい階級かいきゅうごとの相対そうたいてき貧困ひんこんりつ国際こくさい比較ひかくのグラフ(グラフ1)をてみると、日本にっぽん高齢こうれいしゃ貧困ひんこんりつがずばけてたかい。日本にっぽんよりたかいのはアメリカです。アメリカというのは、世界せかいでもっとも貧困ひんこんすすんでいるくにですが、ほぼアメリカとおなじようなカーブをえがいているわけです。ここから、仮設かせつ住宅じゅうたく状況じょうきょうけっして特殊とくしゅ問題もんだいではないことがかりますね。

また、日本にっぽんでは若者わかもの貧困ひんこんりつ近年きんねん急激きゅうげきたかまっています。1985ねんには18さいから25さい貧困ひんこんりつ10.5%でしたが、2009ねんになると18.7%にたかまっている。

グラフ1:年齢階級ごとの相対的貧困率の国際比較(2009年、2010年) 出典:OECD貧困格差統計(http://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=IDD) “Poverty rate after taxes and transfers”をもとに作成
グラフ1:年齢ねんれい階級かいきゅうごとの相対そうたいてき貧困ひんこんりつ国際こくさい比較ひかく(2009ねん、2010ねん
出典しゅってん:OECD貧困ひんこん格差かくさ統計とうけいhttp://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=IDD
“Poverty rate after taxes and transfers”をもとに作成さくせい

渡辺わたなべ 高齢こうれいしゃ貧困ひんこんりつたかいという現象げんしょうは、世界せかいてきられることなのでしょうか。

佐藤さとう 高齢こうれいしゃ貧困ひんこん進行しんこうするのは、けっして一般いっぱんてきことではありません。たとえばフランスは、若年じゃくねんそう相対そうたいてき貧困ひんこんりつたかいのですが、高齢こうれいになるにつれだんだんとがってきます。日本にっぽんはアメリカとほぼおなじで、わかいうちは貧困ひんこんで、稼働かどう年齢ねんれいそうのときに貧困ひんこんではなくなり―とはいえ国際こくさい比較ひかくてきにみてたかいことにはわりません―高齢こうれいになると一気いっき貧困ひんこん表面ひょうめんする。

しかし、一方いっぽうで、日本にっぽん年金ねんきんをたくさんくばっているくにとしてられています。たいGDP国際こくさい比較ひかくをみたときに、日本にっぽん年金ねんきん給付きゅうふがくきわめてたかい。それなのに高齢こうれいしゃ貧困ひんこん深刻しんこくです。これはとても不思議ふしぎなことですよね。なぜ高齢こうれいしゃ貧困ひんこん深刻しんこくかというと、社会しゃかい保険ほけん問題もんだいきます。社会しゃかい保険ほけんりょうはらうことがまずしい人々ひとびときびしく、逆進ぎゃくしんてき機能きのうしているわけです。日本にっぽん場合ばあい所得しょとくさい分配ぶんぱい機能きのうおおくを社会しゃかい保険ほけん制度せいどたよっていて、ぜいによるさい分配ぶんぱいはほとんどできていません。たとえば年金ねんきん保険ほけんりょう一律いちりつ徴収ちょうしゅうするのでまずしい人々ひとびとほど負担ふたんおおきくなります。東京大学とうきょうだいがく大沢おおさわ真理まり教授きょうじゅ指摘してきするように、各国かっこく政府せいふ貧困ひんこんりつ削減さくげん度合どあいを比較ひかくしたデータ(グラフ2)をみると、日本にっぽんでは、相対そうたいてき所得しょとくひく一人ひとりおや世帯せたい単身たんしん世帯せたいのグループで、社会しゃかい保障ほしょう制度せいど存在そんざいすることによって貧困ひんこんがむしろすすんでいます。仮設かせつ住宅じゅうたく調査ちょうさからも、単身たんしん世帯せたい女性じょせいすさまじい貧困ひんこんかれていることがしめされています。かなしい現実げんじつです。

グラフ2:世帯類型別にみた貧困削減率の国際比較(2000年代半ば)
グラフ2:世帯せたい類型るいけいべつにみた貧困ひんこん削減さくげんりつ国際こくさい比較ひかく(2000年代ねんだいなかば)

渡辺わたなべ 若者わかもの貧困ひんこんりつたかまっているというはなしがありましたが、これにかんしては他国たこくくらべたときにどのような状況じょうきょうにありますか。

佐藤さとう 若者わかもの貧困ひんこんりつ世界せかいでもかなりたかほうですが、これはよくわれるように、雇用こよう政策せいさくよわいことに原因げんいんがあります。日本にっぽんは、積極せっきょくてき労働ろうどう市場いちば政策せいさくのように雇用こよう支援しえんするような支出ししゅつは、OECD諸国しょこくのなかでもひくいグループに位置いちします。

そして、雇用こようへの支援しえんがないことによってとりわけ問題もんだいになるのが、正規せいき雇用こよう増大ぞうだいしていて、正規せいきかれることで失業しつぎょうのリスクがたかまっていること。実際じっさいに、就労しゅうろう構造こうぞう基本きほん調査ちょうさによれば、被災ひさいさんけんにおける震災しんさい仕事しごとへの影響えいきょうは、正規せいき雇用こようひとほう正規せいき雇用こよう人々ひとびとよりもおおきいんです。仕事しごとへの影響えいきょうがあったひとのうち、離職りしょくしたひとがどれだけいるかというデータをると、正規せいき職員しょくいん従業じゅうぎょういん場合ばあいは6わりくらいが失業しつぎょうしている。たいして、正規せいき職員しょくいん離職りしょくしたひとは4わりくらいですから、2わりぐらいがあるわけですね。

被災ひさいでは貧困ひんこん問題もんだいあらわれている

渡辺わたなべ ようするに、被災ひさい問題もんだいは、とりわけ仙台せんだいにおいては貧困ひんこん問題もんだいだということですよね。調査ちょうさすすめるなかで、その認識にんしきがよりクリアになってきました。

佐藤さとう そうですね、被災ひさい貧困ひんこんとの関係かんけい明白めいはくです。貧困ひんこんのため長期ちょうき仮設かせつ入居にゅうきょ余儀よぎなくされているわけです。

渡辺わたなべ 住居じゅうきょしょくうしない、生活せいかつ不安定ふあんていになっているという問題もんだいですが、こうした現象げんしょう自体じたい派遣はけんりのときにもられたわけです。震災しんさいによってだい規模きぼ問題もんだいあらわれているというちがいはありますが、震災しんさいによる特殊とくしゅ問題もんだいではなく、住居じゅうきょ喪失そうしつ失業しつぎょうというリスクに社会しゃかいがどう対応たいおうするかという問題もんだいるべきですね。

佐藤さとう そうです。仮設かせつ住宅じゅうたくきている問題もんだい特殊とくしゅ問題もんだいではないという認識にんしき非常ひじょう重要じゅうようです。標準ひょうじゅん家族かぞく解体かいたいして単身たんしん家族かぞくすすみ、一方いっぽう雇用こよう劣化れっかしていく。こうしたなかで少子しょうし高齢こうれいすすんでいくわけですね。さきほどべたように、高齢こうれいしゃ貧困ひんこんりつたかいというのは日本にっぽん全体ぜんたいられる現象げんしょうです。そうであるならば、程度ていどはあれ日本にっぽん全員ぜんいん経験けいけんしている普遍ふへんてき問題もんだいだということになります。

ですから、仮設かせつ住宅じゅうたく被災ひさいしゃ方々かたがた状況じょうきょう調査ちょうさすることによって、日本にっぽん全体ぜんたい共通きょうつうする課題かだいかんがえることにつながります。調査ちょうさ意味いみはそういうところにあるとえます。

さらにえば、被災ひさいとしての仙台せんだい着目ちゃくもくすることで、仙台せんだいという都市としにおける貧困ひんこん問題もんだいあきらかにするという意義いぎ調査ちょうさにはあります。仙台せんだい復興ふっこう需要じゅようりつつあり、一方いっぽうでそのあいだ被災ひさいけんから人口じんこう流入りゅうにゅうしている。そうなれば都市としがた貧困ひんこんがより深刻しんこくになる可能かのうせいがあります。東北とうほくひとつのものとしてとらえられがちですが、東北とうほくなかでも明白めいはく差異さいがあるわけです。それぞれの関係かんけいなか被災ひさいかんがえていく必要ひつようがあるということを提起ていきすることにもなるとおもいます。

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ステレオタイプな被災ひさいしゃぞうもとめるメディア

渡辺わたなべ こうした現状げんじょうであるにもかかわらず、被災ひさい貧困ひんこんかんする世間せけん関心かんしんはものすごくうすいとかんじます。被災ひさい現状げんじょうやぼくたちの支援しえん活動かつどうについて、メディアの取材しゅざいける機会きかいがたくさんありました。被災ひさいいまどういう状況じょうきょうですかとわれたとき、被災ひさいしゃ生活せいかつ不安定ふあんていだという問題もんだい説明せつめいするんです。被災ひさいしゃはこういう状況じょうきょうかれていますと。すると、それは震災しんさいまえからある問題もんだいであって、被災ひさい問題もんだいではないという反応はんのうがすごくおおかった。被災ひさい問題もんだい貧困ひんこん問題もんだいとははなされてしまうんです。そこで、もとめられているのは、震災しんさい家族かぞくいえうしな精神せいしんてき打撃だげきけ、なかなかまえすすめないというステレオタイプな被災ひさいしゃぞうだったという印象いんしょうがあります。派遣はけんむら以降いこう可視かしされつつあった貧困ひんこんは、震災しんさい被災ひさいという特殊とくしゅ問題もんだい後景こうけい退しりぞき、ふたたえなくなってしまいました。しかし、被災ひさいかたるときにちている貧困ひんこん問題もんだいが、いますごく深刻しんこくになってきているとかんじます。

佐藤さとう 同様どうようのことを8がつ仙台せんだい市長しちょうせんかんじました。仮設かせつ住宅じゅうたく調査ちょうさからもかるように、医療いりょう減免げんめんがなくなった影響えいきょうはものすごくおおきいんです。医療いりょう減免げんめん制度せいどがなくなったので通院つういん回数かいすうらしている被災ひさいしゃ方々かたがたがいます。ところが、8がつ仙台せんだい市長しちょうせんでは、医療いりょう免除めんじょ制度せいど復活ふっかつうったえた対立たいりつ候補こうほは、現職げんしょく市長しちょうに12まんひょうけてしまう。どちらかの候補者こうほしゃいというわけではありませんが、医療いりょう減免げんめん制度せいど復活ふっかつ選挙せんきょ対立たいりつじくとしてはあまり注目ちゅうもくされてなかったのではないでしょうか。仙台せんだいにおける貧困ひんこん格差かくさ問題もんだいから人々ひとびとがそらされているようにおもいます。

必要ひつよう政策せいさくとは

渡辺わたなべ 被災ひさいしゃ貧困ひんこん状態じょうたいでの生活せいかついられていることをかんがえれば、支援しえんメニューが貸付かしつけきん中心ちゅうしんになっていることは問題もんだいだなとおもいます。震災しんさい直後ちょくごに、被災ひさいしゃへの支援しえんメニューをていておどろいたのは、義捐ぎえんきん震災しんさいくなられたほうたいする弔慰ちょういきんとうのぞけば、ことごとく貸付かしつけきんだということです。もちろん、用途ようと様々さまざまで、これから生活せいかつ再建さいけんしていくためのものであったり、どもにたいしてのもの、進学しんがくのための奨学しょうがくきんであったりするのですが、おしなべて貸付かしつけきんなんです。しかも、被災ひさいしゃけとうたわれてはいるものの、震災しんさいまえからあった貸付かしつけきん制度せいどあつめて被災ひさいしゃけと看板かんばんえているだけです。利用りよう要件ようけん緩和かんわされて、被災ひさいしゃけやすいというぐらいで、既存きそんのものと中身なかみわりません。

なぜ問題もんだいかとうと、貸付かしつけきん有効ゆうこう機能きのうするには条件じょうけん必要ひつようだとおもうのですが、そうした条件じょうけん存在そんざいしていないとおもうからです。というのも、貸付かしつけきんというのは借金しゃっきんですから、あくまで一時いちじてき生活せいかつあなめるためのものです。だから、就職しゅうしょくする、生活せいかつ再建さいけんするなど、返済へんさい見通みとおしがなかはじめて有効ゆうこう機能きのうするものですが、現実げんじつおおくのひとは、圧倒的あっとうてき貧困ひんこん状況じょうきょうなかかれてしまっている。そこでいくら貸付かしつけすすめたところで、いたずらに借金しゃっきんうだけの結果けっかにしかならず、むしろ生活せいかつがますますくるしくなる。

実際じっさい支援しえんかかわっているほうなかに、被災ひさい直後ちょくご貸付かしつけけた50まんえん現在げんざい生活せいかつをやりくりしているひとがいます。65さい求職きゅうしょくちゅうほうですが、年金ねんきんだけでは生活せいかつできないのでなにとかその不足ふそくぶんおぎなっていきたいとりたそうです。返済へんさいはじまるのは70さいですが、70さいになればいま以上いじょう就労しゅうろうむずかしくなるし、健康けんこうめんでのリスクもえてきます。そこに、ちをかけるように貸付かしつけきん返済へんさいはじまってしまう。貸付かしつけきん被災ひさいしたひと生活せいかつ再建さいけん支援しえんするどころか、むしろ結果けっかてきには被災ひさいしゃ生活せいかつ再建さいけん妨害ぼうがいしているのではないかとすらおもいます。

佐藤さとう 被災ひさい貧困ひんこん問題もんだいはなそうとするから、そういう発想はっそうてくわけです。被災ひさいというのはあくまで一時いちじてき問題もんだい当面とうめん貸付かしつけをすればそのうち復帰ふっきしてかえせるでしょうと。だけれども、さきほどからなんかいっているように被災ひさい問題もんだい貧困ひんこん問題もんだい密接みっせつ関連かんれんしています。リスクというのは平等びょうどうからないので、よわいところにとりわけこういう問題もんだい発生はっせいします。被災ひさい貧困ひんこん問題もんだいけたうえで、貧困ひんこんからはなされたところだけを支援しえんしようとする。だから、貸付かしつけ制度せいどのような発想はっそうてくるわけです。

貧困ひんこん問題もんだい被災ひさい関係かんけいなくずっとつづいている問題もんだいですから、復興ふっこう対策たいさくとか一時いちじてきなものも重要じゅうようだとはおもいますが、普遍ふへん主義しゅぎ原理げんりにたって、社会しゃかい保障ほしょう生活せいかつ保障ほしょう基礎きそからなおすようなもっと基本きほんてきなことが必要ひつようなんだとおもいます。
渡辺わたなべ 一方いっぽう被災ひさいしゃへの政策せいさくということでは、既存きそん社会しゃかい保障ほしょう制度せいど要件ようけん緩和かんわされ、一時いちじてき拡充かくじゅうしました。さきべた医療いりょう保険ほけん介護かいご保険ほけん減免げんめん措置そち、さらに雇用こよう保険ほけん期間きかん延長えんちょうなどですが、これらは被災ひさいしゃ生活せいかつ再建さいけんするものであったようにおもいます。雇用こよう保険ほけん失業しつぎょう給付きゅうふきん給付きゅうふ日数にっすうが、被災ひさいしゃにたいして30にちから60にち延長えんちょう措置そちがとられ、それでも仕事しごとがみつからないひとたいして特例とくれいで60にちさい延長えんちょうみとめられました。こうした措置そちおおきな効果こうか発揮はっきしたのではないかとおもいます。ぼくたちの就労しゅうろう支援しえんかかわっているほうなかに、雇用こよう保険ほけん受給じゅきゅうちゅうでうつをわずらっているほうがいましたが、すこ余裕よゆうって治療ちりょう専念せんねんすることができたようです。

佐藤さとう さきほど、普遍ふへんてき社会しゃかい保障ほしょう必要ひつようせいについていましたよね。いま政府せいふ一生懸命いっしょうけんめい景気けいきげようとしていますが、歴史れきしまねべば、貧困ひんこん景気けいき動向どうこうとは無関係むかんけい進行しんこうしてきている事実じじつ注目ちゅうもくする必要ひつようがあるとおもいます。たとえば、2002ねんから08ねんまでは「いざなみ景気けいき」とわれ、戦後せんご最長さいちょう好景気こうけいき記録きろくしましたが、そのなか貧困ひんこんりつはずっと拡大かくだいつづけたんです。「雇用こようなき景気けいき回復かいふく」とも「賃金ちんぎん上昇じょうしょうなき景気けいき回復かいふく」ともわれている。アベノミクスが奏効そうこうしたとしても、それが貧困ひんこん削減さくげんにつながるかどうかは未知数みちすうで、慎重しんちょうかんがえる必要ひつようがあるとおもいます。震災しんさい政局せいきょく不安定ふあんていだったために、社会しゃかい保障ほしょうぜい一体いったい改革かいかく震災しんさい問題もんだいとははなされて議論ぎろんされてきた経緯けいいがありますが、あらためて両者りょうしゃ関係かんけいうことがあってもいのではとおもいます。

雇用こよう創出そうしゅつ生活せいかつ再建さいけんできるのか?

渡辺わたなべ 基礎きそてき生活せいかつ保障ほしょう必要ひつようだということに関連かんれんしますが、生活せいかつ再建さいけん文脈ぶんみゃく雇用こよう創出そうしゅつ喧伝けんでんされることには違和感いわかんがあります。雇用こよう創出そうしゅつしていかないといけない、やっぱりはたら仕事しごとがないと生活せいかつ再建さいけんできないんだというわけです。これは被災ひさいでもよく強調きょうちょうされるし、こん流行りゅうこうのアベノミクスでもわれていることでしょう。もちろん、就職しゅうしょくすることは必要ひつようでしょうし、実際じっさいぼくたちは就労しゅうろう支援しえん事業じぎょう被災ひさいしゃほう就職しゅうしょく活動かつどうのお手伝てつだいもしています。

ただ、ぼくたちが被災ひさいしゃ就労しゅうろう支援しえんをするなかかってきたことは、仕事しごとくことがただちに生活せいかつ再建さいけんにつながるわけではないということです。ふたつの事例じれい紹介しょうかいしましょう。

ひとつは60だいなかばの男性だんせい就労しゅうろう支援しえんしたときのことです。一緒いっしょ仕事しごとさがしをしていたのですが、これぐらいの年齢ねんれいになってくると、就職しゅうしょくがすごくきびしい。なかなか雇用こよう仕事しごとけず、このほうたくしょく配達はいたつする個人こじん請負うけおい仕事しごと就職しゅうしょくしました。契約けいやくには月収げっしゅう8まんえん程度ていどわれていましたが、実際じっさい個人こじん請負うけおいのため、業務ぎょうむ使つか車両しゃりょう燃料ねんりょう保険ほけんだいなどの経費けいひがかかり、むしろ赤字あかじになってしまいました。1にち1しょくしかべられないような生活せいかつになってしまったんです。このケースでは、結局けっきょく退職たいしょくすることをうながして、べつ会社かいしゃへのさい就職しゅうしょくをサポートしました。

もうひとつは20だい前半ぜんはん男性だんせいのケースです。かれは、ぼくたちが就職しゅうしょく支援しえんはじめたさいにはダブルジョブ状態じょうたいでアルバイトをふたちしていました。正社員せいしゃいん希望きぼうされていたのですが、状態じょうたいでは就職しゅうしょく活動かつどう時間じかん確保かくほするのもむずかしいので、はなってアルバイトをひとめることになりました。その履歴りれきしょかた指導しどうしたり、職業しょくぎょう訓練くんれん受講じゅこうすすめたりして、なんとか運送うんそう会社かいしゃ正社員せいしゃいんとして就職しゅうしょくできたんです。ところが、その相談そうだんがあり、給料きゅうりょうはらわれず、会社かいしゃいまにも倒産とうさんしそうな状況じょうきょうおちいっている。生活せいかつこまっているから、金融きんゆう機関きかんから借金しゃっきんしようとおもうとうんです。かえすあてがなく借金しゃっきんするのはまずいよとなにとか説得せっとくしてということが、最近さいきんありました。このほうは1ねんぐらいかけてサポートしてきたのですが、結果けっかとしてはつぶれそうな会社かいしゃはい大変たいへんってしまった。

POSSEはもともと労働ろうどう相談そうだんんできた団体だんたいでもあり、就職しゅうしょくさき労働ろうどう条件じょうけんについてはかなりをつけながら支援しえんすすめてきましたが、それでも就職しゅうしょくさき労働ろうどう環境かんきょうはこれだけわるいものだった。こうしたケースからおもうのは、就職しゅうしょくすることそれ自体じたいは、かならずしもゴールではないということです。むしろ、どういう仕事しごとくのかということこそが重要じゅうようです。だから、雇用こようさえやせば上手うまくいくという意見いけんは、あまりにナイーブすぎるし、疑問ぎもんちますね。

佐藤さとう 同感どうかんです。雇用こようしつわずに、とにかく地域ちいき経済けいざいさえ活性かっせいすればいい、雇用こようさえまれればいいというはなしになりがちです。

仙台せんだい仕事しごとはあふれている」は本当ほんとうか?

渡辺わたなべ また、仙台せんだいにはこん仕事しごとあふれているのだから、ごのみせずにつけば生活せいかつ再建さいけんできるという言説げんせつもよくみみにします。でも、そもそも本当ほんとう雇用こようえているのでしょうか?たしかに、宮城みやぎけん有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつは1.25ばい(2013ねん6がつ)ですが、その内実ないじつはどうでしょうか。ちなみに2011ねん2がつだと0.51ばいで、全国ぜんこく36でした。だから、震災しんさいきるまえは、宮城みやぎけん仕事しごとさがしがすごくむずかしいけんだった。

それで、2013ねん6がつ仙台せんだい職種しょくしゅべつ有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつひょう1)をてみると、職種しょくしゅにはかなりかたよりがあります。保安ほあんは13.46ばいで、建設けんせつ採掘さいくつは3.97ばい輸送ゆそう機械きかい運転うんてんは3.48ばいです。保安ほあんというのは警備けいび仕事しごとですが、建設けんせつ採掘さいくつや、輸送ゆそうなど、つまり復興ふっこう需要じゅよう仕事しごとがすごくえていることがよくかります。ぎゃく人気にんきのある事務職じむしょくは0.3ばいで、ひく水準すいじゅんのまま推移すいいしています。

もちろん、復興ふっこう需要じゅよう関連かんれん仕事しごとをすべて否定ひていするわけではありませんが、全般ぜんぱんてきると短期たんき雇用こようてい賃金ちんぎん仕事しごとがすごくおおい。たとえば、保安ほあん仕事しごとでは、ハローワークに求人きゅうじんているものでは、フルタイムの平均へいきん賃金ちんぎんつき15まんえんです。ここから社会しゃかい保険ほけんりょうなどをくと、手取てどりでつき12まんえん程度ていどですから、その仕事しごとべていくのはかなり大変たいへんだろうなとおもいます。一見いっけんすると仙台せんだい求人きゅうじんすう自体じたいおおいですが、生活せいかつしていくにりるものか、はたらつづけることが可能かのうなのかと仕事しごと中身なかみ精査せいさしたとき、たしておおいとえるのか疑問符ぎもんふ求人きゅうじんじょうきょうだとおもいます。

そんななか、ぼくたちの就労しゅうろう支援しえんでは、はたらつづけられる仕事しごとくためのサポートをしています。技能ぎのうにつけ、てい賃金ちんぎんではなく、なるべくながはたらけるしょくく。「せんもん技術ぎじゅつしょく」の6がつ有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつは、1.91ばいなのですが、ぼくたちの支援しえんとしてはここへの就職しゅうしょく目指めざしています。そのために、職業しょくぎょう訓練くんれん制度せいど積極せっきょくてき活用かつようして、利用りようしゃほうには資格しかく取得しゅとくするようおすすめしています。

表1:仙台の職種別有効求人倍率(2013年6月、ハローワーク仙台管轄内)  出典:宮城労働局(http://miyagi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei.html)「求人・求職バランスシート」をもとに作成。
ひょう1:仙台せんだい職種しょくしゅべつ有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつ(2013ねん6がつ、ハローワーク仙台せんだい管轄かんかつない) 
出典しゅってん宮城みやぎ労働ろうどうきょくhttp://miyagi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei.html)「求人きゅうじん求職きゅうしょくバランスシート」をもとに作成さくせい

佐藤さとう それと、長期ちょうきてきにみて問題もんだいだとおもうのは、復興ふっこう需要じゅようということにかんしてえばじつはすでにピークアウトしているのではないかということです。有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつは、2013ねん3がつ、4がつ頂点ちょうてんとしていまは減少げんしょう傾向けいこうにあります。われわれのききと調査ちょうさからも、仕事しごと減少げんしょううったえるほうがいることがあきらかになっています。もちろん、短期たんきてきには反転はんてんすることもあるとはおもいますが、有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつはおそらくこのさきっていき、震災しんさいまえ平均へいきんであった0.6~0.7ばいぐらいまでがっていくこともかんがえられます。もっとさきには、さきほど渡辺わたなべさんが紹介しょうかいしていた0.51とかそういう数字すうじになることもありえます。「雇用こようのミスマッチ」だけを問題もんだいにしていればよいような状況じょうきょうながつづかないとおもいます。

渡辺わたなべ そうすると、復興ふっこう需要じゅよう仕事しごとはここ1ねん、2ねんでしぼんでいくわけですよね。やはり、どんどんしぼんでいく仕事しごとくことが生活せいかつ再建さいけんだとはえないですよね。でも、被災ひさい政策せいさくとして雇用こよう創出そうしゅつということがわれてしまう。そこでは、どういうらしをするのか、どのようなはたらかせかたをするのかということ、つまり生活せいかつ中身なかみ雇用こようしつというてん捨象しゃしょうされ、量的りょうてきはなしになってしまっていて、すごく問題もんだいだとおもうんです。

このように、しょくいたのち問題もんだいえてきたなかで、ぼくたちの就労しゅうろう支援しえんでは、最近さいきん就労しゅうろうのサポートにちかられています。支援しえん関係かんけい継続けいぞくして就労しゅうろうのトラブルにも対応たいおうできる、そういった支援しえんをしっかりやっていこうとおもっています。ひとつは、就職しゅうしょく労働ろうどう相談そうだんです。6がつまつ発足ほっそくした仙台せんだいのブラック企業きぎょう被害ひがい対策たいさく弁護べんごだんとの連携れんけいかんがえています。とはいえ現実げんじつ司法しほう使つかうにいたひとおおくはありません。そうしたほうたいしてはさきほどの60だい男性だんせいのケースのように、離職りしょくうながしてさい就職しゅうしょく支援しえんする。もうひとつは、労働ろうどうほう教育きょういくです。これは、職場しょくばでトラブルに遭遇そうぐうしたときみずか対処たいしょできるちからにつけることを目的もくてきとした支援しえんです。

いまもとめられる支援しえんとは

渡辺わたなべ では、すこ話題わだいうつして、被災ひさいあらわれている問題もんだいは、貧困ひんこん問題もんだいだという認識にんしきしたでどのように被災ひさいしゃ方々かたがた支援しえんしていけばいいのかということをはなします。被災ひさいしゃ方々かたがた支援しえんするさいによくわれるのは、「民間みんかんとのきょうはたらけ」です。行政ぎょうせいは、NPOや市民しみん活動かつどうきょうはたらかして、きめこまかい支援しえんをしていく、ということですね。実際じっさい、ぼくたちも仙台せんだいきょうはたらけ支援しえんおこなっていますが、一方いっぽう非常ひじょう限界げんかいかんじているのも事実じじつです。というのも、たとえば仙台せんだい宮城野みやぎのには8かしょのプレハブ仮設かせつ住宅じゅうたくがあるのですが、そのうちの6かしょ仮設かせつ住宅じゅうたくでPOSSEは送迎そうげい事業じぎょうをやっています。すごくニーズはあって、若林わかばやしなど仮設かせつ住宅じゅうたくからも運行うんこうしてほしいとの要望ようぼうています。でも、ぼくたちの力量りきりょうではどうしてもこれ以上いじょう拡大かくだいすることはむずかしい。すべての仮設かせつ住宅じゅうたく網羅もうらすることはできないんです。

あるいは、調査ちょうさ結果けっかにもあらわれているように、年収ねんしゅう100まんえん以下いかなど、生活せいかつ困窮こんきゅうしているほう仮設かせつ住宅じゅうたくにはたくさんいます。でも、そういったひとたちの生活せいかつをぼくたちが直接ちょくせつ肩代かたがわりすること、毎月まいつきなんまんえん援助えんじょするようなことはできません。だから、たとえば雇用こよう保険ほけん生活せいかつ保護ほごなど既存きそん社会しゃかい保障ほしょう制度せいど活用かつようしていくしかない。

このように、NPOが直接ちょくせつにできることには限界げんかいがある以上いじょう既存きそん制度せいど活用かつようするという方向ほうこう支援しえんをしていくことは重要じゅうようです。でも、現実げんじつにはそうなっていないことがおおい。ここでも、生活せいかつ保障ほしょうのそもそもの制度せいどやシステムをどう機能きのうさせるのか、あるいは改善かいぜんしていくのかという観点かんてんちてしまっています。「NPOとの恊働」というのはみみ心地ここちよい言葉ことばではあるけれど、制度せいどやシステム改善かいぜん視点してんいたままにすすめてもなかなか有効ゆうこう機能きのうしないのではないかとおもいます。こうしたてんをどのように議論ぎろんなかんでいくかは今後こんご課題かだいです。

佐藤さとう 一方いっぽうで、くに自治体じちたい政策せいさくには改善かいぜんられません。それどころか、どんどん劣化れっかしている部分ぶぶんもある。最近さいきん社会しゃかい保障ほしょう改革かいかく議論ぎろんも、日本にっぽん高齢こうれいしゃ貧困ひんこんりつたかいという現状げんじょうめたものになってはいない。仙台せんだい場合ばあいも、復興ふっこう対策たいさくすすめるといながら一方いっぽうでは財政ざいせい再建さいけんすすめているので、社会しゃかい福祉ふくし拡充かくじゅうするどころか、これまでとお維持いじしていくような体力たいりょく余裕よゆうはなくなりつつあります。こうした状況じょうきょうのなかで、たとえば、最低さいてい保障ほしょう年金ねんきんをあっさりと議論ぎろん対象たいしょうからはずし、介護かいご保険ほけんよう支援しえんしゃ本体ほんたいからはなしたうえで、自治体じちたい独自どくじ事業じぎょう移管いかんしていく施策しさくおこなえばどういう問題もんだいしょうじるのはあきらかなようにおもいます。

渡辺わたなべ そうしたなかで、支援しえんしゃがわは、どのような目的もくてきって支援しえんをするのかよくかんがえる必要ひつようがありますよね。たんに支援しえんをしていくだけでは不充分ふじゅうぶんではないかとおもうんです。

震災しんさい直後ちょくご仙台せんだいにはおおくのボランティア団体だんたい支援しえん団体だんたいおとずれていました。それらを「いい」「わるい」と一括いっかつしてかたることはできないのかもしれませんが、単発たんぱつてき、イベントてき支援しえんおおかったようにおもいます。あるときやってきて支援しえん物資ぶっしくばってかえっていく、あるときポッとあらわれて仮設かせつ住宅じゅうたくでおまつりをしてイベントをしてる。こうした支援しえんは、被災ひさいしゃ瞬間しゅんかんてき元気げんきあたえるというてんではたしかに意味いみがあります。実際じっさいぼくたちは、仮設かせつ住宅じゅうたく花見はなみなつまつりのイベントも開催かいさいしています。住民じゅうみんほうから、仮設かせつ住宅じゅうたくなかでふさぎみがちなので、そと機会きかいつくってくれて本当ほんとううれしいとの感想かんそうをいただくこともあります。

しかし、留意りゅういすべきは被災ひさいしゃ生活せいかつはイベントののちつづくということです。被災ひさいした人々ひとびとは、まつりがわったつぎきていかねばならず、生活せいかつ再建さいけんする必要ひつようがあるわけです。このことにたいし、どれほどの支援しえん団体だんたいやボランティアが自覚じかくてきだったでしょうか。それどころか、おおくの団体だんたい関心かんしんであったとっても過言かごんではありません。そうした支援しえん相次あいつぐなかで、被災ひさいしたほう日常にちじょう生活せいかつをどのようにささえていくのかという問題もんだい意識いしきのもとで、ぼくたちは一貫いっかんして支援しえんしてきたつもりです。

ところが、いまではこのような単発たんぱつのイベントがた支援しえんでさえっています。対照たいしょうてきに、被災ひさいしゃ生活せいかつはどんどん深刻しんこくさをしているのが現状げんじょうです。こうした状況じょうきょうまえたうえで、どのような被災ひさいしゃ支援しえんをすべきか、いまいちかんがなおしていくことが重要じゅうようです。

佐藤さとう たしかに、自治体じちたい体力たいりょくうしないつつあるなかで、現状げんじょうでわれわれができることとえばきちんとニーズを把握はあくして、それを普遍ふへんてき政策せいさくにつなげていくような調査ちょうさをして社会しゃかいうったえていくということぐらいなのかもしれません。とりわけ、仙台せんだい被災ひさいとしてみる視線しせん被災ひさい貧困ひんこんという問題もんだい関連かんれんさせて視点してん決定的けっていてき欠落けつらくしているなかで、きちんと調査ちょうさをする意義いぎはすごくおおきいとおもいます。

渡辺わたなべ おっしゃるとおりで、調査ちょうさからあきらかになった貧困ひんこん課題かだいをいかにして普遍ふへんてき生活せいかつ保障ほしょう制度せいど議論ぎろんへとつなげていくかが、ぼくたち支援しえんしゃわれています。2年間ねんかんにわたる支援しえんなかで、たんに送迎そうげいをしたり勉強べんきょうおしえたりするだけでは、被災ひさいしゃ生活せいかつ課題かだい解決かいけつできないという限界げんかいにぶちあたりました。だからこそ、現状げんじょう打破だはするために、被災ひさい仙台せんだい実相じっそう社会しゃかい発信はっしんし、ここから議論ぎろんてていくことが必要ひつようです。もちろん、状況じょうきょうただちにえうるとはおもいませんが、現場げんば被災ひさいしゃ日常にちじょう密着みっちゃくした支援しえんつづけ、様々さまざま生活せいかつ課題かだいえきたからこそ、まなければならないとかんじています。

大学生だいがくせい×NPOの可能かのうせい

佐藤さとう 調査ちょうさいんとしてぼくのゼミせい参加さんかさせていただいています。最後さいごに、教育きょういくという観点かんてんから、この調査ちょうさにどのような意義いぎ展望てんぼうがあるのかおはなしします。そもそも、どうしてぼくがPOSSEにこえをかけたのかとうと、大学だいがく教育きょういくがうまくっていないといわれるなかで、わか学生がくせいたちの可能かのうせいてたくないとおもっているからです。

最近さいきん学生がくせいたちはやるがない」なんていうのはよくかれるクリシェですが、それはうそです。大学だいがくはいりたてのいち年生ねんせいせっしてみればかるように、みんななにまなんでやろうとして大学だいがくはいっています。だけど、そうした問題もんだい意識いしきいちねんつづきません。それは学生がくせいたちがわるいんじゃなくて、われわれの問題もんだいだとおもっています。

社会しゃかい流動りゅうどうせいたかまっていくなかで、テキスト中心ちゅうしんがく中心ちゅうしん授業じゅぎょうだけをやっていても効果こうかうすい。それで試験しけん点数てんすうって単位たんい取得しゅとくして卒業そつぎょうしたからといって、それがなんだっていうんでしょうか。現実げんじつ学生がくせい必要ひつようとしているのは知行ちぎょう合一ごういつてきな、行動こうどうし、実践じっせんするための知識ちしきです。社会しゃかいかかわって、最終さいしゅうてきには社会しゃかいえていくような知識ちしきをどうやってまなんでいくのか。そこで、ぼくよりわか大学生だいがくせい大学院生だいがくいんせいふくめたひとたちが立派りっぱ活動かつどうをやっているということで、POSSEにかかわらせてもらうことにしました。POSSEのメンバーは、ぼくのゼミせい年齢ねんれいちかいのでられるものもおおいだろう、たくさんの刺激しげきけるにちがいないとかんがえたんです。

渡辺わたなべ 今年ことしの4がつに、突然とつぜん佐藤さとう先生せんせいから「ゼミをどうするか相談そうだんしたいんですけど」と電話でんわがかかってきたんですよね(笑)。

佐藤さとう ええ、ゼミのはじまる2にちまえとかそんなかんじですよね。まえにもらった渡辺わたなべさんの名刺めいし一生懸命いっしょうけんめいさがして。それで電話でんわかけたらすぐOKしてくれたんでしたよね?

渡辺わたなべ はい、そので。やりましょうと。ずっと調査ちょうさをやりたいとはかんがえていたんです。POSSEでも4がつにボランティア募集ぼしゅうをするのですが、なかなかひとあつまらなくて、そんなときに佐藤さとう先生せんせいから連絡れんらくがあり、わたりにふねというかんじでした。

佐藤さとう 実際じっさい学生がくせいはよく勉強べんきょうしてくれています。POSSEでは勉強べんきょうかいもやっていて、日曜日にちようびに3あいだぐらい勉強べんきょうするんです。いまどき、日曜日にちようび勉強べんきょうしている大学生だいがくせいがいるでしょうか(笑)。 ゼミでも当然とうぜん文献ぶんけんむし、ボランティアもやる。もちろん、バイトもしています。そのなかきたえられて、学生がくせい成長せいちょう実感じっかんしています。

渡辺わたなべ 正直しょうじき、ゼミと一緒いっしょにやるのはぼくたちとしても不安ふあんがありました。というのも、POSSEのボランティアは自発じはつてきなにかをやりたくてひとたちですが、ゼミというのは、あるしゅ制度せいどてきあつまるところです。なかには、あまりすすまないけど先生せんせいわれてしょうがなく参加さんかするひともいるのではとおもっていました。ところが、佐藤さとうゼミの学生がくせいはすごく積極せっきょくてき様々さまざま支援しえん現場げんばにも参加さんかしてくれている。いい意味いみ予想よそう裏切うらぎられましたね。

佐藤さとう 先日せんじつ、インゼミで大学だいがく学生がくせい議論ぎろんさせたのですが、かんがえるちからしゃべちから大学だいがく学生がくせいとは格段かくだんちがうとかんじました。ようするに、教育きょういくのありかたえられる。それをぼくの学生がくせい実証じっしょうしてくれていて、うれしくおもっています。だから、この仮設かせつ調査ちょうさは、元気げんき学生がくせいわかいNPOとの共同きょうどう調査ちょうさというてんにおいて、大学だいがく教育きょういくのありかたそのものをい、えてしまうことになるのかなともかんがえています。

渡辺わたなべ 幸運こううんにも、こうやって、佐藤さとうゼミの協力きょうりょくられながら調査ちょうさすすめているところなので、これからあきにかけて調査ちょうさかさねて、まとめたものをシンポジウムやイベントのかたち発表はっぴょうしていきたいとおもっています。

(2013ねん9がつ6にち仙台せんだいPOSSE主催しゅさいシンポジウムにて収録しゅうろく)

プロフィール

佐藤さとうしげる財政ざいせいがく

1981ねん新潟にいがたけんまれ。東北学院大学とうほくがくいんだいがく経済学部けいざいがくぶじゅん教授きょうじゅ横浜国立大学よこはまこくりつだいがく大学院だいがくいん国際こくさい社会しゃかい科学かがく研究けんきゅう博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう博士はかせ(経済けいざいがく)。せんもん財政ざいせいがく共著きょうちょに『交響こうきょうする社会しゃかい』(ナカニシヤ出版しゅっぱん、2011ねん)、『危機きき再建さいけん比較ひかく財政ざいせい』(ミネルみねるァ書房ぁしょぼう、2013ねん)。

この執筆しっぴつしゃ記事きじ

渡辺わたなべ寛人ひろとNPO法人ほうじんPOSSE仙台せんだい支部しぶ代表だいひょう

1988ねん神奈川かながわけんまれ。NPO法人ほうじんPOSSE仙台せんだい支部しぶ代表だいひょう。一橋大学大学院社会学研究科修士課程在籍。せんもんは、貧困ひんこん問題もんだい社会しゃかい福祉ふくし東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい発生はっせいの2011ねん5がつ仙台せんだいうつみ、以後いご被災ひさいしゃ支援しえん活動かつどうんでいる。

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