『ハンチョウ』編集へんしゅう者しゃが語かたるヒット作さくの因数いんすう分解ぶんかい サイバー村松むらまつ氏し｢作家さっかの狂気きょうきを理解りかい可能かのうにせよ｣

育成いくせい、案出あんしゅつし、ブランディング…仕事しごとは多岐たきにわたる。

村松むらまつ充たかし裕ひろし（むらまつ・みつひろ）／サイバーエージェント STUDIO ZOON チーフエディター。2002年ねんに講談社こうだんしゃ入社にゅうしゃ。『週刊しゅうかん少年しょうねんマガジン』編集へんしゅう部ぶ、『週刊しゅうかんヤングマガジン』編集へんしゅう部ぶを経験けいけんし、Web漫画まんが媒体ばいたい『コミックDAYS』を立たち上あげ。20年ねんに『モーニング』編集へんしゅう部ぶ。22年ねん12月に退職たいしょくし、現職げんしょく。担当たんとう作さく：『食糧しょくりょう人類じんるい』『1日にち外出がいしゅつ録ろくハンチョウ』（撮影さつえい：尾形おがた文ぶん繁しげる）

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編集へんしゅう者しゃの仕事しごとの9割わりは、作家さっかとの打うち合あわせだ。学校がっこうの先生せんせいが壇上だんじょうに立たつ前まえ、「いい授業じゅぎょうにしよう」とフッと気合きあいを入いれる──打うち合あわせに臨のぞむ編集へんしゅう者しゃは、まさにこんな心持こころもちといえる。大切たいせつなのはうそをつかないこと。「こんなこと言いっていいのか」と制限せいげんをかけず、素朴そぼくな意見いけんでも伝つたえるようにしている。

打うち合あわせで何なにを決きめるかは、作家さっかの置おかれた段階だんかいによって異ことなる。「何なにかやりたいが、決きまっていない」のなら、まずはその人ひとの中なかの作品さくひんになりうる部分ぶぶんを探さがし、形作かたちづくる。その作家さっかのよさ、興味きょうみのあること、それがどう仕上しあがれば世よの中なかで受容じゅようされるか。雑談ざつだんを通つうじて探さぐっていく。「さっきからずっとこの話はなしをしてますね。執着しゅうちゃくあるんじゃないですか」「確たしかに」「なら、こういう主人公しゅじんこう像ぞうがいいのでは」といった具合ぐあいだ。

最終さいしゅう的てきにはその作家さっかが何者なにものか、という深ふかいところまで掘ほり下さげることになる。

「面白おもしろい」は技術ぎじゅつだ

描えがきたいものが頭あたまの中なかで完結かんけつしている作家さっかは少すくない。編集へんしゅう者しゃという触媒しょくばいが要いる。ただ、僕ぼくらができるのは発火はっかさせるまで。残のこりの98％は作家さっかの力ちからだ。

ヒットを生うみ出だすポイントは2つ。