友だちの数、生産性の高いチームのメンバー数、縦割り化する会社の社員数……。これらの人数は、進化心理学者のロビン・ダンバーが発見した「ダンバー数」や「ダンバー・グラフ」に支配されている。古来より人類は、「家族」や「部族(トライブ)」を形作って暮らしてきたからだ。
メンバー
同士が
絆を
深め、
信頼し
合い、
帰属意識をもって
協力し
合う、
創造的で
生産性の
高い
組織を
築くためには、このような
人間の
本能や
行動様式にかんする
科学的な
知識が
不可欠である。
日本語版が2024
年10
月に
刊行された
『「組織と人数」の絶対法則』について、
進化生物学者の
長谷川眞理子氏に
話を
聞いた。3
回にわたってお
届けする。
進化心理学をビジネスに応用した初の書
進化心理学や進化生物学の知見が、ビジネスなど現実社会の組織運営に応用されることは、日本ではありませんでした。
「ダンバー数」や「ダンバー・グラフ」と呼ばれる5、15、50、150という数字の法則は、人間の脳の大きさと、その大きさで処理できる社会的な情報の限界という意味で、非常に重要なものだと思います。
150人という人数が、あまり苦労せずに人を思い出せる限界であり、人が一緒になれる人数だということ、そして、それが人間の社会生活を制限するものであるということもわかっていました。
しかし、「ダンバー数」を提唱したロビン・ダンバー氏自身、大脳新皮質の容量から数字を導き出した後、本当にそうなのかを実証することに時間を使ってきたわけです。
本書にも書かれているように、軍隊の組織は大体150人で1つのまとまりになっており、それが分割されていること、SNSなどの新しい装置が広まっても、そこで日常的に話せるのは150人が限度であることなどは実証されてきました。
その上で、「ダンバー数」を使って、この複雑な社会をどう運営するべきなのかに言及したのは本書が初めてでしょう。
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