• 2021.01.21
• 宮武みやたけ和かず多た哉（旅行りょこう・乗のり物ものライター）

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「駅えきそば」は改札かいさつ内ないに多おおく見みられますが、「駅えきラーメン」だと、そこまで多おおくはありません。しかしその分ぶん、駅えきラーメンの世界せかいは、駅えきそばのように「ホームで」「サッと食たべられる」にとどまらない多様たよう性せいに満みちています。

意外いがいと少すくない駅えきラーメン、でも九州きゅうしゅうはラーメン天下でんか

　通勤つうきん中ちゅうなどの忙いそがしい時間じかんに、頼たのむとサッと出でてくる「駅えきそば」は、規模きぼの大おおきな駅えきを中心ちゅうしんに全国ぜんこくで見みられます。それに対たいし、意外いがいと見みかけないのが「駅えきラーメン」です。例たとえばJR大宮おおみや駅えき 京浜東北線けいひんとうほくせんホームにある「駅えきそば大宮おおみや」のように、そば・うどんと一緒いっしょにラーメンを提供ていきょうしている店みせはあれども、今いまや「国民こくみん食しょく」とすら呼よばれるラーメンをメインに出だす店みせは、駅えきでは少数しょうすう派はです。

　その理由りゆうとして、やはり「茹ゆで時間じかん」による手間てまが挙あげられます。半生はんせい状態じょうたいの麺めんを番つがえ重じゅう（ばんじゅう）で保管ほかんし、注文ちゅうもんが入はいると同時どうじにさっと茹ゆでてすぐ提供ていきょうできるそばと違ちがって、ラーメンは水みずを吸すいやすく「茹ゆで置おき」ができません。また、茹ゆでるとかん水すいが溶とけ出だすため、お湯ゆも早はやめの交換こうかんが必要ひつようとなり、限かぎられたスペースでの調理ちょうり・提供ていきょうには相当そうとうなハンデがあると言いえるでしょう。

　数少かずすくない「駅えきラーメン」のなかでも利用りよう者しゃが多おおいのは、JR博多はかた駅えき、小倉こくら駅えきなどのホームでJR九州きゅうしゅうの系列けいれつ企業きぎょうが経営けいえいする「ぷらっとラーメン」ではないでしょうか。立たち食ぐいカウンターはどこも数すう人にんで満員まんいんになる狭せまさですが、その味あじは、手早てばやにいただく一杯いっぱいとしては十分じゅうぶんすぎるほどのクオリティです。なお博多はかた駅えきや小倉こくら駅えきには他ほかにも駅えきそば・うどんの店みせがありますが、名物めいぶつ「かしわうどん」をウリにしていることもあり、ホームで「そば」を食たべている人ひとは少数しょうすう派はです。

　九州きゅうしゅうの駅えきでラーメンが優位ゆういを保たもつ理由りゆうは、一般いっぱん的てきな中華麺ちゅうかめんよりおおよそ1～2割わりはスリムな九州きゅうしゅう独特どくとくの細ほそ麺めんにあると考かんがえられます。麺めんの硬かたさのオーダーが「バリカタ」（だいぶ固かため）であれば、茹ゆで上あがりまでものの20秒びょうほど、スープとネギをかけて提供ていきょうするだけで、紅べにショウガやすりおろしニンニク、ゴマ、辛子からし高菜たかなでラーメンを彩いろどるのは客きゃくの役目やくめです。これらの補充ほじゅうは大変たいへんですが、店舗てんぽ内ないにおけるオペレーションはそば店てん並なみに効率こうりつが良よいと言いえるでしょう。