理事りじ長ちょう挨拶あいさつ(2016)

永田ながた晴はれ紀おさむ（Harunori NAGATA）北海道大学ほっかいどうだいがく教授きょうじゅ

UNISECの皆様みなさまへ

2002年ねん4月がつにUNISECが結成けっせいされ、2003年ねん2月がつにNPO法人ほうじん化かされて以来いらい、参加さんか団体だんたい数すうは年々ねんねん増ふえ続つづけ
け、今いまでは70団体だんたい、1000名めい規模きぼの学生がくせいがUNISECで活動かつどうしています。規模きぼの拡大かくだいに従したがって活動かつどう領域りょういきも広ひろがっていますが、その中なかで、UNISECがUNISECであり続つづけることが意外いがいと難むずかしいように感かんじています。 UNISECは大学だいがく衛星えいせいコンソーシアムとハイブリッドロケット研究けんきゅう会かいが合流ごうりゅうして誕生たんじょうしました。本気ほんきで宇宙うちゅうを目指めざすプロジェクトに取とり組くむ大学だいがく・高こう専せん研究けんきゅう者しゃが切磋琢磨せっさたくまし、それぞれのプロジェクトを見みせ合あい、刺激しげきし合あう場ばがUNISECです。

2015 年度ねんどに新あらたに立たち上あげた相互そうご教育きょういくプログラムは、各かく団体だんたいの責任せきにん教員きょういんが他た団体だんたいのプロジェクト報告ほうこくの審査しんさをし合あうという、言いわば最もっともUNISEC らしい活動かつどうとして設計せっけいされたものですが、国内こくないトップクラスの大学だいがくにはあまり魅力みりょく的てきではなかったようです。本気ほんきで宇宙うちゅうを目指めざす団体だんたいが学まなび合あい、競きそい合あうという機能きのうが働はたらきにくくなっているように思おもいます。

UNISECは、本気ほんきで宇宙うちゅうを目指めざす研究けんきゅう者しゃの集あつまりです。勿論もちろん、様々さまざまな参加さんかのあり方かたが許ゆるされると思おもいますが、宇宙うちゅうを目指めざさない活動かつどうはあくまでも傍流ぼうりゅうであるべきで、UNISECは常つねに、本気ほんきで宇宙うちゅうを目指めざそうとする大学だいがく・高こう専せん研究けんきゅう室しつにとって魅力みりょく的てきな団体だんたいであるべきです。我々われわれの目的もくてきは宇宙うちゅうに行いくことであり、思おもい出で作づくりや仲間なかま作づくりや人材じんざい育成いくせいやプロジェクトマネージメントを学まなぶことではありません。それらは好このましい結果けっかではあっても、目的もくてきではないです。

我々われわれはもっと真剣しんけんに宇宙うちゅうを目指めざすべきだし、本気ほんきで宇宙うちゅうに行いこうと思おもっていない団体だんたいや活動かつどうが UNISECの大だい部分ぶぶんになるべきではありません。缶かんサットより先さきに進すすむ気持きもちが無ない団体だんたいや、何なん年ねん経たっても買かって来きたロケットモーターで 1 km規模きぼ未満みまんの打うち上あげを続つづけている団体だんたいはUNISECを去さるべきと言いうつもりはありませんが、そのような団体だんたいばかりになった結果けっか、本気ほんきで宇宙うちゅうを目指めざす団体だんたいにとってUNISECが魅力みりょく的てきな場ばでなくなっているとしたら事態じたいは深刻しんこくです。2015年度ねんどの相互そうご教育きょういくプログラムに、国内こくないトップクラスの宇宙うちゅう開発かいはつ実績じっせきを誇ほこる複数ふくすうの研究けんきゅう室しつが参加さんかしなかったという事実じじつを、我々われわれは重おもく受うけ止とめています。

高度こうど100 km 以上いじょうとされる宇宙うちゅうに到達とうたつするロケットを開発かいはつするのは容易よういなことではありません。しかし、10年ねん以上いじょう活動かつどうを続つづけている団体だんたいが対流圏たいりゅうけんすら脱出だっしゅつできていない、あるいは脱出だっしゅつ可能かのうなエンジンを開発かいはつできていないのだとしたら、我々われわれは本気ほんきで宇宙うちゅうを目指めざしてるんだろうかと自問じもんすべきだと思おもいます。ロケット機体きたいの構造こうぞう設計せっけいや空そら力りょく設計せっけいも勿論もちろん重要じゅうようですが、ロケットの推力すいりょく室しつ（噴射ふんしゃ器き、燃焼ねんしょうチャンバー、ノズル）を設計せっけいしたことが無ない人ひとをロケッティアとは思おもいませんし、そのような活動かつどうの先さきに宇宙うちゅうは無ないです。

UNISECの背骨せぼねは、本気ほんきで宇宙うちゅうを目指めざす研究けんきゅう者しゃの集あつまりである、ということです。本気ほんき、というのは、宇宙うちゅうに到達とうたつするための具体ぐたい的てきかつ実行じっこう可能かのうな戦略せんりゃくを持もっていて、各かく年度ねんどの実施じっし内容ないようはその戦略せんりゃくに沿そっている、ということです。いつか宇宙うちゅうに繋つながる、とか、少すこしでも

宇宙うちゅうに近付ちかづくことが出来できた、とかでは、本気ほんきとは言いいません。勿論もちろん、背骨せぼねに繋つながる枝葉えだは的てきな活動かつどうが有あってもいいのですが、しっかりした背骨せぼねが中心ちゅうしんに保持ほじされていることがとても大事だいじです。我々われわれは今いま、この背骨せぼねを見失みうしないつつあるのではないだろうか、という危機きき感かんを持もっています。UNISECの背骨せぼねになる気概きがいを持もって参加さんかする「本気ほんきの」団体だんたいがもっと出でて来きてほしい、そのために今いま何なにができるのか、何なにをすべきなのか、しっかり考かんがえて、より高たかいところを目指めざして進すすみたいと思おもいます。