携帯料金、安くなる?
他社への「接続料」引き下げへ
接続料引き下げが通話料値下げにつながるか(ビックカメラ有楽町店で)
他社の携帯電話に利用者が電話をかける際に、通信会社間で支払われている回線使用料金(接続料)が2010年度から新ルールに基づいて引き下げられる見通しとなった。
総務省の検討委員会が接続料の算定方法を見直す指針をまとめ、10月中旬に決定する。ただ、接続料が下がっても利用者が支払う通話料金の値下げにつながるかどうかは、業界内に温度差がある。(有泉聡)
ソフトバンクは他社より割高
接続料は、電話をかける側の通信会社が通話時間に応じて相手側の会社に支払う。会社同士でやり取りしているため、利用者が支払う通話料のうちいくらが接続料分か料金明細には明示されていない。
08年度の携帯大手4社の接続料(近距離通話3分)はNTTドコモが28・8円、イー・モバイルが29・34円、KDDIが31・5円、ソフトバンクモバイルが36・72円。ソフトバンクはドコモより約3割高い水準だ。
接続料の算定方法には具体的なルールがなく、各社の判断に任されている。ソフトバンクは接続料が割高な点について「使っている電波の周波数が違い、設備関係で他社よりコストがかかっている」と説明する。
今回の接続料見直しは、ドコモが今年1月、ソフトバンクに支払う接続料が不当に高いとして総務省に算定ルールの透明化を求めたことから始まった。
検討委が10月に決定する指針では、公正な競争を実現するという観点から接続料の算定方法を見直す。これまで接続料を算定する場合に含まれていた広告宣伝費などを含めないようにする方針だ。巨額の広告宣伝費などを除くことで接続料が引き下げられることになる。通信大手4社は10年度から新たな指針に沿った接続料に改定する方針で、総務省によると各社の接続料は最大20〜30%程度下がる見込みだという。
利用者が気になるのは通話料金がどうなるかだ。これについては業界内で意見が分かれている。
契約者数が最も多いドコモは「設備などのコストが下がらなければ、通話料の値下げには直結しない」と説明。KDDIとソフトバンクも通話料の値下げには慎重な構えだ。
イー・モバイル、値下げ検討
接続料は各社が相互に支払うため、値下げすれば相手に支払う接続料が減ってコスト削減に効果がある一方、受け取る接続料も減って収入全体が減少する。接続料の引き下げが収益構造にどれだけ影響するかが見通せないことが通話料値下げに慎重な理由と見られる。
契約者数が少なく、他社の携帯電話にかけることが多いイー・モバイルは「接続料が下がったら、通話料の値下げも検討する」と積極的だ。検討委の主査を務める東海幹夫・青山学院大教授は「利用者の利便性向上が最終目標。接続料の算定ルールの透明化は大いに役立つ」と通話料の値下げにつながることに期待している。
(2009年9月29日 読売新聞)