落語家・三遊亭栄楽さん「伊勢参り」
日本橋から460キロ 12日かけ
落語家の三遊亭栄楽さん(49)が6日朝、東京・日本橋から三重県の伊勢神宮まで約460キロの「伊勢参り」に出発した。江戸っ子の旅を再現したいという思いに加え、先日亡くなった円楽師匠の健康回復を祈る意味も込めて計画していた。告別式を前日、終えたばかりの栄楽さんは、「体力的にきつい時もあると思うが、師匠が見ていてくれるはず。何としても目標を達成して師匠に報告したい」と意気込み、白装束にわらじという江戸時代の旅人姿で軽やかに出発した。17日の到着を目指している。(蒔田一彦)
ファンらに見送られ、伊勢参りに出発する三遊亭栄楽さん
栄楽さんは、1984年に円楽師匠のもとに入門した。落語に登場する江戸時代の風習や文化に興味を持ち、舞台の地を訪れるなどするようになった。
高血圧と医師に診断されて1年ほど前、健康作りのためにウオーキングを開始。その延長上で伊勢参りを計画し、「闘病中の師匠の健康も祈ってこよう」と考えたという。
もともと4日に出発する予定だったが、師匠が29日に亡くなったため延期。5日の告別式では、「師匠は天寿を全うされました。自分も自分の力で目標を達成します」と誓ったという。
旅では浮世絵などを参考に当時の旅人の格好を再現。自作の背負子(しょいこ)には、替えのわらじを詰めた。「江戸時代の人が感じた旅の苦労と楽しさを味わいたい」と話し、見送りに集まったファンや兄弟子らと笑顔で握手を交わして旅立った。
途中、9日に静岡県島田市で落語会を開くほか、到着後の18日には三重県伊勢市内の大学で「江戸の芸能史」の講義を行う予定。旅の模様は随時、自身のブログ(http://ameblo.jp/sannyuuteieiraku/)で報告する。
(2009年11月7日 読売新聞)