そりゃ過労かろう死しするわ…世界一せかいいち甘あまやかされた客きゃく？　「やりすぎ」サービスでもまだ不満ふまんな日本人にっぽんじん (1/6ページ)

　「おもてなし」の言葉ことばに代表だいひょうされる、日本にっぽんの素晴すばらしい接客せっきゃくやサービス。しかしこれを当然とうぜんと思おもい、世界一せかいいち“甘あまやかされている”ことに気付きづかないから、「働はたらき方かた改革かいかく」がうまくいかないのではないか。コラムニストの河崎かわさき環たまきさんが、スイス、フランス、ロンドンで暮くらした経験けいけんから、日本にっぽん社会しゃかいの歪ゆがみを問とう。

　「日本にっぽんはどこに行いっても、過剰かじょうサービスだなぁ……」。かつて欧州おうしゅうに住すんでいた頃ころ、一時いちじ帰国きこくするといつもそんな感想かんそうを持もっていた。既すでに、欧州おうしゅうから日本にっぽんへ向むかう道中どうちゅうから「日本にっぽんのスペシャルなサービス」は始はじまっている。日系にっけいのエアラインでＣＡさんにものすごく丁寧ていねいに扱あつかっていただくと、恐縮きょうしゅくのあまり「ありがとうございます」「恐おそれ入いります」と、こちらが慇懃いんぎんなくらいお礼れいの言葉ことばを連発れんぱつしてしまう。

　おしぼり一ひとつ取とってもそうだ。たとえビジネスクラスでも、欧州おうしゅう内ないのエアラインでは男女だんじょともにガタイのいいベテランＣＡからトングでピランッと投なげつけられるのが当あたり前まえの光景こうけい。しかしＪのつく日系にっけいエアラインでは常つねに笑顔えがおで美うつくしいキャビンアテンダントが両手りょうてを添そえて渡わたしてくれるので、こちらも慌あわてて両手りょうてでお受うけする。その瞬間しゅんかん、いつも思おもっていた。「日本人にっぽんじんよ、これが当あたり前まえだと思おもっちゃいけない」。おしぼりレベルからそんな感かんじなので、１２時じ間あいだのフライトを終おえるとすっかり「サービス受うけ疲つかれ」を起おこし、一方いっぽうでたった１２時じ間あいだにも関かかわらず良よいサービスを受うけることに麻痺まひし、無口むくちになっていた。それが帰国きこくの洗礼せんれいでもあった。

「サービスは価格かかくに込こみになっている」とたたき込こまれた欧州おうしゅう生活せいかつ