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青空文庫作業マニュアル【本という財産とどう向き合うか】

青空あおぞら文庫ぶんこ作業さぎょうマニュアル【ほんという財産ざいさんとどううか】

青空あおぞら文庫ぶんこ形式けいしきのテキストファイルをつくるためのマニュアルです。

青空あおぞら文庫ぶんこでは、いろいろなひとあらわしたさまざまな作品さくひんを、コンピューターであつかえるファイルのかたちととのえ、インターネットをとおしてめるようにしようとかんがえています。

それぞれの作品さくひんには、いたひとかんがえやおもいがめられているはずです。作者さくしゃにとって、表現ひょうげんみずからの分身ぶんしんでしょう。

そんな作品さくひんひとひとつを、わたしたちは大切たいせつあつかっていきたいとおもいます。

資料しりょうとしての価値かち証言しょうげんとしての意味いみなど、作品さくひん収録しゅうろくする意欲いよくそだてるいくつかの動機どうきなかでももっともおおきなものは、内容ないようへの共感きょうかん作者さくしゃへの尊敬そんけいでしょう。くわえてわたしたちには、自分じぶん自身じしん大切たいせつあつかってもらいたいというねがいがあります。そのおもいはひるがえって、ひとにもていねいにおうとする姿勢しせいを、手繰たぐせるでしょう。

青空あおぞら文庫ぶんこにかかわろうとするひとだれも、「大切たいせつに」とおも気持きもちを共有きょうゆうできるはずです。

では、具体ぐたいてきにどのようなてん注意ちゅういし、どのようにえば、作品さくひん大切たいせつあつかうことができるのでしょう。

こうかんがえをすすめていくとき、わたしたちは著作ちょさくけんという存在そんざいいます。

著作ちょさくけんとは、作品さくひんみだしたひとみとめられている特別とくべつ権利けんりです。その内容ないよう理解りかいし、作者さくしゃ権利けんりおかさないようつとめることこそ、「作品さくひん大切たいせつあつかう」ということの具体ぐたいてき中味なかみです。

法律ほうりつ用語ようご規定きていされたなじみのない概念がいねんむことには、ためらいがしょうじるかもれません。けれど、作品さくひん電子でんし公開こうかいにかかわろうとするのなら、最低限さいていげん知識ちしきにつけておくことはやはり必要ひつようです。

正確せいかくかりやすくくことを、こころがけたいとおもいます。

みなさんもどうぞ、ゆっくり内容ないよう確認かくにんしながらすすんでください。

1)作品さくひんみだしたひと権利けんり

あらためてきましょう。

著作ちょさくけんとは、作品さくひんみだしたひと著作ちょさくしゃ)がっている特別とくべつ権利けんりです。

おおきくければ著作ちょさくしゃは、〈使つかかた〉と〈内容ないよう〉にかんするふたつの権利けんりを、著作ちょさくけんほうという法律ほうりつによってみとめられています。

2)使つかかたかんする権利けんり

ひとの〈使つかかた〉にかんする権利けんりとは、「作品さくひん著作ちょさくぶつ)を利用りようするか、しないか」、他人たにんに「利用りようさせるか、させないか」める資格しかくしています。

この資格しかくみとめられているのですから、著作ちょさくしゃ自分じぶん作品さくひんをどのように使つかうか、あるいは使つかわないか、自由じゆうめられます。

裏返うらがえしてえば、他人たにん著作ちょさくぶつだれかが勝手かって使つかうことは、ごく一部いちぶ例外れいがいをのぞいてゆるされません。

ただしこの権利けんりは、他人たにんわたすことができますから、譲渡じょうとされた場合ばあい、〈使つかかた〉をめる資格しかくは、ったひとうつります。

著作ちょさくけんほうは、著作ちょさくぶつ実際じっさいの〈使つかかた〉について、さまざまなれいげています。

そのなかで、青空あおぞら文庫ぶんこ直接ちょくせつかかわるものは、作品さくひん複製ふくせいつくることと、ネットワークで作品さくひんおくれるように、準備じゅんびととのえることです。

複製ふくせいつくるかつくらないか、ネットワークでおくれるようにするかしないか、また他人たにんにそうさせるかかは、著作ちょさくけんひと著作ちょさくけんしゃ)だけがめられます。

それ以外いがいひと無断むだんでそうすることは、ゆるされません。

たとえ「素晴すばらしい作品さくひんをたくさんのひとんでもらいたい」といった善意ぜんいからはっしたとしても、無断むだん利用りよう著作ちょさくけんほう違反いはんします。

では、先人せんじんたちはなぜ、利用りよう意思いし決定けっていから他者たしゃきびしく排除はいじょする、こうしためをおこなったのでしょう。

そこには、「くという行為こうい一人ひとりちさせたい」というねがいがめられていました。

行為こうい一人ひとりちと著作ちょさくけん

著作ちょさくぶつは、お金儲かねもうけの材料ざいりょうとして使つかえます。

言葉ことばによる作品さくひんであれば、ほんつくってるといったかたちです。

使つかかた〉にかんする権利けんり譲渡じょうとできますから、そのさい対価たいかることも可能かのうです。自分じぶん作品さくひん他人たにん使つかわせる条件じょうけんとして、金銭きんせん支払しはらいをもとめてもかまいません。

つまり〈使つかかた〉を自分じぶんめられるということは、作品さくひん利用りようしてもうける機会きかい著作ちょさくしゃあたえるのです。

使つかかた〉にかんする権利けんりが、法律ほうりつ用語ようごで〈財産ざいさんけん〉とばれるのはこのためです。

自分じぶん著作ちょさくぶつ利用りようしてもうける権利けんり独占どくせんできることは、作者さくしゃ生活せいかつりたせるどころになります。

もしこの権利けんりみとめられなければ、なににもしばられずに自由じゆういたり、くことに専念せんねんしたりすることはむずかしくなるでしょう。

結果けっかてきに、国家こっか特定とくてい団体だんたい有力ゆうりょく個人こじんなどに生活せいかつささえられ、表現ひょうげん支援しえんしゃへのおもねりがじりかねません。

そうしたかたたとしても、生活せいかつわれれば、くことは後回あとまわしにせざるをなくなり、文化ぶんか創造そうぞうにはブレーキがかかるでしょう。

くという行為こうい自立じりつてきりたせるじょうで、作品さくひん利用りようしてもうける権利けんり著作ちょさくしゃ独占どくせんさせることは、とてもおおきな役割やくわりたしています。こうした権利けんり法律ほうりつ保証ほしょうすることは、文化ぶんか創造そうぞう歯車はぐるままわすエンジンに、燃料ねんりょうあたつづけると約束やくそくすることになりません。

作品さくひんひときているあいだ、独占どくせんてきみとめられたもうける権利けんりは、作者さくしゃ生活せいかつささえます。

では、作者さくしゃんでしまったのち、この権利けんりはどうあつかえばよいのでしょう。

日本にっぽん著作ちょさくけんほうはこのいに、2018(平成へいせい30)年末ねんまつまでは「著作ちょさくしゃ死後しごも50年間ねんかん権利けんりみとめる」というこたえをしていました(現在げんざい死後しご70ねん)。

著作ちょさくしゃ死亡しぼうすると、権利けんりはたいていの場合ばあい相続そうぞくによって家族かぞくぎます。くわえて著作ちょさくけんったものが、権利けんりをそのまま保有ほゆうつづける場合ばあいもあります。

つまり、相続そうぞくまたは譲渡じょうとによって権利けんりいだものは、作者さくしゃ死後しごもその保護ほご期間きかんのあいだ、〈使つかかた〉を独占どくせんてきめられるのです。

このかつての著作ちょさくけんほうみとめられていた「死後しご50ねん」という規定きていは、著作ちょさくけんかんする国際こくさいてき約束やくそくもとづいています。

著作ちょさくけんは、いち国内こくないめだけで保護ほごしきれるものではありません。もしも外国がいこくでは制限せいげんなしに利用りようできるのであれば、著作ちょさくしゃもうける権利けんりはやはりおびやかされてしまいます。

そこで世界せかいおおくの国々くにぐには、ベルヌ条約じょうやく万国ばんこく著作ちょさくけん条約じょうやくといった国際こくさいてき約束やくそくわし、国境こっきょうそと権利けんり保護ほごみずれをこすことをふせいでいます。

りょう条約じょうやくではともに、著作ちょさくけん保護ほご期間きかん著作ちょさくしゃ死後しご50ねんまで(もしくはそれ以上いじょう)とさだめられており、双方そうほう加盟かめいしている日本にっぽん著作ちょさくけんほうも、これにならっているのです。

日本にっぽん国民こくみん著作ちょさくぶつは、このさだめにしたがって2018(平成へいせい30)年末ねんまつまでは著作ちょさくしゃ死後しご50年間ねんかん保護ほごされていました。

くわえて、条約じょうやくにより、日本にっぽん保護ほご義務ぎむ外国がいこく著作ちょさくぶつも、おな保護ほご期間きかんるまでは、自由じゆう使つかうことができません。さらにだい世界せかい大戦たいせん連合れんごうこく各国かっこく著作ちょさくぶつかんしては、条約じょうやくじょう保護ほごすべきであったにもかかわらずそのあつかいをおこたったとされる期間きかんぶんをプラスする、「戦時せんじ加算かさん」の仕組しくみが適用てきようされます。(3794にち加算かさん:イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、パキスタン、フランス(ふつりょうポリネシア)、アメリカ、スリランカ、3816にち:ブラジル、3844にち:オランダ、3846にち:ノルウェー、3910にち:ベルギー、3929にちみなみアフリカ、4180にち:ギリシャ、4413にち:レバノン)

著作ちょさくしゃ死後しご権利けんり保護ほごかんするこの規定きていを、ながすぎるとかんがえるか、みじかすぎるとかんがえるか、あるいは妥当だとうであるとするかは、文化ぶんか創造そうぞう共有きょうゆうというふたつの課題かだいのあいだで、どうバランスをるかという判断はんだんにかかわってきます。

■インターネット体験たいけん保護ほご期間きかん

作品さくひんもうける権利けんり独占どくせんてきみとめられているとはいえ、ひと大半たいはん経済けいざいてきにあまりめぐまれないのが現実げんじつでしょう。物心ぶっしん両面りょうめん配偶はいぐうしゃささえられるを、わたしたちはたくさんっています。

配偶はいぐうしゃ権利けんりげるようにしておくことには、たいていの場合ばあい充分じゅうぶん正当せいとうせいがあるはずです。

また、保護ほご期間きかんながめに設定せっていしておけば、譲渡じょうとするさいに、権利けんり値段ねだんたかくできるかもれません。

けれどもう一方いっぽうで、んだ二度にど作品さくひんさず、燃料ねんりょうんだとしても、エンジンはもうまわらないのも事実じじつです。

ならば、だれかが複製ふくせいつくったり、ネットワークで送信そうしんできるようにすることをはばんでも、文化ぶんか創造そうぞうには寄与きよしない。むしろ制限せいげんはよりはや解除かいじょして、たくさんのひとが、ただ、もしくはできるだけやす値段ねだん作品さくひんめるようにしたほうがよいというかんがかたつでしょう。

わたしたちは、たくさんの文化ぶんかてき成果せいか無料むりょう使つかっています。

日本語にほんごにしろ英語えいごにしろ、言葉ことばはただで使つかえます。

科学かがくてき真理しんりもとづいてあたらしいかんがえをてたり、物事ものごと分析ぶんせきしたりするさいも、知識ちしき利用りようすること自体じたいには、対価たいかもとめられません。

真理しんり自由じゆうかちい、たくさんのかんがえにれ、自分じぶん他人たにんくらべてたしかめられるよう体制たいせいととのえることは、これも大切たいせつ課題かだいです。

インターネットというあたらしい仕組しくみは、いろいろな可能かのうせいっているでしょう。そのなかでも、いちはやあきらかになったのは、知識ちしき知恵ちえ共用きょうよう目指めざすとき、この基盤きばん発揮はっきするおおきなちからです。

だれかがしめしたものを、世界中せかいじゅうから、たやすく瞬時しゅんじ参照さんしょうできるこの道具どうぐにしたのちも、創造そうぞう共有きょうゆうかんする従来じゅうらいどおりのバランス感覚かんかくたもちつづけようとすれば、インターネットという仕組しくみはむしろ、著作ちょさくけんたいする脅威きょういかんじられるでしょう。

一方いっぽう、インターネットのちからじゅうふん活用かつようしながら、著作ちょさくしゃささえることなった仕組しくみを模索もさくし、創造そうぞう共有きょうゆうあたらしい均衡きんこうてんもとめる態度たいどがありるでしょう。

これまでの著作ちょさくけん意識いしきまもろうとするのか。あたらしいで、あたらしい合意ごうい形成けいせい目指めざすのか。目指めざすとすれば、どこでバランスをとるのか。

そのこたえもまた、わたしたちはみなさんとともに、青空あおぞら文庫ぶんこ活動かつどうとおして模索もさくしていきたいとおもいます。

3)内容ないようかんする権利けんり

使つかかた〉にかんする権利けんりくわえて、著作ちょさくしゃはもうひとつ「なにをどのようにくか」をすべて、完全かんぜん自分じぶんめられるという、〈内容ないよう〉にかんする権利けんりみとめられています。

青空あおぞら文庫ぶんこあつか言葉ことば作品さくひんそくしてえば、作者さくしゃ以外いがいものには、原則げんそくとしてたったひとつの文字もじ、たったひとつの句読点くとうてんであっても、変更へんこうしたりけずったりすることはできません。

作者さくしゃけたタイトルも、他人たにんには勝手かってえられません。

著作ちょさくけんほうでは、〈内容ないよう〉にかんするこの権利けんりを〈使つかかた〉にかんするものととく区別くべつして、著作ちょさくしゃ人格じんかくけんんでいます。

表現ひょうげんやタイトルを、自分じぶん意志いしはんしてだれかに勝手かってえさせない権利けんり同一どういつせい保持ほじけん)にくわえ、発表はっぴょうするかしないかをめる権利けんり公表こうひょうけん)、作者さくしゃ名前なまえすかさないかをめる権利けんり氏名しめい表示ひょうじけん)を、日本にっぽん法律ほうりつ著作ちょさくしゃ人格じんかくけんとしてみとめています。

財産ざいさんけんとしての著作ちょさくけんは、作者さくしゃ死後しご50年間ねんかん保護ほごされます(2018(平成へいせい30)年末ねんまつまで著作ちょさくけん存続そんぞくしていた作品さくひんについては死後しご70ねん)。

では、著作ちょさくしゃ人格じんかくけんは、どうなのでしょう。ある期間きかんぎれば、作品さくひん自由じゆうえたりけずったりできるようになるのでしょうか。

そうではありません。

著作ちょさくしゃんでなんねんたとうが、内容ないようくわえることはできません。

著作ちょさくけんわたすことができますが、著作ちょさくしゃ人格じんかくけん作者さくしゃだけに帰属きぞくします。たとえ著作ちょさくけんったひとでも、内容ないよう変更へんこうくわえることはゆるされません。

以上いじょうが、著作ちょさくけんほうによって著作ちょさくしゃみとめられている種類しゅるい権利けんり大枠おおわくです。

著作ちょさくしゃ死後しご一定いってい年限ねんげんぎるまでは、著作ちょさくけんしゃ了解りょうかいがないかぎり、ネットワークをかいして作品さくひんめるようには仕立したてられないこと。

原則げんそくてき作者さくしゃ了解りょうかいなしには、作品さくひん内容ないよういちいちえられないこと。

以上いじょうてんを、かたむねきざんでください。

青空あおぞら文庫ぶんこでは、種類しゅるい作品さくひん電子でんしし、公開こうかいしていきたいとかんがえています。

ひとは、著作ちょさくけんれた作品さくひんです。

文庫ぶんこにはふたに、著作ちょさくけん所有しょゆうしゃ公開こうかい同意どういした作品さくひんあつめていきます。

このうち著作ちょさくけんきている作品さくひんあつかいには、とく注意ちゅうい必要ひつようです。たとえ絶版ぜっぱんになっていてはいりにくいといった事情じじょうがあったとしても、公開こうかいたいする著作ちょさくけんしゃ同意どういがえられていない作品さくひんは、収録しゅうろくできません。

著作ちょさくけんれたものと、著作ちょさくけんしゃ同意どういられたもののなかから、実際じっさい入力にゅうりょくする作品さくひんえらびます。

どんな作品さくひん共有きょうゆう財産ざいさんとしてのこしたいのか、自分じぶんいかけてみることが、作品さくひんえらびの第一歩だいいっぽです。

1)著作ちょさくけんれている作品さくひん

著作ちょさくけんほう改正かいせいされた2018(平成へいせい30)年末ねんまつまでに保護ほご期間きかん満了まんりょうしている作品さくひんが、青空あおぞら文庫ぶんこ新規しんき入力にゅうりょく対象たいしょうとなる作品さくひんです。著者ちょしゃ没年ぼつねん基準きじゅんとすると、1967(昭和しょうわ42)ねん以前いぜんくなったほう作品さくひんであれば、著作ちょさくけんれていることになります。

(なお著作ちょさくけんほうだいじゅうななじょうには、保護ほご期間きかんを「著作ちょさくしゃ死亡しぼうしたまた著作ちょさくぶつ公表こうひょうされしくは創作そうさくされたのそれぞれぞくするとし翌年よくねんから起算きさんする」とありますので、1967(昭和しょうわ42)年内ねんない起点きてんとする場合ばあいには、よく1968(昭和しょうわ43)ねん元旦がんたんから計算けいさんはじまり2018(平成へいせい30)ねん元旦がんたん保護ほご期間きかん終了しゅうりょうします。しかし1968(昭和しょうわ43)年内ねんない計算けいさん基準きじゅんとする場合ばあいは、2019(平成へいせい31)ねんまえ著作ちょさくけんほう改正かいせいされて保護ほご期間きかん延長えんちょうされましたので、満了まんりょうのタイミングは20ねんさきの2039ねんとなります)

著作ちょさくけん保護ほご期間きかんえている作家さっかめいを、参考さんこう資料しりょう1「著作ちょさくけん消滅しょうめつした作家さっか一覧いちらん」にまとめました。文学ぶんがくという特定とくてい分野ぶんやの、かぎられたあつめたものですが、入力にゅうりょく候補こうほえら最初さいしょがかりとして利用りようしてください。

保護ほご期間きかんえた作家さっか作品さくひんめいおもえがくことができたら、今度こんどは、だれかがすでに入力にゅうりょくりかかっていないか、作業さぎょうわって公開こうかいされていないかを、確認かくにんしましょう。

青空あおぞら文庫ぶんこの「総合そうごうインデックス」で、「公開こうかいちゅう作品さくひん」「作業さぎょうちゅう作品さくひん」の双方そうほうをあたってみてください。

候補こうほとしておもかべた作品さくひんが、すでに公開こうかいされていたり、作業さぎょうはじまっていたりする場合ばあい原則げんそくとしては、おな文字もじづかいでの重複じゅうふく入力にゅうりょくけています。

ただし、先行せんこうしているものと内容ないようことなりがあれば、おな文字もじづかいでもかまいません。

ことなった文字もじづかいなら、重複じゅうふくたいする制限せいげんはありません。

もともとはきゅう漢字かんじきゅうかなづかいでかれた作品さくひんが、あたらしい簡略かんりゃくされた漢字かんじしんかなづかいにあらためられていた場合ばあい、「本来ほんらい作品さくひん姿すがた忠実ちゅうじつ反映はんえいされていない」とかんじるひとがいるはずです。

ぎゃくきゅう漢字かんじきゅうかなづかいのテキストをまえにして、「これではとてもめない」とかんじるひともいるでしょう。

こうした事情じじょう考慮こうりょして、青空あおぞら文庫ぶんこでは、もともときゅう漢字かんじきゅうかなづかいでかれた作品さくひんかんしては、もとの姿すがたのままのものにくわえて、新字しんじしんかなづかいにえたもの、くわえて、漢字かんじだけを新字しんじきあらためたものと、ことなった文字もじづかいによるテキストの登録とうろく併行へいこうしてっています。

冒頭ぼうとうの「著作ちょさくけんとはなんだろう」のまとめで、「原則げんそくてき作者さくしゃ了解りょうかいなしには、著作ちょさくぶつ内容ないよういちいちえられない」ときました。

ただし、同一どういつせい保持ほじかんする著作ちょさくけんほう規定きていには、例外れいがいしめされています。きゅう漢字かんじきゅうかなづかいを、現在げんざいひろ使つかわれている常用漢字じょうようかんじ現代げんだいかなづかいにあらためることは、数少かずすくない例外れいがいひとつです。(このてんについて、くわしくはつぎの「3 底本ていほんえらぶ」で説明せつめいします。)

翻訳ほんやくされた作品さくひん候補こうほとして検討けんとうするさいは、「はじめに 著作ちょさくけんとはなんだろう」の「2)使つかかたかんする権利けんり」でべた、原著げんちょしゃ著作ちょさくけんたいして、「戦時せんじ加算かさん」が適用てきようされる場合ばあいがあるので注意ちゅういしてください。

原著げんちょしゃ保護ほご期間きかんぎていたとしても、翻訳ほんやくしゃ著作ちょさくけんきているかもしれません。

著作ちょさくけんほうは、翻訳ほんやくという作業さぎょう創作そうさく行為こうい位置いちづけ、それ自体じたい独立どくりつした著作ちょさくけんみとめています。

翻訳ほんやくしゃ権利けんりも、おなじく死後しご一定いってい年限ねんげん存続そんぞくします。

2)著作ちょさくけんれていない作品さくひん

作者さくしゃ存命ぞんめい場合ばあい、あるいは死亡しぼうしていたとしても2018(平成へいせい30)年末ねんまつまでに死後しご50ねんぎていなければ、著作ちょさくけん存続そんぞくしています。

権利けんりきているとはつまり、これをささえにらすひとささえとしたいとねがひとが、確実かくじつ存在そんざいするということです。

そうしたひとたちに「作品さくひん公開こうかいさせてしい」とねがることには、かれらのらしやねがいをおびやかす要素ようそ否応いやおうなくまぎんでしまいます。

みなさんの自発じはつてき意志いしたのんで作業さぎょうすすめることは、青空あおぞら文庫ぶんこにとって健全けんぜんなありかたでしょう。

しかし著作ちょさくけんしゃへの公開こうかい要請ようせいかんしては、これが裏目うらめ危険きけん覚悟かくごしなければなりません。

一人ひとりいちにんはていねいに依頼いらいし、ことわられたさい見切みきりも素早すばやかったとしても、ことなったひとから要請ようせいかえされれば、著作ちょさくけんしゃつよ不安ふあんおぼえるはずです。

わたしたちには、権利けんり所有しょゆうしゃわずらわせたり、精神せいしんてきおどかしたりする資格しかくはありません。

とすればわたしたちは、著作ちょさくけんしゃへの公開こうかい要請ようせいを、原則げんそくてきつつしむべきだろうとかんがえます。

著作ちょさくけんしゃからの自発じはつてき公開こうかいもうれがないかぎり、青空あおぞら文庫ぶんこは、著作ちょさくけん存続そんぞくする作品さくひん収録しゅうろくをおこないません。

存命ぞんめい作者さくしゃには、青空あおぞら文庫ぶんこねらいをつたえることまでを、はたらきかけの限度げんどとします。作者さくしゃとの特別とくべつ信頼しんらい関係かんけいがないかぎり、公開こうかい検討けんとうもうれません。

著作ちょさくけん継承けいしょうしゃたいしては、青空あおぞら文庫ぶんこ名乗なのっての連絡れんらく公開こうかい要請ようせいなど、一切いっさいはたらきかけをおこないません。

この原則げんそくを、どうぞれてください。

著作ちょさくけんしゃ本人ほんにんからの公開こうかいもうれについて

著作ちょさくけんしゃ本人ほんにんからのもうれについては、2パターンのみれております。

  • 翻訳ほんやくしゃが、自身じしん翻訳ほんやく収録しゅうろくのぞ場合ばあい
  • 著作ちょさくしゃ(あるいは著作ちょさくけん継承けいしょうしゃ)が、すでに書籍しょせきとして公刊こうかんされた作品さくひん収録しゅうろくのぞ場合ばあい

翻訳ほんやくしゃ自身じしんが、パブリックドメインになっている作品さくひん翻訳ほんやくし、その公開こうかい青空あおぞら文庫ぶんこのぞ場合ばあいは、リンク登録とうろくまたは本体ほんたい収録しゅうろくもうれることができます。

青空あおぞら文庫ぶんこまでメールまたは「作業さぎょう着手ちゃくしゅ連絡れんらくシステム」の「入力にゅうりょく受付うけつけシステム」から通常つうじょう手続てつづきでおもうみください。

著作ちょさくしゃ(あるいは著作ちょさくけん継承けいしょうしゃ)が、自身じしん権利けんりっている作品さくひんについては、すでに書籍しょせきとして公刊こうかんされている(底本ていほんのある)作品さくひんのみ、本体ほんたい収録しゅうろくもうれることができます。

その場合ばあいは、青空あおぞら文庫ぶんこまでまずはメールでおわせください。

ただしいずれの場合ばあいも、原則げんそくとして、ご自分じぶん電子でんしされたファイルをご用意よういしてください。

また本体ほんたい収録しゅうろくをおのぞみのさいは、「クリエイティブ・コモンズ」ライセンスの付与ふよ必須ひっすとしております。

もうみあるいは収録しゅうろく希望きぼう時点じてん電子でんしされたファイルがない場合ばあい著作ちょさくけんしゃ本人ほんにんふく自主じしゅてきなプロジェクトをげて、共同きょうどう作業さぎょうをすることはもちろん可能かのうです。

ただし青空あおぞら文庫ぶんこがわでは、そうしたプロジェクトの告知こくちはできますが、ボランティアの斡旋あっせんやプロジェクトの管理かんりはできないことを、あらかじめご容赦ようしゃください。(参照さんしょう:「青空あおぞら文庫ぶんこへの作品さくひん収録しゅうろくのぞまれるほう」)

テキストを入力にゅうりょくするさいは、手書てがきの原稿げんこう雑誌ざっしほんなどをもとに作業さぎょうすることになります。おおくの場合ばあいどころになるのはほんでしょう。こうしたもととなるほんを、底本ていほんびます。

実際じっさい入力にゅうりょくにかかるまえには、底本ていほんえら必要ひつようがあります。

編集へんしゅう校正こうせいがどこまでとどいているかは、出版しゅっぱんしゃ個別こべつ書籍しょせきによってかなりがあります。

テキストのしつたかめるうえで、ていねいにまれたものを底本ていほんえらぶことは、おおきな意味いみちます。

1)きゅう漢字かんじきゅうかなづかいの

日本語にほんご表記ひょうきは、戦後せんごおおきくあらためられました。

それまでは複雑ふくざつかたち漢字かんじがたくさん使つかわれてきましたが、あらたに一部いちぶ漢字かんじかたち簡単かんたんなものにえ、使つかかたにも制限せいげんくわえて、わかりやすい表現ひょうげん目指めざされたのです。かなの使つかかたも、それまでのきゅうかなづかいから、より実際じっさい発音はつおんちかづけた現代げんだいかなづかいにあらためられました。

以来いらい教育きょういくあたらしい方針ほうしんによってすすめられ、法令ほうれい公用こうようぶん新聞しんぶん雑誌ざっしなどもこれに沿ってあらわされてきました。その結果けっかきゅう漢字かんじきゅうかなづかいの文章ぶんしょうは、わたしたちのおおくにとってみにくいものとなっています。

かえ指摘してきしたように、著作ちょさくけんほう作者さくしゃ了解りょうかいなしに表現ひょうげんをあらためてはならないとさだめています。ところが日本語にほんご表記ひょうき改革かいかくによってしょうじた現実げんじつは、「めなければ意味いみがない」という切実せつじつ要請ようせいを、この原則げんそくきつけました。

著作ちょさくけんほうには、この対立たいりつのあいだでわたしたちがバランスをとるみち用意よういされています。同一どういつせい保持ほじけん条項じょうこうには例外れいがい規定きていもうけられており、「やむをないとみとめられる改変かいへん」についてはゆるすとされているのです。

めるものにするために、漢字かんじとかなづかいを最小限さいしょうげんえることは、この「やむをないとみとめられる改変かいへん」に該当がいとうし、著作ちょさくけん侵害しんがいにはあたりません。

もしもあなたが、あくまで原文げんぶん忠実ちゅうじつであることを優先ゆうせんしたいとかんがえるのなら、底本ていほんにはきゅう漢字かんじきゅうかなづかいを採用さいようしたものをえらんでください。戦前せんぜん刊行かんこうされたほんのほか、全集ぜんしゅうとしてまとめられたものでは、もともとの表記ひょうきがそのままのこされるれいおおいようです。

あなたがぎゃくに、おおくのひとにたやすくんでもらうことを優先ゆうせんしたいのなら、常用漢字じょうようかんじ現代げんだいかなづかいをもちいたものを、底本ていほんとしましょう。古典こてんをたくさんのひとんでもらうことをねらった文庫本ぶんこぼんおおくは、かりやすさを目指めざして表記ひょうきをあらためています。みやすさを優先ゆうせんしたいひとにとって、文庫本ぶんこぼん有力ゆうりょく底本ていほん候補こうほです。

きゅう漢字かんじきゅうかなづかいでかれた作品さくひんのすべてにたいして、現代げんだい表記ひょうきにあらためたものが用意よういされているわけではありません。青空あおぞら文庫ぶんこ協力きょうりょくとする我々われわれ自身じしんが、えに必要ひつようしょうじます。そのさい、あらかじめ適切てきせつ指針ししんをまとめておけば、作業さぎょうしつたかめ、テキストの信頼しんらいせいたもてるでしょう。

そこで青空あおぞら文庫ぶんこは、「きゅうきゅう仮名かめいかれた作品さくひんを、現代げんだい表記ひょうきにあらためるさい作業さぎょう指針ししん」を用意よういしました。自分じぶん自身じしんきゅうきゅうかなをえたいとかんがえるひとは、ここにしめされた手順てじゅんにそって対処たいしょしてください。

2)出版しゅっぱんしゃ許諾きょだく必要ひつよう

きゅう漢字かんじきゅうかなづかいによる原文げんぶんを、あたらしい表記ひょうきにあらためたものを底本ていほんとする場合ばあい、そのほんとおりに入力にゅうりょくしていくことは、たしてゆるされるのでしょうか。

青空あおぞら文庫ぶんこびかけにんは、「ゆるされる」とかんがえています。

すでに青空あおぞら文庫ぶんこでは、表記ひょうきをあらためたものをもとにおおくの作品さくひん入力にゅうりょくしてきましたが、そうしたさいも、出版しゅっぱんしゃ連絡れんらくしたり許可きょかるといったことはしていません。

原文げんぶんにあくまで沿いながら最小限さいしょうげんきあらためをおこなうことには、たしかにその作業さぎょうにたずさわるひと判断はんだんがかかわってきます。えは、編集へんしゅう力量りきりょう見識けんしきわれる知的ちてき作業さぎょうです。ただし著作ちょさくけんほうは、この程度ていど表記ひょうき変更へんこう著作ちょさくけんみとめてはいません。

日本にっぽん著作ちょさくけんほうは、保護ほご対象たいしょうとなる著作ちょさくぶつ冒頭ぼうとうつぎのように定義ていぎしています。

著作ちょさくぶつ 思想しそうまた感情かんじょう創作そうさくてき表現ひょうげんしたものであって、文芸ぶんげい学術がくじゅつ美術びじゅつまた音楽おんがく範囲はんいぞくするものをいう。」(だいいちしょう 総則そうそくだいいちせつ 通則つうそくだいじょう 定義ていぎいち

保護ほごされるのはあくまで作者さくしゃ創作そうさくてき表現ひょうげんであり、だれかがいたものの表記ひょうきをあらためることは、この定義ていぎてはまりません。

著作ちょさくけんほうだいしょうだいいちせつで、著作ちょさくぶつにあたるものをよりこまかくしめしています。だいいちじょうには、著作ちょさくぶつ範囲はんいひろめに規定きていした、編集へんしゅう著作ちょさくぶつかんするつぎのようなさだめがあります。

編集へんしゅうぶつ(データベースに該当がいとうするものをのぞく。以下いかおなじ。)でその素材そざい選択せんたくまた配列はいれつによって創作そうさくせいゆうするものは、著作ちょさくぶつとして保護ほごする。」

この規定きていによって、論文ろんぶんしゅうやアンソロジー、歳時記さいじき構成こうせいといったものは、それ自体じたい著作ちょさくぶつとして保護ほごされているとかんがえるべきでしょう。

これらにかんしては、たとえ収録しゅうろくされている個々ここ作品さくひん著作ちょさくけんがすべてれていたとしても、編集へんしゅうたったひと著作ちょさくけん保護ほご期間きかんないうちは、わせやならかたをなぞることはゆるされません。

ただし、表記ひょうき改変かいへんが、ここでいう「素材そざい選択せんたくまた配列はいれつによって創作そうさくせいゆうするもの」にたらないことはあきらかです。

これまで、かみ冊子さっしうつわとして使つかってきたほん世界せかいで、かれたものを大切たいせつあつかってきたのは、編集へんしゅうしゃをはじめとする出版しゅっぱんにたずさわるひとたちでした。

インターネットのうえに、電子でんしの〈ほん〉をおさめる書棚しょだなととのえようとするわたしたちは、かれらがはぐくんできた価値かちかん美意識びいしきまなび、ぐべきものは誠実せいじついでいきたいとかんがえています。

かれらへの敬意けいいは、「なにを底本ていほんにしたか」を明記めいきすることであらわしましょう。

なんらかの編集へんしゅう処理しょりくわえるさいには、利用りようしゃ批判ひはんや、テキストの信頼しんらいせいたかめるつぎ努力どりょく期待きたいして、作業さぎょう中味なかみ記録きろくとしてのこしましょう。

あくまで著作ちょさくけん尊重そんちょうすることで、共用きょうようへのねがいが、創造そうぞう基盤きばんおびやかさないようにこころがけましょう。

そうした姿勢しせいまもり、あたらしいでもほん大切たいせつあつかつづける覚悟かくごしめしながら、わたしたちはもう一方いっぽうで、必要ひつようとあらばてるべきものは大胆だいたんてて、積極せっきょくてき共用きょうようによるみのりをたがやしていきたいとかんがえています。

先人せんじんげてきたほんという宝物ほうもつに、ネットワークされたコンピューターのちからりてあたらしい生命せいめいこころみが、つねみなさんの共感きょうかんともにありますように。

ねがいわくばみなさんのちからこそをふうとして、ここにげたこころみのふねが、とおたかく、青空あおぞら軌跡きせきえがつづけますように。

(1998ねん12月 青空あおぞら文庫ぶんこびかけにん一同いちどう

1998ねん12月23にち 公開こうかい
2015ねん6がつ3にち 大幅おおはば修正しゅうせい
2020ねん1がつ1にち 著作ちょさくけんほう改正かいせいともな修正しゅうせい
2022ねん1がつ1にち ライセンス更新こうしんともな修正しゅうせい

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このマニュアルは「クリエイティブ・コモンズ 表示ひょうじ - 営利えいり 4.0 国際こくさい ライセンス」のした提供ていきょうされています。