11月13日の七番勝負第4局、豊島将之九段(31)を相手に怒涛の4連勝を決めた藤井聡太新竜王(19)。最年少四冠の誕生により、棋界は一気に「藤井時代」へと加速した。
竜王3連覇を逃した豊島将之九段は無冠へ、代わって藤井新竜王が序列1位へ。将棋連盟ホームページの名鑑では、渡辺明名人・棋王・王将(37)、永瀬拓矢王座(29)の上位となる最高位にあどけない藤井竜王の笑顔が掲示されたのだ。
メディアも「藤井時代」の到来を喧伝する。14日付の「朝日新聞」では、羽生善治九段(51)、大山康晴永世名人(92年没、享年69)などこれまでに四冠を達成した大御所棋士の写真をズラリと並べ、その偉業を報じている。26歳で四冠を達成した中原誠十六世名人(74)は、
「10代での四冠は驚きを通り越している」
「A級に上がって、いずれ名人になるだろう」
と、称賛の声を寄せているのだ。
将棋ライターの松本博文氏が解説する。
「記録の上では藤井竜王が大山永世名人、羽生九段に匹敵、または超越して、歴史に名を残す棋士になることはすでに確定している」
松本氏が注目したのは年間勝率記録だ。今年の藤井竜王の公式戦での対戦成績は41勝7敗、勝率は8割5分4厘(11月17日現在)。ちなみに2位の渡辺名人は14勝9敗(勝率6割8厘)と2割以上の大差をつけている。
「これを僅かに1厘差で上回るのが、中原さんが67年に作った勝率8割5分5厘です。50年以上破られていない大記録ではありますが、これを達成したのはC級5段の時代です。現在タイトル保持者として、トップクラスの棋士と対戦している藤井竜王はケタ違い。むしろ比較すべきは羽生九段が95年度に七冠を達成する過程で記録した8割3分6厘ですが、これはすでに上回っています」(前出・松本氏)
藤井竜王は4年連続で8割5分に近い勝率を上げており、今年度にも「不倒記録」を更新する可能性は高い。
11月22発売の「週刊アサヒ芸能」12月2日号では、藤井新竜王と大山康晴永世名人ら、昭和・平成に名を馳せた大名人を徹底比較。強さの秘密に迫っている。