開幕戦2つ目のポイントは、4人の先発投手の存在です。今年の巨人には、内海哲也、杉内俊哉、菅野智之、大竹寛という先発4本柱がいます。いずれもエース級の実力の持ち主なのは説明するまでもありません。一方、阪神の先発陣は能見篤史、メッセンジャー、藤浪晋太郎の3人。この4人と3人の差は、とてつもなく大きいのです。
例えば、開幕3連戦でお互いにエースが投げ合ったとします。もちろん両チームとも最低でも2勝1敗、もしくは2勝1分で勝ち越したい。阪神は3連戦が終わった時点で3人の先発の柱を使い切り、次の中日との3連戦での勝率は格段に低くなり、2勝を数えられるほどの投手を温存しておくことが難しい。
しかし巨人の場合、阪神との3連戦でそのうちの2人を投入すれば、次の横浜戦でも2人のエースを投げさせられ、2チーム目での勝負でも勝ち越せるチャンスが十分にあります。
3連戦で2勝が計算できれば、年間の勝敗数もある程度計算できるでしょう。この巨人のエース4人という強みは開幕戦、その後のシーズンでも影響力を持つのです。
おまけに、去年はWBCがあったおかげで、阪神戦での巨人のローテには杉内がいたものの、残り2戦は宮國椋丞に澤村拓一と、比較的軽いものでした。しかし、今年はWBCがなかった。しかも開幕戦ともなれば、どのチームも喉から手が出るほど勝ち星をあげたい試合です。巨人も内海や菅野といったエース級を用意して、確実に白星を取りにくるでしょう。この点も阪神は用心しなければならないポイントです。
そして3つ目は、3月9日に行われたオープン戦での内海、阿部慎之助バッテリーの内角攻めです。あの試合でバッテリーは阪神のバッターに対して、しつこいほど内角を投げ続けました。あの投げ方は、どう考えても開幕戦を見越しての布石。阪神の打者に内角のボールを意識させて、開幕戦に臨もうとする意図があったはずです。
しかし、それだけならまだ対策も考えられました。問題はそのあとの3月16日に行われた巨人対ソフトバンク戦で、先発・内海が5回8失点を喫したことです。内海はこの試合でも内角攻めを実行。その結果、ソフトバンク打線にあっけなく捕まってしまいました。
そうなると、ますます読めなくなってくるのが内海の配球です。阪神戦には内角攻めでイメージ作りをしたものの、ソフトバンク戦ではあえなく失敗。これを阿部や内海がどう受け止めているのかが気になるところです。
阪神戦ではかまわず内角を意識させた投球をするのか、外角を中心とした投球にするのか。これは阪神ベンチにしてみれば、非常にやっかいな心理戦です。
この複雑な心理戦の対策法はただ1つ。とにかくよけいな深読みをしすぎて、みずから混乱しないこと。内角であろうが外角であろうが、どちらにでも対応できるように準備するのが重要です。
片岡、井端の加入によって躍起になった坂本に、充実した先発陣。そして、オープン戦での内角攻め。この3つが、開幕戦で阪神が意識しなければならないポイントとなるでしょう。
◆アサヒ芸能3/25発売(4/3号)より