タイの「日本にっぽん食しょくレストランと居酒屋いざかや」失墜しっついで価格かかく破壊はかいの厳きびしすぎる現実げんじつ…いったいナゼか

　東南とうなんアジアの主要しゅよう国こくタイにおける在留ざいりゅう邦人ほうじん数すうは、2022年ねん10月がつ時点じてんで7万まん8431人にん。在留ざいりゅう邦人ほうじん数すうの世界せかいランキングで第だい4位いとなっており、トップ10のうちタイだけが、コロナ前まえよりも増加ぞうかしている。特とくに首都しゅとバンコクには5万まん6232人にんの日本人にっぽんじんが居住きょじゅうしており、日系にっけいの飲食いんしょく店てんが盛さかんに展開てんかいされている。

　2022年ねんのタイ国内こくないの日本にっぽん食しょくレストランの店舗てんぽ数すうは5325。コロナ禍かで多おおくの日本にっぽん食しょくレストランが撤退てったいしたが、5000店舗てんぽを超こえるのは過去かこ最多さいたである。だが昨今さっこん、タイの日本食にほんしょく店てんに「ある変化へんかが訪おとずれている」と語かたるのは、バンコク在住ざいじゅうの日本人にっぽんじんジャーナリストだ。

「日本にっぽん食しょく店てんの価格かかくがコロナ前まえに比くらべて、明あきらかに下さがっているんです。理由りゆうは日本にっぽん食しょくレストランの店舗てんぽ数すうが増ふえすぎたことと、日本にっぽんブランドの失速しっそくが考かんがえられます。コロナ以前いぜん、日本にっぽん食しょく店てんは日本人にっぽんじんにとっても手てが届とどきにくい存在そんざいで、例たとえば日本にっぽんの有名ゆうめい店てんのラーメンは、日本円にほんえんで800円えんから1000円えんほどでした。チェーン店てんの居酒屋いざかやの客きゃく単価たんかも、5000円えんは下くだらなかった。現地げんち採用さいようで働はたらいている日本人にっぽんじんにとって、日本にっぽん食しょくは贅沢ぜいたく品ひんというイメージがありましたね」

　とりわけバンコクの日本人にっぽんじん街がいタニヤ（写真しゃしん）には多おおくの日本食にほんしょく店てんが並ならんでおり、ひと昔むかし前まえは日本人にっぽんじん旅行りょこう者しゃや、会社かいしゃから海外かいがい手当てあてをもらっている日本人にっぽんじん駐在ちゅうざい員いんが訪おとずれるイメージがあった。それがコロナ禍か以降いこう、激変げきへんしたというのだ。

「コロナ禍かで多おおくの日本人にっぽんじん駐在ちゅうざい員いんが帰国きこくすることになり、接待せったいなどの飲のみ会かいが禁止きんしになったことで、タニヤから日本人にっぽんじんの姿すがたが消きえたのです。規制きせいが解除かいじょされて飲食いんしょく店てんが再開さいかいした頃ころ、タニヤにあふれていたのは日本人にっぽんじんではなく、日本にっぽん食しょくが好すきな富裕ふゆう層そうのタイ人じんでした。それ以降いこう、日本にっぽん食しょく店てんには一斉いっせいに手てが届とどきやすくなった印象いんしょうがあります」（前出ぜんしゅつ・バンコク在住ざいじゅうジャーナリスト）

　今いまではラーメンは500円えんから、チェーン居酒屋いざかやも平均へいきんして客きゃく単価たんか3000円えんほどと、日本にっぽんで食たべるよりも割安わりやすに感かんじる。2023年ねん1月がつから6月がつに日本にっぽんを訪おとずれたタイ人じん旅行りょこう者しゃ数すうは、49万まん7700人にん（日本にっぽん政府せいふ観光かんこう局きょく調しらべ）と、タイを訪おとずれる日本人にっぽんじん旅行りょこう者しゃ数すうを上回うわまわった。在ざいタイ日本人にっぽんじんを相手あいてにするよりも、手頃てごろな価格かかくで日本にっぽん食しょくを提供ていきょうしてタイ人じん客きゃくを引ひき寄よせる方ほうが、ビジネス的てきにはより収益しゅうえき性せいが高たかいのかもしれない。

（泰野たいのるい）