今年の前半戦最後のGI・宝塚記念は、阪神競馬場のスタンド改装工事のため、18年ぶりに京都競馬場で行われる。2200メートルの距離はこれまでと変わらないが、コース形態が異なるため、馬券予想にあたっては、注意が必要になる。まずは京都コースに実績があるのかないのか、しっかり見ておきたい。
そして、もっと気になるのが、当日の天気だ。予報によると、高確率で雨天となりそうなのだ。重馬場の得手、不得手がレースの鍵を握る公算大である。
圧倒的1番人気になりそうなドウデュースはこれまで道悪を2回走り、いずれも大敗している。フランスでのことだったため、陣営は「日本の道悪なら問題ない」と強気の姿勢だが、はたしてそうだろうか。これまで3つのGIを速い時計で勝ってきただけに、良馬場で行われるのが望ましいのではないか。
道悪で台頭しそうな馬を挙げてみよう。ソールオリエンス、プラダリア、ブローザホーンの3頭だ。カラテも道悪巧者と言われるが、2000メートルまでしか実績がない上、京都では6着と掲示板を外している。今回は見送りたい。
ソールオリエンスは重の皐月賞で直線一気を決めたように、道悪は歓迎のクチだ。陣営は雨予報について「馬場が味方するのでは」とコメントしている。京都コースは昨秋の菊花賞で3着しているので、問題ないだろう。脚質的に展開待ちの面は否めないが、しっかりマークしておきたい。
プラダリアは重馬場で2戦2勝。切れる脚はないが、道悪でも末脚が鈍ることなく、いい脚を長く使えるのが強みである。ライバルが悪い馬場に脚を取られて末脚がそがれる分、有利となる。さらに京都は2戦2勝と、得意にしている。当レースを3勝している池添謙一が騎乗するのも好材料だ。ちなみに父ディープインパクトは、雨の京都で開催された2006年の勝ち馬である。
ブローザホーンも屈指の京都巧者と言っていい。心房細動で競走中止した昨秋の京都大賞典以外は2勝、2着1回と連を外していない。3コーナーの下り坂を利用して一気に加速するのが特徴で、持久力に富んだ走りは大きな魅力といえよう。鞍上の菅原明良も「京都ではしっかり走ってくれる」と、その適性に太鼓判を押している。さらに道悪は4勝、2着1回、3着2回、着外3回で、得意としている。
以上の3頭は雨で馬場が渋れば予想以上の人気になるかもしれないが、それでも狙ってみたい。
(兜志郎/競馬ライター)