【虎とらに翼つばさ 第だい62話わ】ドラマを超こえて共演きょうえんか！寅とら子この口くちから出でたサプライズワードに「これは脚本きゃくほんが絶妙ぜつみょうすぎる」

　６月がつ25日にちに放送ほうそうされたNHK連続れんぞくテレビ小説しょうせつ「虎とらに翼つばさ」第だい62話わに、視聴しちょう者しゃがわき立たった。なぜなら、ヒロインの佐田さた寅とら子こ（伊藤いとう沙すな莉）が、驚おどろきの名前なまえを口くちにしたからだ。

　この日ひのストーリーを追おってみよう。

　ドラマは、大庭おおば家かの相続そうぞく問題もんだいという案件あんけんを寅とら子こが担当たんとうするという、思おもわぬ形かたちでの寅とら子こと明あきら律りつ大だいの同期どうき・大庭おおば梅子うめこ（平岩ひらいわ紙し）との再会さいかいシーンで始はじまった。

　寅とら子こは梅子うめこを伴ともない、轟とどろき太一たいち（戸塚とつか純じゅん貴たか）と山田やまだよね（土居どい志こころざし央ひさし梨なし）が経営けいえいする法律ほうりつ事務所じむしょを訪おとずれ、そこでも感動かんどうの再会さいかいが描えがかれるのだった。

　その一方いっぽうで、寅とら子こは家庭かてい局きょくの上司じょうしである多岐川たきがわ（滝たき藤ふじ賢一けんいち）とともに、家庭かてい裁判所さいばんしょの周知しゅうちを目的もくてきとした「愛あいのコンサート」の開催かいさいに向むけての準備じゅんびに勤いそしむのだが…。ここで、準備じゅんびされていた展開てんかいに、エンタメ誌し記者きしゃは興奮こうふんを隠かくせなかったという。

「コンサートに呼よぶ出演しゅつえん者しゃをどうするかという話はなしになった時ときです。多岐川たきがわが『彼女かのじょがいいんじゃないか？』と言いうと、『東京とうきょうブギウギ』の一節いっせつを歌うたい出だした。すると、寅とら子こがすかさず『福来ふきスズ子すずこなんて呼よべるわけないでしょう』とあきれたのです。この脚本きゃくほんは見事みごとですね。『東京とうきょうブギウギ』の実在じつざいの歌うたい手て、笠置かさぎシズ子しずこの名前なまえではなく、寅とら子こは彼女かのじょをモデルにした、３月がつまで放送ほうそうされていた朝あさドラ『ブギウギ』のヒロイン、『福来ふき』の名前なまえを口くちにしたのです。『虎とらに翼つばさ』では、これまでも『梅うめ丸まる少女しょうじょ歌劇かげき団だん』や『コロンコロンレコード』といった、『ブギウギ』に登場とうじょうしたワードを散ちりばめて、視聴しちょう者しゃを驚おどろかせていたのですが。まるで、ハリウッドのシリーズ映画えいがのような脚本きゃくほんは、かつてのNHKでは考かんがえられなかった。非常ひじょうに稀まれなケースですが、朝あさドラファンの視聴しちょう者しゃの気持きもちを鷲わしづかみにする効果こうかは抜群ばつぐんです」

　今いま作さくのモデルとなった女性じょせい初はつの弁護士べんごしの一人ひとりで、家庭かてい裁判所さいばんしょ長ちょうも務つとめた三さん淵ふち嘉子よしこと笠置かさぎシズ子しずこは、実じつは1914年ねん生うまれの同おない年どしで、第だい62話わの1949年ねんの時点じてんで２人ふたりは35歳さいだった。シズ子しずこは「東京とうきょうブギウギ」が大だいヒットし、私生活しせいかつでは幼おさない一人娘ひとりむすめの子育こそだてなどに大忙おおいそがしで、「ブギウギ」でいうなら家政かせい婦ふの大野おおの（木野きの花はな）と出会であう頃ころだ。

「年齢ねんれいはもちろん、同おなじ時代じだいの頑張がんばる女性じょせいを主人公しゅじんこうとした話はなしですからね。２人ふたりが遭遇そうぐうしても不思議ふしぎではない共通きょうつう点てんがいくらでもあります。ですから、スズ子すずこが作品さくひんを超こえて再さい登場とうじょうすることはあるのか、とても気きになりますね」（前出ぜんしゅつ・エンタメ誌しライター）

　ちなみに、今年ことし１月がつ期きのドラマとして放送ほうそうされた「花咲はなさき舞まいが黙だまってない」（日本にほんテレビ系けい）では、原作げんさく者しゃが同おなじく池いけ井戸いど潤じゅん原作げんさくのドラマ主人公しゅじんこうである、あの半沢はんざわ直樹なおきが登場とうじょうして視聴しちょう者しゃを驚おどろかせている。

　だが、TBSでは堺さかい雅人まさとが演えんじていた半沢はんざわを、日本にほんテレビは劇団げきだんひとりにやらせたことで、視聴しちょう者しゃからは失望しつぼうの声こえがしきりだった。まさか同おなじ朝あさドラで、趣おもむき里さと以外いがいの演者えんじゃがスズ子すずこを演えんずる…なんてオチはないとは思おもうが、今いまどきNHKの洒落しゃれた遊あそびゴコロに大おおいに期待きたいしたいところだ。

（石見いわみ剣けん）