空前の大混戦となっているセ・リーグの優勝争い。9月9日現在、首位の巨人に1ゲーム差で広島、2.5ゲーム差で阪神が続く。広島は9月10日からマツダスタジアムで巨人との3連戦、13日からは甲子園で阪神との2連戦を控えている。ここににわかに浮上してきたのが、広島Vの「最終兵器」だった。
9月8日、福岡・タマスタ築後でのウエスタンリーグ、広島VSソフトバンク戦。ここに先発登板したのは、広島の昨年ドラフト1位・常廣羽也斗だった。9回116球を投げて、8安打無失点5奪三振で「プロ初完封」をマークしたのだ。
常廣は今季1軍のマウンドには上がっていないが、ファームでは11試合に登板して2勝6敗、防御率4.06の成績。大学卒業の単位問題で春キャンプに出遅れたことが尾を引き、プロの水に慣れない試合が続いたが、ここにきて徐々に調子を上げている。
この日の試合では9回一死まで93球を投げて「マダックス」達成目前だったが、その後に粘られて、最終的に116球で完封勝利となった。とりわけ9回、先頭のリチャードを153キロの外角高め直球で見逃し三振に斬ったシーンでは、スタンドにどよめきが起きる。「9回に153キロって…常廣、やはり本物だった」という驚きと納得である。
広島では9月7日の中日戦に先発して7勝目を挙げた九里亜蓮が出場選手登録を抹消されており、9月10日からの7連戦のどこかで、代わりに投げる投手が必要になってくる。今のところ、プロ3年目の左腕・森翔平の登板が有力視されているが、逆転Vへの「ラストピース」として、常廣の登場を期待するカープファンは多い。
(ケン高田)