演説スポットの商店街で見つめた50年 選挙の時だけ来る候補者たち
大分市のJR大分駅から北に約600メートルの位置にあるアーケード商店街「ガレリア竹町ドーム」は、有名な選挙演説スポットだ。
戦前から続く商店街の一角にあり、横幅約25メートル、長さ約60メートルの広さがある。屋根があり、天候に左右されないこともあり、大物議員の応援演説や選挙戦最終日のマイク納めの場所に選ばれてきた。
広場の一角にある化粧品店で、宮川令子さん(50)は生まれ育った。東京の大学を卒業した後は大分に戻り、祖父の代から続く化粧品店で働いている。
店の前で繰り広げられる演説は正直うるさい。道をふさがれて客が来ず、「商売あがったり」と思うこともある。
でも、おかげで、幼い頃から選挙はなんとなく身近だった。
これまで見た演説の中で、人の集まりが一番多かったのは、社会党委員長や社民党党首を務めた土井たか子氏だ。主要政党で初の女性党首として人気を集め、女性議員が多く誕生した1989年参院選では、「マドンナ旋風」「おたかさんブーム」が起きた。
店の2階にある自宅の窓から、朝にもかかわらず通りが人で埋まっているのを見た記憶がある。白いスーツ姿で話す演説から、人に流されない芯の強さを感じた。
「とんちゃん」の愛称で呼ばれ、大分出身の村山富市元首相も幾度となく広場に来た。「ぎらぎらした感じがなく、親しみやすい、『かわいいおじいちゃん』だった」
これまでの選挙では、候補者の考え方を重視してきた。戦争をしない、平和を重んじる人を選んできた。
だが、4月6日告示、23日投開票の参院大分選挙区補欠選挙は違った。「迷えば迷うほど、どっちがいいか分からない」
4月16日夕、岸田文雄首相…
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この記事を書いた人

- 杉山あかり
- 神戸総局|神戸市政担当
- 専門・関心分野
- 国内政治、ジェンダー、福祉