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　北海道ほっかいどうの山中さんちゅうで突然とつぜん、ヒグマに襲おそわれた。仰向あおむけに倒たおされ、頭あたまに牙きばが突つき刺ささる。血ちまみれになり、遠とおのく意識いしき。だが、とっさにとった行動こうどうが命いのちを救すくった。ベテラン猟師りょうしが九死きゅうしに一生いっしょうを得えた体験たいけんを語かたった。

　北海道ほっかいどう岩見沢いわみざわ市しに住すむ原田はらだ勝男かつおさん（83）がヒグマに襲おそわれたのは、今いまから23年ねん前まえの11月1日にちのことだった。

　その日ひはエゾシカ猟りょうの解禁かいきん日び。猟りょう仲間なかまの男性だんせい3人にんとともに北海道ほっかいどう白糠しらぬか町まち上茶路かみちゃろの山やまへ入はいった。久々ひさびさの猟りょうに原田はらださんの胸むねは高鳴たかなり、前夜ぜんやは寝ねられないくらい興奮こうふんしていた。

　4人にんは午前ごぜん6時じから別々べつべつのルートに分わかれて獲物えものを探さがした。快晴かいせいで最高さいこうの狩かり日和びよりだった。

　正午しょうご近ちかくになり、原田はらださんは松まつの根ねっこに腰こしを掛かけ、おにぎりをほお張ばった。食たべ終おえて、ふと50～60メートル先さきを見みると、ゴソゴソと山やまを登のぼっていくエゾシカが見みえた。だが、何なんとなく元気げんきがなく、動うごきも遅おそい気きがした。

　「きょう最初さいしょの獲物えものか」

　立たち上あがって撃うとうとしたその時とき、背後はいごでカサカサという音おとがした。エゾシカの音おととは違ちがう。

　振ふり向むくと、4、5メートル先さきまでヒグマが迫せまっている。目めが鏡かがみのように光ひかっていた。

　何なん度ども来きたことのある山やまだっ…