夏休み中、部活の中止どう判断? 熱中症の専門家に聞く指導者の心得
夏休み真っ盛り。酷暑が続くなか、部活動に参加する生徒たちを熱中症からどう守るかが課題となっている。山形県では7月、中学1年の女子生徒が部活動からの帰宅途中に倒れ、死亡した。学校などによると、熱中症の疑いがあるという。指導者に求められることとは。熱中症に詳しい中京大スポーツ科学部の松本孝朗教授に聞いた。
――学校が部活動を実施するかどうか判断する際に留意すべきことは。
熱中症から身を守るのに必要なことは、危険な暑さを避けることに尽きます。日本の今の異常な暑さを考慮すると、昼間は運動はもちろん、外出も避けるのが最も安全です。ただ、生徒の健康や発育のため、体を動かす機会を一律に奪うのもよくありません。
暑さ指数の測定、活動場所でこまめに
そこで、学校には温度や湿度からなる「暑さ指数(WBGT)」をしっかり測り、その値によって判断することが求められます。学校に配備されている測定器を使って指数をこまめに把握し、最も危険な31以上になったら運動を中止することを徹底してほしい。
指数は、28ぐらいから熱中症のリスクが増え始め、31以上では死亡リスクが高まります。「31以上でもちょっとした運動ならいい」というものではなく、ためらわずに中止する必要があります。
――どのタイミングで測るのがよいですか。
生徒を登校させるかどうか判断する際には当然、指数を確認してほしい。ただ、それだけでは不十分です。例えば朝のうちに確認しても、日中の活動時には温度が大きく上がることがあるためです。活動開始直前や活動中にも確認できるよう、計測器はグラウンドなど、活動場所の近くに置いた方がいいでしょう。活動中はだいたい、1時間ぐらいの間隔で確認し、危険になったらためらわずに活動を終了することが大事です。
――校内で複数の部活が行われている場合、測定器が行き届かないこともあるかもしれません。
気温の値から3~4を引いたのがWBGTになります。例えば、気温が35度の場所なら、WBGTは31~32ぐらいということになり、活動中止が必要な暑さであると推定できます。
ただし、やはり実際に活動している場所のWBGTを測ったうえで活動するのが基本で、教育委員会には手厚い配備を進めてもらいたいですね。市役所に設置した測定器で測ったWBGTを参考としてメールで各学校に周知しているケースもあります。いずれにせよ、行政による支援は不可欠です。
登下校に気分が悪くなったら…
――酷暑のもとでは、登下校…
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- 高浜行人
- 東京社会部|教育班キャップ
- 専門・関心分野
- 学校教育、受験、教育行政