在来ざいらいの希少きしょう種しゅに紛まぎれ、気きづいたときには本来ほんらい、水槽すいそうのなかにいるべき人工じんこうの雑種ざっしゅが環境かんきょうを乗のっ取とっていた――。

　動物どうぶつ園えんや市街地しがいちに隣接りんせつし、熊本くまもと市し民みんの憩いこいの場ばとなっている江津湖えづこ。湖岸こがん近ちかくの水面すいめんを緑色みどりいろの細長ほそながい葉はが覆おおっている。

　風かぜで吹ふき寄よせられたその草くさを割わるように、ボートに乗のった大学生だいがくせいたちが沖おきにこぎ出だしていく。

　「コースの途中とちゅうにも浮ういていて、オールや、ボートに引ひっかかる。水みずに手てを入いれて取とり除のぞかなければならず、練習れんしゅうにならないこともあります」。江津湖えづこを練習れんしゅう場所ばしょにしている熊本大学くまもとだいがくのボート部員ぶいんは、困こまり顔がおを見みせた。

　「全部ぜんぶ、コウガイセキショウモです。なぜかわからないですが、根ねっこごと抜ぬけて浮ういてくるんです」

　湖みずうみを管理かんりする熊本くまもと市しから委託いたく…