25日にち朝あさ、携帯けいたい電話でんわに見知みしらぬ番号ばんごうが表示ひょうじされていた。気味悪きみわるさを感かんじながらも応対おうたいすると、相手あいては首相しゅしょう、岸田きしだ文雄ふみおの秘書ひしょだった。代かわった岸田きしだが言いった。「何なにとか勝かたせて下ください。よろしくお願ねがいします」

　電話でんわを受うけたのは島根しまね県けん安来やすぎ市しで金属きんぞく加工かこう会社かいしゃを営いとなむ藤原ふじわら敏孝としたか（70）。「精せいいっぱい頑張がんばります。安心あんしんして下ください」。首相しゅしょうからの電話でんわに驚おどろき、そう返かえしたが、複雑ふくざつな思おもいはぬぐえない。

　4日にち前まえ、藤原ふじわらは岸田きしだと一緒いっしょにいた。派閥はばつの裏金うらがね事件じけんを受うけ、岸田きしだの肝きもいりで始はじまった自民じみんの政治せいじ刷新さっしん車座くるまざ対話たいわの場ばだ。岸田きしだは、衆院しゅういんトリプル補選ほせんで唯一ゆいいつの与野党よやとう対決たいけつとなった島根しまね1区くでの応援おうえんに合あわせ、党員とういんとの意見いけん交換こうかんのため、山やまあいにある安来やすぎ市しの会場かいじょうを訪おとずれていた。旧きゅう伯太はかた町まちの党とう支部しぶ長ちょうを務つとめる藤原ふじわらはトップバッターだった。

　「我々われわれ党員とういん、恥はずかしい気持きもち…