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　米国べいこくの大学だいがくで激化げきかするパレスチナ自治じち区くガザでの戦闘せんとうへの抗議こうぎ活動かつどうに、バイデン米べい大統領だいとうりょうは「ユダヤ人じんに対たいする嫌いやがらせや暴力ぼうりょくの呼よびかけが見みられる」とし、「反はんユダヤ主義しゅぎ」は受うけ入いれられないとする姿勢しせいを示しめしました。イスラエルを擁護ようごする立場たちばの人ひとびとが口くちにする「反はんユダヤ主義しゅぎ」とは、そもそもどんな考かんがえなのか。近きん現代げんだいドイツのユダヤ人じんの歴史れきしに詳くわしい、広島大学ひろしまだいがくの長田ながた浩ひろし彰あきら教授きょうじゅに聞ききました。

　――反はんユダヤ主義しゅぎとは。

　1870年代ねんだいにドイツで使つかわれ始はじめたことばです。ユダヤ人じんに対たいする憎悪ぞうおや反感はんかん、敵意てきいを表あらわす、差別さべつ思想しそうです。

反感はんかんや偏見へんけんが、人種じんしゅ主義しゅぎに転てんじたきっかけとは

　そもそも欧州おうしゅうのキリスト教きりすときょう社会しゃかいには、宗教しゅうきょう的てきな反はんユダヤ感情かんじょうや偏見へんけんがみられました。中世ちゅうせいにおいて、ユダヤ人じんは身分みぶん制せいから外はずれた集団しゅうだんでした。土地とち所有しょゆうを禁きんじられ、仕事しごとも商業しょうぎょうや金融きんゆう業ぎょうなどにしか就つけず、借金しゃっきんを返かえせなくなった人ひとなどからの恨うらみも彼かれらに向むきました。

　それが19世紀せいき後半こうはんになると、人種じんしゅ主義しゅぎ的てきな考かんがえ方かたを含ふくんだ反はんユダヤ主義しゅぎが出でてきます。

　――きっかけは。

　1789年ねんに始はじまったフランス革命かくめい後ご、共通きょうつうの言語げんごや文化ぶんかを持もつ共同きょうどう体たいを基礎きそとした「国民こくみん国家こっか」が生うまれたことです。昔むかしながらの身分みぶん制せいが崩くずれ、ユダヤ人じんにも権利けんりが与あたえられたことが、翻ひるがえって反はんユダヤ主義しゅぎの誕生たんじょうにつながりました。

　フランスでは、1791年ねんにユダヤ人じん解放かいほう令れいが出でます。他たの集団しゅうだんと同様どうようの権利けんり・義務ぎむを得える「人間にんげんとしての解放かいほう」です。ドイツでは1871年ねんにドイツ帝国ていこくが成立せいりつし、国民こくみん国家こっかができます。近代きんだい化かを図はかるなか、国民こくみんとして統合とうごうすることで力ちからを利用りようしようと、ユダヤ人じん解放かいほうに取とり組くみました。

　ただフランスと違ちがって、ドイツでは解放かいほうをめぐる議論ぎろんが長ながく続つづき、権利けんりの付与ふよは小出こだしで、剝奪（はくだつ）もされました。ユダヤ人じん解放かいほうは、キリスト教きょう社会しゃかいが与あたえる「恩恵おんけい」や「契約けいやく」なのだとする発想はっそうが、ドイツ的てきな風土ふうどの中なかで培つちかわれます。

　――そのことが反はんユダヤ主義しゅぎに転てんじた背景はいけいは。

■バブル後ごに陥おちいった不ふ況きょう、生しょうじ…