2023年度ねんどに相次あいついだ値上ねあげによる物価ぶっか上昇じょうしょうは、多おおくが企業きぎょう収益しゅうえきとなり、賃上ちんあげにはほとんど回まわっていないことがわかった。国内こくない総そう生産せいさん（GDP）の物価ぶっか動向どうこうを示しめす「GDPデフレーター」などから、朝日新聞社あさひしんぶんしゃが算出さんしゅつした。昨年さくねんの春闘しゅんとうで賃上ちんあげ率りつは30年ねんぶりの高水準こうすいじゅんとなったが、専門せんもん家かは「結果けっか的てきには、もっと賃上ちんあげができた」と指摘してきする。

　「GDPデフレーター」は、消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうとは違ちがい、原油げんゆなど輸入ゆにゅうコストの上昇じょうしょう分ぶんは含ふくまれず、国内こくないに起因きいんする物価ぶっかの値上ねあがり分ぶんのみを算出さんしゅつできる。23年度ねんどのデフレーターは前年度ぜんねんど比ひ4・1%上昇じょうしょうし、伸のび率りつは比較ひかく可能かのうな1981年度ねんど以降いこう、最大さいだいとなった。

　値上ねあがりした分ぶんが賃金ちんぎんにどう回まわったのかをGDPデフレーターから計算けいさんしたところ、23年度ねんどの上昇じょうしょう分ぶん（4.1%）のうち、賃上ちんあげ要因よういんは0・3%分ぶんにとどまった。割合わりあいでは1割わりに満みたない。残のこりには企業きぎょう収益しゅうえきや固定こてい資産しさんの減少げんしょう分ぶん、間接かんせつ税ぜいが含ふくまれるが、「大半たいはんは企業きぎょう収益しゅうえきと考かんがえられる」（エコノミスト）。実際じっさい、24年ねん3月がつ期き決算けっさんで、上場じょうじょう企業きぎょうの純じゅん利益りえきの総額そうがくは3年ねん連続れんぞくで過去かこ最高さいこうとなり、値上ねあげが利益りえきを押おし上あげた企業きぎょうも多おおかった。

　背景はいけいには原油げんゆ価格かかくが下落げらくするなど輸入ゆにゅう物価ぶっかが落おち着つくなかでも、企業きぎょうが過去かこのコスト上昇じょうしょう分ぶんを転嫁てんかするなど商品しょうひんの値上ねあがりは続つづいたことがある。たとえば、帝国ていこくデータバンクの調査ちょうさでは、食品しょくひんメーカー195社しゃが23年度ねんどに値上ねあげした商品しょうひんは2万まん5234品目ひんもくにのぼった。

　一方いっぽう、高たかい賃上ちんあげが実現じつげんした…