オオカミ少年といわれても――日本の財政危機に備える「プランB」
日本が財政破綻(はたん)の危機に陥ったら、政府はどう対処するか――。民間シンクタンク「東京財団政策研究所」のグループが、万一を想定した緊急プランをつくる作業を進めている。
参加者は財政や金融、政策実務に詳しい専門家ら。危機の段階に応じて方策や手順を示し、今年度中に提言をまとめるという。物々しさも漂うが、どんな思いで取り組んでいるのか。
「財政危機の可能性は今のところ非常に低いと思いますが、長期的には否定もできません。しかも、起きた時の被害は甚大です。大地震の防災計画や火災の避難訓練は当たり前なのに、財政は備えがなくてよいのでしょうか」
こう話すのは、中心メンバーの加藤創太・研究主幹だ。グループは2013年にも財政危機対策を公表している。財政再建方針の速やかな提示や優先度が低い予算の執行停止、市場の混乱をしずめるための金融機関支援、日本銀行が国債を緊急に買い入れて政府の資金繰りを確保、といった大胆な内容だ。だが、政府による具体的な準備にはつながらなかった。
それから10年あまり。財政…
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この記事を書いた人
- 五郎丸健一
- 論説委員|経済社説担当
- 専門・関心分野
- 財政・税制、エネルギー政策、公共インフラ