• 
• 
• 
• 

　岐阜ぎふ県けん美濃加茂みのかも市しの病院びょういんの一角いっかくに今月こんげつ、小ちいさな花壇かだんができた。「入院にゅういん患者かんじゃからも見みえる位置いちに」と色いろとりどりの花はなを植うえ、幸しあわせを願ねがってデザインした花壇かだんは、園芸えんげいを学まなぶ女子じょし高校生こうこうせいと末期まっきがん患者かんじゃとの出会であいをきっかけに生うまれた。

　昨年さくねん11月がつ、美濃加茂みのかも市しの加茂かも農林のうりん高校こうこうで開ひらかれた文化ぶんか祭さい「緑園みどりえん祭さい」は、コロナ禍かで4年ねんぶりの一般いっぱん公開こうかいとなり、多おおくの来場らいじょう者しゃでにぎわっていた。会場かいじょうには、生徒せいとが育そだてた鉢植はちうえの花はなや苗なえの販売はんばいコーナーもあった。

　「1年生ねんせいなの？　ご苦労くろうさんやね」

　園芸えんげい流通りゅうつう科かの1年生ねんせいだった村田むらた果はて杏あんず（かなん）さん（16）は、高齢こうれいの女性じょせいから声こえをかけられた。夫おっとと2人ふたりで来きたという。

　「主人しゅじんね、末期まっきのがんなの。今年ことし4年ねんぶりに緑園みどりえん祭さいがあるって聞きいたから、『行いく』ってきかなくて」

　やせ細ほそった体からだで、購入こうにゅうした花はなを大切たいせつそうに抱かかえ、休やすみ休やすみゆっくり歩あるく高齢こうれいの夫おっとの姿すがたに、温あたたかい気持きもちになった。

　「花はなには、生いきる希望きぼうを与あたえる不思議ふしぎな力ちからがあるんだな」。そう思おもったのと同時どうじに、自分じぶんの夢ゆめとこの時ときの体験たいけんがつながり、ある思おもいがふくらんでいった。

　村田むらたさんの将来しょうらいの夢ゆめは看護かんご師しになることだ。

つながった「看護かんご」と「農業のうぎょう」

　加茂かも農林のうりん高校こうこうに入学にゅうがくしたのは、同校どうこうを卒業そつぎょう後ご、専門せんもん学校がっこうを経へて看護かんご師しになった5学年がくねん上じょうの姉あねの背中せなかを追おってのこと。

　「看護かんご師しは患者かんじゃさんに寄より添そい、笑顔えがおにできる力ちからがある」と憧あこがれの仕事しごとだ。

　園芸えんげい流通りゅうつう科かでは校内こうないで花はなの販…