無意味むいみな死し許ゆるさぬ　ドイツ歌曲かきょくの真骨頂しんこっちょうをよみがえらせた名めい歌手かしゅの叫さけび

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写真・図版
エクス＝アン＝プロヴァンスのミラボー通どおり=1980年ねん
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片山かたやま杜もり秀しゅうの蛙かえる鳴な梟ふくろう聴

世界せかいの隅々すみずみにまで目めを凝こらし、時代じだいも国境こっきょうも超こえて人々ひとびとを連つらねる芸術げいじゅつの力ちからを礎いしずえに、希代きたいの音楽おんがく評論ひょうろん家かが現代げんだい社会しゃかいを読よみ解とくクラシック音楽おんがく時評じひょうです。「蛙かえる鳴な梟ふくろう聴（あめいきょうちょう）」は故事こじ成語せいご「蛙かえる鳴な蟬噪（あめいせんそう）」のアレンジです。蛙かえる（かえる）のにぎやかな音楽おんがくに梟ふくろう（ふくろう）のように静しずかに耳みみを傾かたむけ、世界せかいを鳥瞰ちょうかん（ちょうかん）します。

　クリストフ・プレガルディエン。ドイツのテノール歌手かしゅ。彼かれが必死ひっしに歌うたう。いや、歌うたうというよりも語かたる。68歳さいだ。声こえに老おいの影かげが忍しのび寄よる。それをかえって武器ぶきにする。濁にごりを恐おそれない。地声じごえを剝（む）き出しゅつしにする。きれいごとでない訴うったえが生しょうじる。名めい歌手かしゅというよりも名優めいゆう。しかもその表現ひょうげんが異様いように緊迫きんぱくする。叫さけびにまで達たっする。崖がけっぷちにでも追おい詰つめられているのか。

　5月24日にち、東京とうきょうのトッパン…

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