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　バブルの最盛さいせい期きに出版しゅっぱんした著書ちょしょ「豊ゆたかさとは何なにか」で、「日本にっぽんは豊ゆたかさへの道みちを踏ふみ違ちがえた」と警鐘けいしょうを鳴ならした暉あきら峻たかし淑子としこさん。「画一かくいつ的てきモノサシで優劣ゆうれつをきめ、敗者はいしゃを排除はいじょしていく社会しゃかいの流ながれ」に抗こうしたいと訴うったえた。あれから30年余ねんよ。96歳さいの経済けいざい学者がくしゃの目めに、日本にっぽん社会しゃかいはどのように映うつっているのだろう。

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　――2月がつに96歳さいの誕生たんじょう日びを迎むかえました。4月には新著しんちょ「承認しょうにんをひらく」を出版しゅっぱんされ、とてもお元気げんきです。そして、いつも怒おこっておられますね。

　「私わたしは日常にちじょうの生活せいかつの中なかでは、けっして怒いかりっぽい人間にんげんではありませんよ。しかし、人権じんけんや民主みんしゅ主義しゅぎを踏ふみにじり、ないがしろにする政治せいじを承認しょうにんできますか。貧困ひんこん化かしてフードバンクの列れつに並ならぶ人々ひとびとがいるのに、一方いっぽうで政治せいじ家かたちは何なん億おくのカネを裏金うらがねにして私物しぶつ化かする。子こどもの義務ぎむ教育きょういくの場ばがブラック企業きぎょうのような労働ろうどう現場げんばになっているのに、ほぼ放置ほうちされたまま。福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこの解決かいけつも見みえないのに原子力げんしりょく政策せいさくを転換てんかんする。どうして怒おこらずにいられますか。笑わらってみていなさい、という方ほうが不自然ふしぜんではないですか」

　――ベストセラーになった「豊ゆたかさとは何なにか」を出版しゅっぱんしたのはバブルの時代じだい。「経済けいざい大国たいこく」と浮うかれる時代じだいの風潮ふうちょうを鋭するどく批判ひはんした、怒いかりの書しょでした。執筆しっぴつに駆かり立たてたのは何なにだったのでしょう。

　「当時とうじも市場いちば原理げんりを重視じゅうしする米国べいこく流りゅうの資本しほん主義しゅぎを見本みほんにしようという風潮ふうちょうが強つよい時代じだいでした。ところが、ベルリン自由じゆう大学だいがくの客員きゃくいん教授きょうじゅとして講義こうぎするために1986年ねんから1年間ねんかん西にしドイツを訪おとずれ、こんな資本しほん主義しゅぎがあるんだ、と大おおきなショックを受うけたんですね。人々ひとびとの暮くらしにゆとりがあって、教育きょういくや福祉ふくしが行いき届とどいていた。普通ふつうの労働ろうどう者しゃが広ひろい家いえに住すんでいるわけです。『ウサギ小屋こや』と揶揄やゆ（やゆ）される日本にっぽんとは段違だんちがい。人間にんげんらしい暮くらしがそこにあった。日本にっぽんの資本しほん主義しゅぎは『三流さんりゅう資本しほん主義しゅぎ』だとつくづく感かんじさせられたのです」

■ますます遠とおのく「豊ゆたかな生活せいかつ…