JR新しん横浜よこはま駅えき近ちかくのビルの一室いっしつには、段だんボール箱ばこが積つみ重かさなっていた。数カ月すうかげつ前まえまでは二に十じゅう数すう人にんの社員しゃいんがいたはずだが、今いまはその姿すがたはない。寒々さむざむしい空間くうかんがそこにあった。

　「小しょう所帯じょたいになるから、今週こんしゅう末まつには小ちいさいところに移うつるんだ」

　昨年さくねん11月がつ半なかば、大沢おおさわ金満きんまん（87）は会社かいしゃの引ひっ越こしに追おわれていた。

　その3カ月かげつ前まえ。暑あつい夏なつの盛もりだった。大沢おおさわの会社かいしゃ「ピーク・ジャパン」は、経営けいえい破綻はたん（はたん）した。スマートフォンに使つかわれる電子でんし部品ぶひんを輸入ゆにゅう販売はんばいしていた会社かいしゃだった。

　経営けいえい状じょう況きょうが急転きゅうてんしたのはさらに3カ月かげつ前まえ、昨春さくしゅんのことだ。

　大口おおぐちの取引とりひき先さきだった旧きゅう富士通ふじつうグループのスマートフォンメーカー「FCNT」が事業じぎょうを停止ていししたのだ。昨年さくねん5月がつ30日にち、FCNTは東京とうきょう地裁ちさいに民事みんじ再生さいせい法ほうの適用てきようを申請しんせいした。

　そのあおりを食くった。いわゆる連鎖れんさ破綻はたんだ。

　FCNTは「らくらくスマー…