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　瀬戸内せとうちのミカン畑はたけではおなじみの運搬うんぱん用ようモノレール。ヒマラヤでの水力すいりょく発電はつでん所しょ建設けんせつのために導入どうにゅうできないかと、ネパールからの視察しさつ団だんが17日にち、モノレールメーカー「ニッカリ」（岡山おかやま市し東ひがし区く）を訪おとずれた。

　農業のうぎょう向むけの運搬うんぱん用ようモノレールの開発かいはつは、愛媛えひめ県けんのミカン農家のうかが急きゅう傾斜地けいしゃちでの果実かじつ運搬うんぱん用ように日本にっぽん刈取かりとり機き工業こうぎょう（現げんニッカリ）に持もちかけたことがきっかけ。人力じんりきでは負担ふたんが大おおきく、ケーブルワイヤを使つかったシステムは施工しこうが大おおがかりで、軌道きどうを自由じゆうに設置せっちできないのがネックだった。

　そこで、同社どうしゃは角かくパイプの下面かめんに直線ちょくせん状じょうの歯車はぐるま（ラック）を溶接ようせつした軌道きどうと汎用はんよう（はんよう）エンジンを組くみ合あわせた農業のうぎょう向むけの運搬うんぱん用ようモノレール「モノラック」を1966（昭和しょうわ41）年ねんに開発かいはつ。最大さいだい45度どまで登坂とさか可能かのうで、軌道きどうの施工しこう幅はばが1メートル弱じゃくと樹木じゅもくの伐採ばっさいが最小限さいしょうげんで済すむうえ、国くにの支援しえんもあって爆発ばくはつ的てきに普及ふきゅうした。同種どうしゅのものとしては世界せかい初はつとされ、70年ねんごろに生産せいさんされた初期しょきの型かたは日本にっぽん機械きかい学会がっかいの「機械きかい遺産いさん」に認定にんていされている。現在げんざいは土砂どしゃ災害さいがいの復旧ふっきゅう工事こうじで急斜面きゅうしゃめんに重機じゅうきや人員じんいんなどを運はこぶ需要じゅようが高たかまり、最大さいだい3トンまで運はこべるタイプも市販しはんされている。

　国土こくどの8割わりが山岳さんがく地帯ちたいのネパールでは、急斜面きゅうしゃめんでの農作業のうさぎょうや土木どぼく作業さぎょうは依然いぜん人力じんりきや家畜かちくに頼たよっている。ニッカリはJICA（国際こくさい協力きょうりょく機構きこう）の事業じぎょうを活用かつようし、ネパールへの導入どうにゅうを働はたらきかけている。

　今回こんかいはネパールから4人にんが来日らいにちし、ニッカリ本社ほんしゃのテストコースで、2トンの重おもりを引ひいて45度どの傾斜けいしゃを上のぼる防災ぼうさい用よう大型おおがたモノレールを視察しさつしたり、人ひとを乗のせられる台車だいしゃを接続せつぞくしたモノレールに試乗しじょうして乗のり心地ごこちを味あじわったりした。

　輸入ゆにゅう代理だいり店てんの社長しゃちょうを務つとめるサイリッシュ・カンデールさんは「ネパールは国くにを挙あげて、ヒマラヤの雪解ゆきどけ水すいと急きゅう傾斜けいしゃを利用りようした水力すいりょく発電はつでんに取とり組くんでいる。資材しざいや人員じんいんの輸送ゆそうに活用かつようしたい」と話はなした。

　一いち行ぎょうはこの後のち、広島ひろしま市し森林公園しんりんこうえんの観光かんこう用よう電動でんどうモノレールや、島根しまね県けんの高速こうそく道どう建設けんせつ現場げんばで使つかわれている防災ぼうさい用ようモノレールも視察しさつした。（大野おおの宏ひろし）