全面再開の金沢21世紀美術館 線の意味探る展覧会始まる
【石川】能登半島地震の影響で一部閉鎖していた金沢21世紀美術館(金沢市)は22日全面再開し、展覧会「Lines――意識を流れに合わせる」が始まった。
芸術家が作品制作で線をどのように使い、線がどのような意味を伝えるかについて探求する展覧会で、16組の35点の作品を展示する。
展示室の壁一面に広がるエル・アナツイの作品「パースペクティブス」は、金属製のボトルのキャップや牛乳缶のふた、アルミの帯などの廃材を布のように組み合わせた、高さ約12メートルの作品。廃材を銅線でつなぎ、光沢感のある巨大な布のように再生させることで、環境問題に直面する社会の回復力を物語っているという。
能登半島を意識した大巻伸嗣の「Plateau 2024」は、床面の円盤や上からつり下がる振り子が陸地や海を表し、人間社会とは異なる時間軸で常に変化している様子が表現されているという。
同時開催されるコレクション展では、約4200点の収蔵作品の中から、同館を代表する20組の68点を展示する。アンディ・ウォーホルや村上隆など、世界的なアーティストの作品の他、金沢市と縁の深い漆芸作家の作品なども展示している。
横浜市から一人旅中という会社員の女性(58)は「美術に詳しくなくても楽しめる作品が多く、取っつきやすかった。『スイミング・プール』では上からも下からも知らない人と手を振り合い、妙なコミュニケーションが生まれました」と笑った。金沢市の会社員の男性(52)は「頻繁に訪れていたので、(一部閉鎖は)寂しかった。以前はなかった展示が多くあり、面白い」としみじみ語った。
展覧会は午前10時~午後6時(金・土曜は午後8時)、月曜または祝日翌日休場。「Lines」の会期は10月14日まで。一般1200円、大学生800円、小中高生400円、65歳以上1千円。コレクション展は9月29日まで。一般450円、大学生310円、小中高生無料、65歳以上360円。詳細は同館のホームページ(https://www.kanazawa21.jp
)。(椎木慎太郎、波絵理子)
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![能登半島地震](https://www.asahicom.jp/topics/images/r_notohantojishin_660x370.jpg)
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