輝かがやく星せいや発光はっこうする緑りょくや青あおの基板きばん、そして、EYEの文字もじ……。右目みぎめを変かえる度たび、新あたらしい世界せかいが瞳ひとみに広ひろがる。「自分じぶんが想像そうぞうしたキャラクターをイメージして作つくっています」

　「義眼ぎがんアーティスト」のリブさん（29）は、幼おさない頃ころに右目みぎめを失明しつめい。伸のばした髪かみで目めを隠かくすと、「気持きもち悪わるい」などと、心しんない言葉ことばをかけられた。20歳さいで初はじめて義眼ぎがんをつけると、アルバイトの面接めんせつが驚おどろくほど通とおるように。でも、違和感いわかんがあった。障害しょうがいは隠かくすこと。そんな健常けんじょう者しゃの枠わくに押おし込こめられているようだった。

　映画えいが「ラスト・アクション・ヒーロー」のベネディクトと「ダークナイト」のジョーカーが大好だいすきだ。顔かおに傷きずを持もち、周まわりから忌いみ嫌きらわれても堂々どうどうと立たち振ふる舞まっていた。そんな姿すがたに憧あこがれ、自みずからデザインした義眼ぎがんをつけたいと思おもうようになった。

　学生がくせい時代じだい、大手おおて製作所せいさくしょに問とい合あわせたが、製作せいさくを断ことわられた。就職しゅうしょく後ごも調しらべ続つづけ、2020年ねんにようやく自みずからのデザインで作つくってくれる義眼ぎがん技師ぎしに出会であった。最初さいしょにデザインした星空ほしぞらの義眼ぎがんは、落おち込こんだ時ときに聴きいていた歌うたからイメージを膨ふくらませた。4カ月かげつほどで完成かんせいした義眼ぎがんをつけてみると「やっと本当ほんとうの自分じぶんに出会であえた気きがした」。

　技師ぎしや文献ぶんけんを通つうじて独学どくがくで技術ぎじゅつを習得しゅうとくしたリブさんは、これまでに、14個こを自作じさく。今月こんげつ17日にちには、メディアアートの国際こくさい的てきコンテスト「Prix　Ars　Electronica（プリ・アルスエレクトロニカ）」のInteractive Art + 部門ぶもんで、優秀ゆうしゅう賞しょうを受賞じゅしょうした。「普通ふつうの義眼ぎがんに違和感いわかんを覚おぼえたのが、デザイン義眼ぎがん制作せいさくの始はじまり。小ちいさな違和感いわかんから生うまれたデザイン義眼ぎがんが、このようなコンペティションで認みとめられてうれしい」とリブさんは話はなす。

　「健常けんじょう者しゃにはできないファッションであり、本当ほんとうの自分じぶんを表現ひょうげんする手段しゅだん。デザイン義眼ぎがんは私わたしのアイデンティティーです」（小林こばやし一茂かずしげ）