第2回「ヘリは争奪戦」通院も出産も島外へ 「内地」長期滞在で高額自腹も
都心から大型船で7時間半、野鳥が集う深い森に覆われ、イルカと泳げる青い海に囲まれた御蔵島(東京都御蔵島村)。300人が暮らす島に飛行機の便はなく、船も海が荒れれば欠航する。隣の三宅島や八丈島へ渡るヘリコプターは客席が9席だけで「いつも争奪戦」(島民)という。
「壮絶な経験だった」。御蔵島中学校教師だった西川理恵さん(41)は、出産までの日々を振り返る。数度の流産を経て、2022年夏に妊娠。島に常駐する医師は1人だけで、出産には対応できない。当時40歳。医師に勧められ、早めに都心に出ることにした。
9月、墨田区の病院の近くにマンスリーマンションを借りた。初めての出産を控え、慣れない土地で不安な日々を過ごし、翌年3月に待望の第1子が誕生した。
出産後も島に戻れず、都心で2カ月
だが、すぐには帰れない。島…
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この記事を書いた人
- 中山由美
- 専門記者|南極・北極担当
- 専門・関心分野
- 南極・北極、地球環境、野生生物