新潟にいがた県けん燕つばめ市しの機械きかい部品ぶひんの製造せいぞう工場こうじょう。経理けいり役やくの男性だんせい（72）が昨年さくねん6月がつ26日にち、事務所じむしょのパソコンでネットバンキングの残高ざんだかをにらみながら、4カ月かげつ前まえから社長しゃちょうを務つとめる親会社おやがいしゃの代表だいひょう（51）の携帯けいたいにショートメッセージを打うっていた。

　「今日きょうは手形てがたの決済けっさい日びです。大だい至急しきゅう入金にゅうきんお願ねがいします」（午前ごぜん10時じ42分ふん）

　相手あいてから「至急しきゅう確認かくにんする」と返信へんしんがあり、こう続つづいた。

　「プールしている預金よきんがなくなっている。至急しきゅうで調査ちょうさと対応たいおうを進すすめている」（午前ごぜん11時じ30分ふん）

　午後ごご1時じ20分ふんに「銀行ぎんこうから手形てがた決済けっさい不足ふそく額がく469万まん円えんの入金にゅうきん至急しきゅうお願ねがいしますと連絡れんらくがあった」と伝つたえると、「現時点げんじてんで全容ぜんようを把握はあくできていないが、急いそいでいる」（午後ごご1時じ24分ふん）と返かえってきた。午後ごご3時じ時点じてんで残高ざんだかが足たりなければ、手形てがたが不渡ふわたりになり、会社かいしゃの信用しんようが失墜しっついする。

　午後ごご2時じ17分ふんに「見通みとおしは？」と尋たずねると、返信へんしんはすぐに来きた。

　「急きゅうなことでこちらも混乱こんらんしている。対たい銀行ぎんこうは貴社きしゃ内ないで対応たいおうできる範囲はんいで進すすめてください」（午後ごご2時じ18分ふん）

　驚おどろいて「どういうこと？」ときくと、こう返かえってきた。

　「各かく口座こうざに残余ざんよ金きんがあれば、という意味いみ。なければこちらの対応たいおうをお待まちください」（午後ごご2時じ27分ふん）

　パソコン画面がめんの残高ざんだかは変かわらなかった。銀行ぎんこうから不渡ふわたりの連絡れんらくがあり、しばらく対応たいおうに追おわれた。夕方ゆうがたに代表だいひょうに報告ほうこくすると、こう返信へんしんがあった。

　「本日ほんじつこの事態じたいを受うけ、海外かいがいからの自己じこ資金しきんの送金そうきんを手配てはいした。資金しきんは大丈夫だいじょうぶだが、着金ちゃっきんまでの時間じかんがもどかしい」（午後ごご5時じ54分ふん）

　従業じゅうぎょう員いん17人にんの給料きゅうりょう日びが、2日にち後ごに控ひかえていた。

新潟にいがた県けん100%出資しゅっしの団体だんたい運営うんえい

　1966年ねん設立せつりつの会社かいしゃは、金きむ…