道後温泉本館に「出勤」して5年、文化財修理のプロの人生は変わった
【動画】約5年半ぶりに営業を再開する道後温泉本館=佐藤慈子撮影 松山市に妻と長男と引っ越して、5年半ほどになる。市内の自宅から、雨が降らなければ、自転車をこいで道後温泉本館に「出勤」する日々だ。
梅津秀基さん(52)は、全国で歴史的建造物の修理を手がける公益財団法人「文化財建造物保存技術協会」の職員。道後温泉本館の保存修理を市から委託された協会が、梅津さんを現地の責任者として派遣した。
愛知県で生まれ、大学院で建築を研究した。「文化財にかかわる仕事がしたい」と、1996年に協会に入った。
最初は奈良市で平城京遺跡の復元工事を担った。長野県や山形県などでも文化財修理に携わった。
2018年秋、上司から松山への派遣を打診された。道後温泉本館は何回か入浴したことはあった。「日本で誰もが知る有名な建物。光栄だけど大変そうだ」。19年1月、松山市民になった。
本館は明治中期~昭和初期にかけて建てられた木造の公衆浴場だ。耐震補強などのため、市は総事業費約26億円を投じ、19年から工事を始めた。
徹底した事前調査、それでも起きた「想定外」
梅津さんの赴任時点で、本館…
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