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再生可能エネルギーを誰もが使えている? 村上芽の「SDGsで使えるデータ」【4】:朝日新聞SDGs ACTION!
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再生さいせい可能かのうエネルギーをだれもが使つかえている? 村上むらかみの「SDGsで使つかえるデータ」【4】

再生可能エネルギーを誰もが使えている? 村上芽の「SDGsで使えるデータ」【4】
太陽光たいようこうパネルをそなえる戸建こだ住宅じゅうたく神奈川かながわけん藤沢ふじさわ撮影さつえい朝日新聞あさひしんぶん
日本にっぽん総合そうごう研究所けんきゅうじょシニアスペシャリスト/村上むらかみ

著者_村上芽さん
村上むらかみ (むらかみ・めぐむ)
株式会社かぶしきがいしゃ日本にっぽん総合そうごう研究所けんきゅうじょ 創発そうはつ戦略せんりゃくセンター シニアスペシャリスト。金融きんゆう機関きかん勤務きんむて2003ねん日本にっぽん総研そうけん入社にゅうしゃせんもん研究けんきゅう分野ぶんやはSDGs、企業きぎょうのESG評価ひょうか環境かんきょう金融きんゆうなど。サステイナビリティー人材じんざい育成いくせいどもの参加さんかちかられている。『少子しょうしする世界せかい』、『SDGs入門にゅうもん』(共著きょうちょ)、『図解ずかいSDGs入門にゅうもん』など著書ちょしょ多数たすう
再生可能エネルギーに関するデータ

東京とうきょう太陽光たいようこうパネル設置せっち義務ぎむ

気候きこう変動へんどう対策たいさくとしてはもちろん、エネルギーの自立じりつてき確保かくほてんからも関心かんしんたかまっているのが再生さいせい可能かのうエネルギーです。

日本にっぽんではいまだにコストだかわれるさいエネですが、これを「だれ一人ひとりのこされない」SDGsの理念りねんらしてだれでも使つかえるようにするためには、どこにけていけばよいでしょうか。いくつかのデータをみると、住宅じゅうたく、インフラ、建設けんせつ不動産ふどうさん金融きんゆうなど様々さまざまなビジネスが関係かんけいしてくることがわかります。

まず、太陽光たいようこう発電はつでんからみていきましょう。

東京とうきょうは2022ねん9がつ、「カーボンハーフ実現じつげんけた条例じょうれい制度せいど改正かいせい基本きほん方針ほうしん」をまとめました。都内とないでは、二酸化炭素にさんかたんそ(CO2)排出はいしゅつりょうやく7わり建物たてもの使つかわれるエネルギーに起因きいんしているという実態じったいから、だつ炭素たんそ実現じつげんのためには建物たてものでの対策たいさく強化きょうかしなければならない、という問題もんだい意識いしきもとづくものです。

あらたにつくられるのは、ゆか面積めんせきが2000㎡未満みまん中小ちゅうしょう規模きぼ建物たてもの新築しんちくする場合ばあい断熱だんねつしょうエネ性能せいのうや、太陽光たいようこうパネルの設置せっちなどを義務ぎむづけ、誘導ゆうどうする制度せいどです。一般いっぱん住宅じゅうたくふくまれます。

制度せいどじょう義務ぎむ対象たいしょうとなるのは、都内とない年間ねんかん2まん以上いじょうゆか面積めんせき供給きょうきゅうするハウスメーカーで、都内とない大手おおてやく50しゃになると見込みこまれています。義務ぎむ個人こじんされるのではないかと誤解ごかいされることも一定いってい程度ていどあったようですが、実質じっしつてきには大手おおて企業きぎょうかぎられていることから、この枠組わくぐみであれば今後こんご自治体じちたいにもひろがる可能かのうせいがあるかもしれません。

屋上に太陽光パネルが並ぶ集合住宅
屋上おくじょう太陽光たいようこうパネルがなら集合しゅうごう住宅じゅうたく横浜よこはま磯子いそご撮影さつえい朝日新聞あさひしんぶん

自治体じちたいによって普及ふきゅうりつちがうのは

最近さいきんひろがりつつある太陽光たいようこう発電はつでんですが、東京とうきょう調査ちょうさでは太陽光たいようこうパネルの設置せっちが「てき条件じょうけんふくむ)」とされた建物たてもののうち、設置せっちみとなっているのは4%程度ていどにすぎないとのことです。

太陽光たいようこう発電はつでん全国ぜんこくてき普及ふきゅう状況じょうきょうはというと、ややふるいですが「平成へいせい30ねん住宅じゅうたく土地とち統計とうけい調査ちょうさ」が最新さいしんばんで、太陽光たいようこう発電はつでん太陽熱たいようねつ温水おんすいじゅうサッシガラスをそれぞれ設置せっちしている住宅じゅうたく戸数こすうをみることができます。

いえかぎってみると、もっと設置せっちりつたかいのは大分おおいたけん一戸建いっこだて・木造もくぞう鉄筋てっきんなど)の場合ばあいで23.4%でした。専用せんよう住宅じゅうたく一戸建いっこだて・いえ木造もくぞう条件じょうけんくらべると、大分おおいたけんつづき、佐賀さがけん熊本くまもとけんといった九州きゅうしゅうや、岡山おかやまけんなどれのおお自治体じちたい上位じょういならびます。東京とうきょうは4.87%でワースト9下位かいには大都市だいとしゆきおお地域ちいき目立めだちます。場所ばしょによって、状況じょうきょうにかなりがあることがわかります。

一戸建いっこだいえ太陽光たいようこうパネル設置せっちりつ上位じょうい下位かい都道府県とどうふけんと21都市とし調査ちょうさ

太陽光パネル設置率の上位と下位
総務そうむしょう統計とうけいきょく資料しりょうをもとに編集へんしゅう作成さくせい対象たいしょう木造もくぞう専用せんよう住居じゅうきょ

ここから、いくつか視点してんひろげていきましょう。

(1) 設置せっちりつたか自治体じちたいをみると、おな専用せんよう住宅じゅうたくいえであっても、長屋ながやてや共同きょうどう住宅じゅうたくになるとりつ大幅おおはばがります。分譲ぶんじょうマンション、さらに、賃貸ちんたい住宅じゅうたく社宅しゃたくんでいる場合ばあいにも、ハードルがあることがわかります。そうしたケースでもなんらかのかたち太陽光たいようこう導入どうにゅう利用りようできるような方法ほうほう開発かいはつや、蓄電ちくでんコストの低減ていげん実現じつげんできれば、さらに利用りようやせるかもしれません。

(2) 設置せっちりつひく自治体じちたいのうち大都市だいとしでは、太陽たいようっていないわけではないのに設置せっちできていない可能かのうせいがあります。冒頭ぼうとう紹介しょうかいした東京とうきょうしん制度せいどはこれにてはまります。規制きせいをチャンスにえるためにはなに必要ひつよう検討けんとうする意義いぎがあるでしょう。

(3) ゆきおお自治体じちたいは、日照ひでり時間じかんすくなく太陽光たいようこうにはいていないため、さいエネ電源でんげんにもける必要ひつようがあります。

地域ちいきにあるさいエネ使つか手立てだてを

太陽光たいようこうかぎらず、さいエネ全般ぜんぱんについて地域ちいきべつ自給じきゅうりつ研究けんきゅうしているのが、千葉大学ちばだいがくくらばん研究けんきゅうしつとNPO法人ほうじん環境かんきょうエネルギー政策せいさく研究所けんきゅうじょです。

まい年度ねんど発表はっぴょうしている「永続えいぞく地帯ちたい報告ほうこくしょ」の2021年度ねんどばんてみましょう。都道府県とどうふけんべつ分析ぶんせきひょう参照さんしょうすると、北海道ほっかいどうでは風力ふうりょくやバイオマスによるエネルギー供給きょうきゅうりょうおおく、全国ぜんこく3です。青森あおもりけんは、風力ふうりょく発電はつでんによる供給きょうきゅうエネルギーりょう太陽光たいようこう発電はつでんばいちかくで、全国ぜんこく1新潟にいがたけんしょう水力すいりょく発電はつでん全国ぜんこく3でした。

バイオマス発電所
利用りようざいなどを燃料ねんりょう使つかうバイオマス発電はつでんしょ長野ながのけん塩尻しおじり撮影さつえい朝日新聞あさひしんぶん
小水力発電所
完成かんせいしたしょう水力すいりょく発電はつでんしょ岐阜ぎふけん揖斐川いびがわまち撮影さつえい朝日新聞あさひしんぶん

風力ふうりょくやバイオマス、しょう水力すいりょくといった電源でんげんは、住宅じゅうたく屋根やねにつけられる太陽光たいようこうのように「個人こじん所有しょゆうして利用りよう」するのがむずかしいという性格せいかくがあります。ですから、地域ちいきで「使つかう」というよりもそうした資源しげん発電はつでんして「収入しゅうにゅうる」という感覚かんかくのほうがおおきいかもしれません。

風力発電施設
ずらりとなら風力ふうりょく発電はつでん施設しせつ青森あおもりけん六ケ所ろっかしょむら撮影さつえい朝日新聞あさひしんぶん

実際じっさいさいエネ発電はつでん事業じぎょう地域ちいきからも出資しゅっしするなどして投資とうし収益しゅうえき住民じゅうみん分配ぶんぱいするといったみもられます。ただ、最近さいきんはどちらかというと「事業じぎょうしゃVS地域ちいき」といった対立たいりつ構造こうぞうになってしまうれいにつくようになりました。せっかくさいエネのポテンシャル(潜在せんざいせい)がたか地域ちいきなのに、もったいないはなしです。

さいエネの活用かつようけっしてぜいたくひんではありません。太陽光たいようこうだけでなく、身近みぢかにある自然しぜん資源しげんでつくりした電気でんき地域ちいきだれもが使つかえる方法ほうほう次々つぎつぎてくることを期待きたいします。

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