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省エネとは? 重要性や取り組み事例、企業・個人ができることを解説:朝日新聞SDGs ACTION!
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しょうエネとは? 重要じゅうようせい事例じれい企業きぎょう個人こじんができることを解説かいせつ

省エネとは? 重要性や取り組み事例、企業・個人ができることを解説
しょうエネが大切たいせつ理由りゆう(デザイン:増渕ますぶちまい
エコビジネスライター/名古屋なごやさとる

持続じぞく可能かのう開発かいはつ目標もくひょう(SDGs)の目標もくひょうのうち、エネルギーは目標もくひょう7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」において利用りようのありかたおおきくわれています。こうしたみのなかで「しょうエネルギー(しょうエネ)」も重要じゅうようなキーワードになっています。この記事きじでは、エネルギー消費しょうひ現状げんじょうしょうエネにけてできることを解説かいせつします。

著者_名古屋悟さん
名古屋なごやさとる(なごや・さとる)
エコビジネスライター。2000ねんから2015ねんまで環境かんきょう新聞しんぶんしゃ編集へんしゅう在籍ざいせき。2016ねん独立どくりつし、ECO SEED(屋号やごう)を個人こじん開業かいぎょう。オリジナルの電子でんしばん環境かんきょう専門せんもん配信はいしんしているほか、エコビジネスライターを肩書かたがき各種かくしゅ媒体ばいたいへの執筆しっぴつおこなっている。

目次もくじ

1.しょうエネとは

しょうエネとは「しょうエネルギー」のりゃくで、エネルギーを効率こうりつてき使つかうことをいいます。具体ぐたいてきには、空調くうちょう温度おんど適切てきせつ温度おんどたもったり、使つかっていない照明しょうめい機器きき電気でんきしたりする節電せつでんしょうエネのれいです。

しょうエネは、エネルギーの消費しょうひりょうおさえてエネルギーの安定あんてい供給きょうきゅう地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうし推進すいしんするために推奨すいしょうされているものです。現代げんだい生活せいかつ産業さんぎょう活動かつどうにおいて、エネルギーである電気でんき、ガスや、石油せきゆ石炭せきたんなどの化石かせき燃料ねんりょうはなくてはならないものですが、一層いっそうしょうエネもとめられています。

(1)しょうエネが重要じゅうようされる理由りゆう

先述せんじゅつとおり、しょうエネが重視じゅうしされるおも理由りゆうには「エネルギーの安定あんてい供給きょうきゅう」と「地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうし」のふたつがげられます。具体ぐたいてきにはどのようなことなのか、くわしくてみましょう。

①エネルギーの安定あんてい供給きょうきゅう

世界せかいのエネルギー需要じゅよう増加ぞうかしており、国際こくさいエネルギー機関きかん(IEA)は、2050ねんまでに電力でんりょく需要じゅよう現在げんざいのレベルから、80~150%たかくなると予想よそうしています(参照さんしょうIEA「2023年版ねんばん世界せかいエネルギー見通みとおし」〈WEO 2023〉を発表はっぴょうてい排出はいしゅつ電源でんげんとしての原子力げんしりょく拡大かくだい予測よそく日本にっぽん原子力げんしりょく産業さんぎょう協会きょうかい)。

しかし、エネルギーはかぎりがあるものです。2020ねんまつ時点じてんでの世界せかいのエネルギー資源しげん採掘さいくつ可能かのう年数ねんすうは、現在げんざい生産せいさんりょう前提ぜんていとした場合ばあい石油せきゆは53.5ねん天然てんねんガスは48.8ねんといわれています(参照さんしょうれい4年度ねんどエネルギーにかんする年次ねんじ報告ほうこく〈エネルギー白書はくしょ2022〉だい2だい2しょうだい2せつ いちエネルギーの動向どうこう資源エネルギしげんえねるぎちょう)。

採掘さいくつ可能かのう年数ねんすうあらたな油田ゆでん開発かいはつなどで多少たしょうびるかもしれませんが、資源しげんとしてかぎられていることはわらず、いずれ枯渇こかつしてしまう可能かのうせい懸念けねんされます。エネルギーを安定あんていして供給きょうきゅうするためには、しょうエネ、つまりエネルギーの効率こうりつてき利用りようもとめられています。

地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうし

産業さんぎょう革命かくめい以降いこう、エネルギーのおおくは石油せきゆ石炭せきたんなどの化石かせき燃料ねんりょうやしてつくられてきました。それは同時どうじに、化石かせき燃料ねんりょうやすことで、ねつたくわえる性質せいしつ二酸化炭素にさんかたんそ(CO2)を大気たいきちゅう排出はいしゅつしてきたということでもあります。

化石かせき燃料ねんりょう大量たいりょう消費しょうひくわえて、CO2を吸収きゅうしゅうする森林しんりん伐採ばっさいすすんだことなどで大気たいきちゅうのCO2濃度のうどたかまり、本来ほんらいなら宇宙うちゅう放出ほうしゅつされるねつ大気たいきちゅうでCO2にたくわえられています。その結果けっか温室おんしつ効果こうかすすみ、地球ちきゅう温暖おんだんしているのです。

地球ちきゅう温暖おんだん地球ちきゅう規模きぼでの気温きおん上昇じょうしょう海面かいめん上昇じょうしょうなどをこし、人類じんるい生活せいかつにも多大ただい影響えいきょうおよぼしつつあります。

(2)家庭かていしょうエネと企業きぎょうしょうエネのちが

しょうエネは家庭かていでも事業じぎょういとな企業きぎょうでも重要じゅうようみですが、家庭かていではしょうエネをすすめるおも効果こうかとして、光熱こうねつげたり、温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ抑制よくせいしたりすることが期待きたいされます。

一方いっぽう企業きぎょうしょうエネは、光熱こうねつ削減さくげん温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ抑制よくせいだけではありません。「しょうエネほう(エネルギーの使用しよう合理ごうりおよ化石かせきエネルギーへの転換てんかんとうかんする法律ほうりつ)」により事業じぎょうしゃもとめられている各種かくしゅ報告ほうこく義務ぎむ努力どりょく義務ぎむなどへの対応たいおう必要ひつようであり、法令ほうれい順守じゅんしゅ(コンプライアンス)の観点かんてんからもまなければならない重要じゅうよう項目こうもくになっています。

また、地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうし対策たいさくとしてカーボンニュートラル(CO2をはじめとする温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつりょう吸収きゅうしゅうりょう実質じっしつゼロにけたみ)がもとめられており、しょうエネによる温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげん企業きぎょう価値かち向上こうじょうにもつながるめんがあります。

(3)しょうエネルギーと再生さいせい可能かのうエネルギーのちが

近年きんねんだつ炭素たんそけたうごきのなかで、再生さいせい可能かのうエネルギー(さいエネ)の利用りよう拡大かくだいおおきな関心かんしんあつめていますが、しょうエネとのちがいはなにでしょうか?

しょうエネはさきべたとおり、エネルギーの消費しょうひりょうおさえることをします。一方いっぽうさいエネは、太陽光たいようこう風力ふうりょく水力すいりょくなどかえ使つかえる自然しぜんエネルギーや、植物しょくぶつなど有機ゆうき資源しげん(バイオマス)を原料げんりょうとしたさい生産せいさん可能かのうなエネルギーのことをいいます。

使用しようしてもCO2を排出はいしゅつしない、あるいは相殺そうさいする効果こうかがあることから、だつ炭素たんそすすめるうえで重視じゅうしされているものです。

2.エネルギー消費しょうひ現状げんじょう

エネルギーの需要じゅようたかまっていると先述せんじゅつしました。ここでは、日本にっぽんにおけるエネルギー消費しょうひ現状げんじょうについて、くわしくていきましょう。

(1)日本にっぽんいちエネルギーは8わり輸入ゆにゅうによる化石かせき燃料ねんりょう

日本にっぽんのエネルギー自給じきゅうりつは2021年度ねんどで13.3%と、先進せんしんこくのなかでもエネルギー自給じきゅうりつひくくにとなっています(参照さんしょうれい4年度ねんどエネルギーにかんする年次ねんじ報告ほうこく〈エネルギー白書はくしょ2023〉だい2だい1しょうだい1せつ エネルギー需給じゅきゅう概要がいよう資源エネルギしげんえねるぎちょう)。

日本にっぽん国内こくない化石かせき資源しげんとぼしく、石油せきゆ石炭せきたん天然てんねんガスといった化石かせき燃料ねんりょう海外かいがいからの輸入ゆにゅう依存いぞんしている現状げんじょうです。

化石かせき燃料ねんりょうへの依存いぞんは1970年代ねんだいこったオイルショックですこがりましたが、2011ねん東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい以降いこうふたた化石かせき燃料ねんりょう使用しよう増加ぞうかしており、2021年度ねんど化石かせき燃料ねんりょうへの依存いぞんは83.2%となっています。 

日本の化石燃料依存度
出典しゅってん日本にっぽんのエネルギー 2022年度ねんどばん 「エネルギーのいまる10の質問しつもん」|資源エネルギしげんえねるぎちょう

(2)日本にっぽんのCO2排出はいしゅつりょう世界せかいで5番目ばんめ

日本にっぽん排出はいしゅつしているCO2は、2020ねんやく10.4おくt、2021ねんやく10.6おくtです。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい原子力げんしりょく発電はつでんをカバーするために火力かりょく発電はつでん比率ひりつたかまったことにより一時いちじてきにCO2排出はいしゅつりょうえましたが、その徐々じょじょがってきています(参照さんしょう日本国にっぽんこく温室おんしつ効果こうかガスインベントリ報告ほうこくしょ2023 ひょう1 くに温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつりょうおよ吸収きゅうしゅうりょう推移すいい国立こくりつ環境かんきょう研究所けんきゅうじょ)。

しかしながら、日本にっぽんのCO2排出はいしゅつりょう依然いぜんとしておお傾向けいこうにあり、2020ねんにおけるCO2排出はいしゅつりょうくにべつると、中国ちゅうごく・アメリカ・インド・ロシアにつぐ5番目ばんめおおくなっています。

世界のエネルギー起源CO2排出量
出典しゅってん世界せかいのエネルギー起源きげんCO2排出はいしゅつりょう(2020ねん)|環境省かんきょうしょう

(3)家庭かていのエネルギー消費しょうひりょうこうまり

家庭かていのエネルギー消費しょうひりょうこうまり傾向けいこうにあります。だいいち石油せきゆ危機ききがあった1973年度ねんど家庭かてい部門ぶもんのエネルギー消費しょうひを100とした場合ばあい、もっともエネルギー消費しょうひりょうおおかった2005年度ねんどには221.4までたっしています。

そのしょうエネ技術ぎじゅつ普及ふきゅうによりほぼよこばいとなり、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい以降いこう節電せつでんへの意識いしきたかまりから低下ていかしつつも、近年きんねん新型しんがたコロナウイルス感染かんせんしょう影響えいきょう在宅ざいたくりつえたことから、前年ぜんねん増加ぞうかてんじたとしもあります。2021年度ねんどのエネルギー消費しょうひ前年ぜんねん下回したまわりましたが181.0という数字すうじであり、依然いぜんとしてたか水準すいじゅんにあるのが現状げんじょうです(参照さんしょうれい4年度ねんどエネルギーにかんする年次ねんじ報告ほうこく〈エネルギー白書はくしょ2023〉だい2だい1しょうだい2せつ 部門ぶもんべつエネルギー消費しょうひ動向どうこう資源エネルギしげんえねるぎちょう)。

3.しょうエネのために企業きぎょうができること

企業きぎょうしょうエネにむことで、エネルギー消費しょうひりょう削減さくげんつうじて電気でんき料金りょうきんなどのコストが削減さくげんできるという直接的ちょくせつてきなメリットがまれます。そのほか、CO2排出はいしゅつりょう削減さくげん枯渇こかつする化石かせき燃料ねんりょう節約せつやくなど、環境かんきょう・エネルギー問題もんだい積極せっきょくてき姿勢しせいしめし、企業きぎょうのイメージをたかめる効果こうか期待きたいできます。具体ぐたいてきなにができるかをてみましょう。

(1)既存きそんのエネルギー使用しよう機器きき設備せつび使つかかた見直みなお

事業じぎょう活動かつどうではさまざまな場面ばめんでエネルギーを使用しようしています。基本きほんてきなことですが、エネルギー使用しよう機器きき設備せつび使つかかた見直みなおしてみましょう。

たとえば、以下いかのようなものがあります。

照明しょうめいやパソコンなどの電気でんき機器きき使つか時間じかんらす
空調くうちょう温度おんど適切てきせつ温度おんど冷房れいぼう28暖房だんぼう20)に設定せっていする
使用しようしている車両しゃりょうについてアイドリングストップの徹底てっていなどしょうエネ運転うんてん徹底てっていする
移動いどう手段しゅだん相乗あいのりや公共こうきょう交通こうつう機関きかん移行いこうする

(2)機器きき設備せつび更新こうしんわせてしょうエネ機器きき設備せつび導入どうにゅうする

電気でんき機器きき設備せつび更新こうしん時期じきむかえたとき、しょうエネ促進そくしんするためにしょうエネ機器きき設備せつびへの変更へんこう検討けんとうしましょう。ほかにも、照明しょうめい蛍光けいこうとうからLED照明しょうめいえたり、空調くうちょうこう効率こうりつ空調くうちょう設備せつびえたりすることでしょうエネすすめられます。

(3)再生さいせい可能かのうエネルギーを導入どうにゅうする

たとえば、太陽光たいようこう発電はつでんパネルを導入どうにゅうして自家じか使用しようをすれば、化石かせき燃料ねんりょうによる電力でんりょくることができます。そうはいっても、予算よさんてき太陽光たいようこう発電はつでん導入どうにゅうできない場合ばあいもあるでしょう。その場合ばあいは、太陽光たいようこう発電はつでんなどで発電はつでんした電力でんりょく供給きょうきゅうしている事業じぎょうしゃから電気でんきうことで、化石かせき燃料ねんりょう消費しょうひりょう抑制よくせい寄与きよできます。

(4)しょうエネ診断しんだんける

自社じしゃかんがえうるしょうエネを実践じっせんするだけでなく、プロのしょうエネ診断しんだんけることでさらなるしょうエネの手段しゅだんつかる可能かのうせいがあります。

4.しょうエネのために家庭かていでできること

家庭かていでもしょうエネにむことでエネルギー使用しようりょう削減さくげんし、光熱こうねつ支払しはらいがくげることができるなどのメリットがあります。

(1)既存きそんのエネルギー使用しよう機器きき使つかかた見直みなお

企業きぎょうしょうエネとおなじように、エネルギー使用しよう機器きき使つかかた見直みなおすことは家庭かていでも効果こうかがあります。たとえば、以下いかのような要素ようそげられます。

使つかっていない照明しょうめい機器きき電気でんき
電気でんき機器ききのプラグを待機たいき電力でんりょく使用しようしない
空調くうちょう温度おんど適切てきせつ温度おんど冷房れいぼう28暖房だんぼう20)にする
電子でんしレンジ調理ちょうり可能かのう料理りょうり可能かのうかぎりガス調理ちょうりせずに電子でんしレンジを使用しようする
自家用車じかようしゃ使用しようひかえて公共こうきょう交通こうつう機関きかん自転車じてんしゃ使用しようしたり、徒歩とほ移動いどうしたりする

また、既存きそんまどさえぎねつシートをることで空調くうちょう負荷ふかげ、エアコンの電力でんりょく消費しょうひりょう抑制よくせいするといった間接かんせつてき対策たいさく有効ゆうこうです。

(2)機器きき設備せつび

機器きき設備せつびしょうエネ性能せいのうたかいものにえることもしょうエネにつながります。具体ぐたいてきには、以下いかのようなれいがあります。

まどガラスをふくそうガラス仕様しようのものにえてねつ移動いどうらす
照明しょうめい機器ききをLEDにえる
● エアコンをはじめとする家電かでんしょうエネ家電かでんえる
● ガス給湯きゅうとうこう効率こうりつ給湯きゅうとうえる
自動車じどうしゃをハイブリッドしゃ電気でんき自動車じどうしゃえる

(3)間接かんせつてきみでしょうエネをサポートする

機器きき設定せってい変更へんこうえなどは直接的ちょくせつてきしょうエネを実践じっせんできるみですが、これ以外いがいにも間接かんせつてきみでエネルギー消費しょうひ削減さくげん寄与きよできます。

たとえば、節水せっすいです。みず消費しょうひりょうおさえれば、みずつくったり、使用しよう下水げすい浄化じょうかしたりするために膨大ぼうだいなエネルギーを使つかっている浄水じょうすいじょう下水げすい処理しょりじょうのエネルギー消費しょうひ削減さくげん貢献こうけんできます。

また、水分すいぶん大量たいりょうふくなまごみを自宅じたく堆肥たいひ(たいひ)(コンポスト)することで、焼却しょうきゃくじょう使つか重油じゅうゆなどの使用しようりょう削減さくげん寄与きよできます。

5.しょうエネにけた事例じれい

しょうエネにけた世界せかい主要しゅようこく日本にっぽん政策せいさく日本にっぽん企業きぎょうみをてみましょう。

(1)世界せかい

まずは、世界せかいみを紹介しょうかいします。世界せかい最大さいだいのCO2排出はいしゅつこくである中国ちゅうごくと、2番目ばんめのCO2排出はいしゅつこくであるアメリカについてていきましょう。

中国ちゅうごく

中国ちゅうごく国務こくむいんは「だい145かねん計画けいかくにおけるしょうエネ・排出はいしゅつ削減さくげん総合そうごう作業さぎょう計画けいかく」を発表はっぴょうしています。これは2021~2025ねんだい145かねん計画けいかく期間きかんちゅうのエネルギー関連かんれん政策せいさく方針ほうしんしめしたもので、エネルギーの安全あんぜん保障ほしょうてい炭素たんそ目指めざすといった内容ないようしめされています。

具体ぐたいてきには、単位たんいGDP(国内こくないそう生産せいさんたりのエネルギー消費しょうひりょうを5ねんで13.5%削減さくげんすることや、重点じゅうてん産業さんぎょうのエネルギー利用りよう効率こうりつ主要しゅよう汚染おせん物質ぶっしつ排出はいしゅつ抑制よくせい水準すいじゅん世界せかい先進せんしん水準すいじゅんげることを目指めざしています(参照さんしょうだい145かねん計画けいかく期間きかんしょうエネ・排出はいしゅつ削減さくげんかんする総合そうごう計画けいかく」の印刷いんさつ配布はいふかんする国務こくむいん通知つうち こくはつ〈2021〉33ごうしんエネルギー・産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう開発かいはつ機構きこう)。

②アメリカ

世界せかいで2番目ばんめのCO2排出はいしゅつこくであるアメリカでもしょうエネはかうごきがあります。「Energy Efficiency Resource Standard(EERS)」とばれる政策せいさくでは、エネルギー供給きょうきゅう事業じぎょうしゃなどにしょうエネ義務ぎむりょう設定せっていしています。

エネルギーを供給きょうきゅうするがわは、需要じゅようたいしてしょうエネプログラムを提供ていきょうするなどして、一定いっていしょうエネ義務ぎむ目標もくひょう達成たっせいすることがもとめられます。

EERSは、1ねんごとにめる方法ほうほうから複数ふくすうねん評価ひょうかする方法ほうほうなど、しゅうによってかたちがてん特徴とくちょうです。達成たっせいした場合ばあい公益こうえき事業じぎょう委員いいんかいがエネルギー供給きょうきゅうしゃ補助ほじょきん交付こうふしますが、達成たっせいできなかった場合ばあいには罰則ばっそくきんせられるなどきびしい措置そちもあります(参照さんしょう米国べいこく欧州おうしゅうにおけるしょうエネルギー政策せいさくについて|経済けいざい産業さんぎょうしょう)。

(2)日本にっぽん

日本にっぽんでは、2030ねんまでに温室おんしつ効果こうかガスの46%削減さくげん(2013年度ねんど)、2050ねんまでにだつ炭素たんそをおこなうという目標もくひょうさだめられています。その実現じつげんけた施策しさくこうじられていますので、てみましょう。

しょうエネほう

オイルショックを契機けいきにできたしょうエネほうは、一定いってい規模きぼ以上いじょうの(原油げんゆ換算かんさんで1500kL/とし以上いじょうのエネルギーを使用しようする)事業じぎょうしゃに、エネルギーの使用しようじょうきょうについての定期ていきてき報告ほうこく義務付ぎむづけ、しょうエネや化石かせき転換てんかんかんするみの見直みなおしや計画けいかく策定さくていなどをすすめる法律ほうりつです。

これまでなん改正かいせいされてきましたが、2023ねん4がつ施行しこうされた改正かいせいしょうエネほうでは、エネルギーの使用しよう合理ごうり(エネルギー消費しょうひげん単位たんい改善かいぜんなど)の対象たいしょうに、化石かせきエネルギーが追加ついかされました。

改正省エネ法のポイント
出典しゅってんしょうエネほう改正かいせいれい4年度ねんど改正かいせいしょうエネほうのポイント|しょうエネポータルサイト

また、化石かせきエネルギーから化石かせきエネルギーへの転換てんかん推奨すいしょうされており、しょうエネほうもとづく特定とくてい事業じぎょうしゃには化石かせきエネルギーへの転換てんかんかんする中長期ちゅうちょうきてき計画けいかく作成さくせいもとめられています。

だい6エネルギー基本きほん計画けいかく

だい6エネルギー基本きほん計画けいかくは、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいから10ねん節目ふしめ制定せいていされた政策せいさくです。東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこ経験けいけんかし、安全あんぜんせい大前提だいぜんていにエネルギーの安定あんてい供給きょうきゅう経済けいざい効率こうりつせい向上こうじょうによるていコストでのエネルギー供給きょうきゅう実現じつげんすると同時どうじに、環境かんきょうへの適合てきごうはかることを重要じゅうようしています。

また「2050ねんカーボンニュートラル」や温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつ削減さくげん目標もくひょう実現じつげんけてエネルギー政策せいさく道筋みちすじしめすこと目的もくてきとしており、2030年度ねんどに46%削減さくげん、さらに50%のたかみを目指めざして挑戦ちょうせんつづける目標もくひょうかかげています(参照さんしょうだい6エネルギー基本きほん計画けいかく閣議かくぎ決定けっていされました|経済けいざい産業さんぎょうしょう)。

(3)企業きぎょう

日本にっぽんではしょうエネに企業きぎょうのなかから、優秀ゆうしゅうみを表彰ひょうしょうする「しょうエネ大賞たいしょう」があります。「2022年度ねんどれい4年度ねんどしょうエネ大賞たいしょう」の受賞じゅしょう企業きぎょうから2しゃ紹介しょうかいします。

東京建物とうきょうたてもの

東京建物とうきょうたてものは、東京とうきょう東池袋ひがしいけぶくろにあるちょう高層こうそうオフィスビル「Hareza Tower」におけるZEB実現じつげんへの各種かくしゅみにかんして、2022年度ねんどしょうエネ大賞たいしょう最高さいこう経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんしょう(ZEB・ZEH 分野ぶんや)」を受賞じゅしょうしています。ZEBとは、快適かいてき室内しつない環境かんきょう維持いじしながら年間ねんかんいちエネルギーの収支しゅうしをゼロにすることを目指めざしたビルのことです。

Hareza Towerでは、グリッドがた空調くうちょうやグリッドがた加湿かしつ開発かいはつ採用さいようや、オフィスかし室内しつない照度しょうど500lx、センシングデータを使つかった空調くうちょう冷媒れいばい温度おんど可変かへん制御せいぎょ採用さいようし、エネルギー消費しょうひ建物たてもの全体ぜんたいたい基準きじゅん43%げんやく6まん8000GJ、事務所じむしょ部分ぶぶんでは50%げんやく4まん2000GJとしています。

参照さんしょう東京建物とうきょうたてもの経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんしょう(ZEB・ZEH分野ぶんや)を受賞じゅしょう環境かんきょうしょうエネルギー計算けいさんセンター

資生堂しせいどう掛川かけがわ工場こうじょう

メーキャップ製品せいひんなどの生産せいさんがける資生堂しせいどう掛川かけがわ工場こうじょう静岡しずおかけん掛川かけがわ)では、2019ねんから全員ぜんいん参加さんかがたしょうエネ提案ていあんシステムづくりと施策しさく実施じっししています。徹底てっていした間接かんせつプロセスエネルギー使用しよう削減さくげんさいエネ導入どうにゅうおよびエネルギー需給じゅきゅう可視かしなどを展開てんかいした結果けっか、2021ねんには2019ねんで1585t(9.5%)のCO2削減さくげん原油げんゆ換算かんさんで735kLのしょうエネを達成たっせいしました。

具体ぐたいてきには、電力でんりょくけい設置せっち、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入どうにゅう生産せいさん計画けいかくさいエネの需給じゅきゅうバランス予測よそくシステム導入どうにゅう運用うんよう空調くうちょう負荷ふか低減ていげんのための工場こうじょう作業さぎょうふく開発かいはつといったみがあります。また、工場こうじょうはたら社員しゃいん積極せっきょくてき参加さんかしたくなるような仕組しくみづくりも、同社どうしゃ工場こうじょうにおけるみの特徴とくちょうです。

参照さんしょう資生堂しせいどう掛川かけがわ工場こうじょうみが「2022年度ねんどしょうエネ大賞たいしょう」の「資源エネルギしげんえねるぎちょう長官ちょうかんしょう」を受賞じゅしょう資生堂しせいどう

6.しょうエネをかんがえるうえでこれから大切たいせつ視点してん

最後さいごに、筆者ひっしゃかんがえる、しょうエネをすすめるうえでこれから大切たいせつになるであろう視点してんをおつたえします。

しょうエネは、あらたな機器きき導入どうにゅう必須ひっすとなるさいエネ利用りようことなり、既存きそん機器きき設備せつび使つかかた見直みなおすことで比較的ひかくてき簡単かんたんはじめられるみといえます。

そのうえで、これから大事だいじなのは「トータルでしょうエネになっているか?」という視点してんだとおもいます。たとえば、電化でんか製品せいひん一昔ひとむかしまえ製品せいひんくらべてしょうエネ性能せいのうたかく、電力でんりょく消費しょうひげられます。

しかし、一昔ひとむかしまえちがって日常にちじょう生活せいかつのなかでパソコンやタブレット、スマートフォンなど電気でんき必要ひつようとする機器きき以前いぜんよりもえています。製品せいひんひとつひとつはしょうエネでもトータルの電気でんき使用しようりょうわらない、あるいはえたということもすくなくありません。上述じょうじゅつした機器きき設備せつび使つかかた見直みなおすという基本きほんは、やはり大切たいせつ視点してんだとおもいます。

また、「ねつ」という視点してん大切たいせつです。しょうエネというと電気でんきやガスなどの消費しょうひげることがおおきな焦点しょうてんになりますが、家庭かてい消費しょうひエネルギーをると暖房だんぼう26.7%、給湯きゅうとう27.7%、厨房ちゅうぼう(ちゅうぼう)9.0%、冷房れいぼう3.2%となり、ねつ需要じゅよう消費しょうひエネルギー全体ぜんたい半分はんぶん以上いじょうめています(参照さんしょう家庭かてい部門ぶもんにおけるエネルギー起源きげんCO2 p.8|環境省かんきょうしょう)。

このねつ需要じゅようは、再生さいせい可能かのうエネルギーねつ利用りよう大幅おおはばにエネルギー消費しょうひげることが可能かのうです。給湯きゅうとうなら太陽熱たいようねつ給湯きゅうとうをおこなうことでガスなどの燃料ねんりょう消費しょうひりょう大幅おおはばげられますし、地中ちちゅうねつ地下水ちかすいねつ空調くうちょう導入どうにゅうすれば従来じゅうらい空気くうきねつ利用りようする冷房れいぼうくらべて電力でんりょく消費しょうひりょうやく55%げられるケースもあります(参照さんしょう地中ちちゅうねつ利用りようにあたってのガイドライン p.86|環境省かんきょうしょう)。

再生さいせい可能かのうエネルギーねつ利用りよう設備せつび投資とうし必要ひつようなため、すぐに対応たいおうするのはむずかしいかもしれませんが、建物たてもの新築しんちくえ、給湯きゅうとう冷暖房れいだんぼう設備せつびえのときに選択肢せんたくしひとつとしてかんがえてもよいのではないでしょうか。

編集へんしゅう協力きょうりょく スタジオユリグラフ・中村なかむらさと

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