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コーポレートガバナンスとは? 目的や基本原則、改訂の内容を解説:朝日新聞SDGs ACTION!
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コーポレートガバナンスとは? 目的もくてき基本きほん原則げんそく改訂かいてい内容ないよう解説かいせつ

コーポレートガバナンスとは? 目的や基本原則、改訂の内容を解説
コーポレートガバナンスとは(デザイン:増渕ますぶちまい
関西大学かんさいだいがく総合そうごう情報じょうほう学部がくぶじゅん教授きょうじゅ中尾なかおゆう利子りし

コーポレートガバナンスとは、企業きぎょう統治とうちするためのルール・慣行かんこう・プロセスの仕組しくみをします。ニュースをみると、企業きぎょう不祥事ふしょうじこうちません。そのため企業きぎょう環境かんきょう社会しゃかい課題かだい影響えいきょうふくめた企業きぎょう行動こうどう注視ちゅうしすべく、コーポレートガバナンスの有効ゆうこうせいかんがえていく必要ひつようがあります。

著者_中尾悠利子さん
中尾なかおゆう利子りし(なかお・ゆりこ)
関西大学かんさいだいがく総合そうごう情報じょうほう学部がくぶじゅん教授きょうじゅ博士はかせ経営けいえいがく)。日本にっぽん社会しゃかい関連かんれん会計かいけい学会がっかい 理事りじ主著しゅちょに『AIによるESG評価ひょうか』(編者へんしゃ同文どうぶんかん)『利他りた構造こうぞう』(共著きょうちょミネルみねるァ書房ぁしょぼう)、Sustainability Management and Business Strategy in Asia(分担ぶんたん執筆しっぴつ、World Scientific)などがある。

1.コーポレートガバナンスとは

コーポレートガバナンスとは、企業きぎょう統治とうち(=企業きぎょう統治とうちするための仕組しくみ)を意味いみする言葉ことばで、企業きぎょう統治とうちするためのルールや慣行かんこう、プロセスのことです。

従来じゅうらいのコーポレートガバナンスは、経営けいえいしゃ株主かぶぬし利益りえき最大さいだい達成たっせいするための企業きぎょう運営うんえい仕組しくみやプロセスを意味いみしました。

サステナビリティがもとめられる現代げんだいでは、コーポレートガバナンスは株主かぶぬし利益りえき最大さいだいだけでなく、社会しゃかいからの期待きたいこたえ、企業きぎょう価値かち向上こうじょうにつなげることが重要じゅうようになります。

2.コーポレートガバナンスの目的もくてき

企業きぎょう目的もくてき利益りえき最大さいだいであり、投資とうしする株主かぶぬしあたえる価値かち最大さいだいすることです。株主かぶぬし経営けいえいしゃたいして、自分じぶんたちの利益りえき重視じゅうしする行動こうどう要求ようきゅうできます。

しかし、経営けいえいしゃつね株主かぶぬし利益りえき優先ゆうせんして行動こうどうするとはかぎりません。両者りょうしゃあいだのコンフリクト(対立たいりつ)を解消かいしょうするために、コーポレートガバナンスが存在そんざいします。コーポレートガバナンスにはおもみっつの目的もくてきがあります。

(1)経営けいえいじんによる不祥事ふしょうじふせ

コーポレートガバナンスを強化きょうかすることで、株主かぶぬし経営けいえいしゃあいだのコンフリクトが緩和かんわされ、企業きぎょう不祥事ふしょうじのリスクが低減ていげんされます。しかし、株主かぶぬし利益りえき考慮こうりょせずに経営けいえいすると、むしろ企業きぎょう不祥事ふしょうじにつながる可能かのうせいがあります。経営けいえいしゃ利益りえきたかめようとしてトラブルを隠蔽いんぺい(いんぺい)した不祥事ふしょうじは、過去かこ日本にっぽんでもみられました。

たとえば2011ねん当時とうじのオリンパスの最高さいこう経営けいえい責任せきにんしゃマイケル・ウッドフォードがその役職やくしょくから突然とつぜん追放ついほうされました。理由りゆうは「日本にっぽん企業きぎょう史上しじょう最大さいだいかつもっと長期ちょうきにわたる損失そんしつ隠蔽いんぺい事件じけん」を暴露ばくろしたためです。

この事件じけんでは、オリンパスが過去かこ資産しさん減損げんそん隠蔽いんぺいしていたことがあきらかになりました。この事件じけん発覚はっかくしたのち同社どうしゃ株式かぶしき価値かち大幅おおはば下落げらくし、おおくの取締役とりしまりやく辞任じにんにつながりました(参照さんしょう第三者だいさんしゃ委員いいんかいなど調査ちょうさ委員いいんかい報告ほうこく|オリンパス)。

コーポレートガバナンスが効果こうかてき機能きのうすれば、このような経営けいえいじん不正ふせい行為こうい防止ぼうしできるとかんがえられています。不正ふせい行為こういによるリスクを回避かいひするには、コーポレートガバナンスが効果こうかてき機能きのうし、公正こうせい運営うんえいすることが重要じゅうようです。

(2)サステナビリティへのみを促進そくしんさせる

コーポレートガバナンスにもとめられる役割やくわりは、企業きぎょう社会しゃかいとのつながりがげられます。つまり、コーポレートガバナンスは企業きぎょうのサステナビリティを重視じゅうしする従業じゅうぎょういん顧客こきゃく取引とりひきさき消費しょうひしゃとの関係かんけいせい改善かいぜんする役割やくわりにないます。これらの視点してんは、コーポレートガバナンスのルール・指針ししんである「コーポレートガバナンス・コード」が2021ねん改訂かいていされたことでたかまりました(改訂かいていくわしい内容ないようは5.の「コーポレートガバナンス・コードは2021ねん改訂かいてい」で解説かいせつします)。

れいとして、ドイツの自動車じどうしゃメーカーであるフォルクスワーゲンが2015ねんこした不祥事ふしょうじ紹介しょうかいします。同社どうしゃはいガス検査けんささいに、装置そうち使用しようによってディーゼルしゃ排出はいしゅつ物質ぶっしつ不正ふせいひくせていたことが、アメリカの環境かんきょう保護ほごちょうにより発覚はっかくしました。

これはグリーンウォッシング(実態じったいがないにもかかわらず、環境かんきょう配慮はいりょしているとせかける行為こうい)にかんする事例じれいとしてられています。フォルクスワーゲンにたいする株主かぶぬしからのプレッシャーも、この事件じけん原因げんいんとしてかんがえられています。結果けっかとして、フォルクスワーゲンはすうひゃくおくドルの罰金ばっきん支払しはらい、経営けいえい体制たいせい見直みなおされました(参照さんしょうVolkswagen’s Greenwashing Backfires: The Road to Redemption〈フォルクスワーゲンのグリーンウォッシュが裏目うらめに: 汚名おめい返上へんじょうへのみち〉|Sage knowledge)。

つまり、短期たんきてき視点してん株主かぶぬしばかり重視じゅうしすると、サステナビリティ課題かだいへの対応たいおう不誠実ふせいじつになるおそれがあります。企業きぎょう経営けいえいにとってもおおきな損失そんしつにつながる可能かのうせいがあります。上記じょうき事例じれいでは、サステナビリティの課題かだい対応たいおうはもはやコーポレートガバナンスとして必要ひつようせいがあることをしめしています。

(3)利益りえきをステークホルダーに還元かんげんする

コーポレートガバナンスは、たん株主かぶぬし価値かち最大さいだいだけではなく、ステークホルダーへの利益りえき還元かんげんにつながる視点してん重要じゅうようです。ステークホルダーとは企業きぎょう活動かつどうによって影響えいきょうあたえるひとし、消費しょうひしゃ従業じゅうぎょういんのみならず株主かぶぬしなどもふくまれます。

企業きぎょう意思いし決定けっていプロセスにサステナビリティの課題かだいれることで、事業じぎょう活動かつどうおよぼす環境かんきょう社会しゃかいへの影響えいきょう考慮こうりょできるようになります。これは短期たんき志向しこうから脱却だっきゃくし、長期ちょうきてき視点してんをもって企業きぎょう活動かつどうむためです。

昨今さっこんのESG投資とうしのように、機関きかん投資とうし受託じゅたくしゃ責任せきにんのもとで長期ちょうきてき視点してんから環境かんきょう社会しゃかい・ガバナンス要因よういんんで運用うんようするうごきが活発かっぱつになっています。そのため、企業きぎょうはステークホルダーとの信頼しんらい関係かんけい構築こうちくすべく、透明とうめいせいあるESG情報じょうほう開示かいじをおこなう必要ひつようがあります。

うわべだけの情報じょうほう開示かいじではなく、透明とうめいせい確保かくほした情報じょうほう開示かいじもコーポレートガバナンスにおける要素ようそひとつです。このようなESG投資とうしやESG情報じょうほう開示かいじながれは、長期ちょうきてきおおくのステークホルダーに利益りえきをもたらす可能かのうせいすでしょう。

3.コーポレートガバナンスの実効じっこうせいたかめるために

企業きぎょう社会しゃかいのためにただしい意思いし決定けっていをおこなうために、コーポレートガバナンスの実効じっこうせいたかめるみっつのポイントをしめします。

(1)監査かんさ透明とうめいせい強化きょうか

企業きぎょう不健全ふけんぜん状況じょうきょう不祥事ふしょうじなど)におちいったとき、しっかり運営うんえいされているかを確認かくにんすることがコーポレートガバナンスの要求ようきゅう事項じこうとなります。企業きぎょう職務しょくむ執行しっこう会計かいけい報告ほうこくをチェックする役割やくわりとして、外部がいぶ監査かんさじん導入どうにゅうされました。外部がいぶ監査かんさじんはいることで、企業きぎょううごきをより客観きゃっかんてきにチェックできるようになります。

2014ねんには「監査かんさとう委員いいんかい」というあたらしい制度せいど導入どうにゅうされました。監査かんさ委員いいんかい導入どうにゅうにより、外部がいぶ監査かんさじんがよりおおきな発言はつげんけんちます。このような変化へんかまれた背後はいごには、企業きぎょう透明とうめいせい向上こうじょうさせる意図いとがあります。「企業きぎょうがどううごいているか」「どのような決定けっていをしているか」を明確めいかくにすれば、問題もんだいきたときにいちはや対応たいおうできるようになります(参照さんしょう監査かんさやく制度せいど 監査かんさやくとは|日本にっぽん監査かんさやく協会きょうかい)。

(2)機関きかん投資とうし責任せきにん

株主かぶぬしのなかでも、おおくの資金しきん運用うんようしている機関きかん投資とうしがとるべき行動こうどうについての指針ししんもとめられています。投資とうしがどの企業きぎょう投資とうしするかをめるさいには、その企業きぎょういマネジメントをしているかどうか、企業きぎょうマネジメントの健全けんぜんせいはかる「目的もくてきった対話たいわ(エンゲージメント)」が重要じゅうようです。

このエンゲージメントによって、投資とうし企業きぎょう支援しえんし、企業きぎょうはよりいコーポレートガバナンスを実現じつげんできるといわれています。機関きかん投資とうし企業きぎょうくるま両輪りょうりんのような関係かんけいであるとかんがえられており、双方そうほう良好りょうこう関係かんけいきずくことで効果こうかてきなコーポレートガバナンスを確保かくほできます(参照さんしょう責任せきにんある機関きかん投資とうし」のしょ原則げんそく日本にっぽんばんスチュワードシップ・コード≫|金融きんゆうちょう)。

(3)内部ないぶ統制とうせい仕組しくみをととのえる

コーポレートガバナンスを効果こうかてき実行じっこうするには、企業きぎょうないのルールやチェックの仕組しくみをととのえるための内部ないぶ統制とうせい重要じゅうようです。まず、企業きぎょう適切てきせつなルールをつくり、従業じゅうぎょういんはそれにじゅんずる必要ひつようがあります。「だれなにをして」「どのようにして」「いつまでにするのか」を明確めいかくにすることで、企業きぎょう目的もくてき達成たっせいできるようにします。

つぎに、企業きぎょう作成さくせいしたルールがまもられているかを定期ていきてきにチェックする仕組しくみをもうけます。ルールがまもられていない場合ばあい問題もんだい発生はっせいした場合ばあいには、解決かいけつ方法ほうほうかんがえて実行じっこうすることが大切たいせつです。

さらに、だれなん責任せきにんっているのか、経営けいえいじん従業じゅうぎょういん責務せきむ明確めいかくにすることで企業きぎょう運営うんえいがスムーズにすすみます。もしなに問題もんだいきたとしても、どこで間違まちがったのかをつけて、そのひと責任せきにんって問題もんだい解決かいけつできます。

この内部ないぶ統制とうせい仕組しくみにより、企業きぎょうはルールやチェックの仕組しくみが適切てきせつかつ効果こうかてきかどうかを確認かくにんでき、コーポレートガバナンスの実効じっこうせいたかめられます(参考さんこう文献ぶんけん松田まつだ千恵子ちえこ ちょ『サステナブル経営けいえいとコーポレートガバナンスの進化しんか』p.51 にちけいBP 2021)。

4.コーポレートガバナンス・コードと基本きほん原則げんそく

コーポレートガバナンス・コードとは、企業きぎょう経営けいえい健全けんぜんにするためのルールや指針ししんのことで、2015ねん金融きんゆうちょうによりはじめて導入どうにゅうされました。コーポレートガバナンス・コードの基本きほん原則げんそくにもとづく具体ぐたいてきみは以下いかいつつがあります。

コーポレートガバナンス・コードの基本きほん原則げんそく 具体ぐたいてき
株主かぶぬし権利けんり平等びょうどうせい確保かくほ 企業きぎょうあたらしいかぶるときは、現在げんざい株主かぶぬしたいして購入こうにゅう機会きかい優先ゆうせんてきかつ公平こうへい提供ていきょうすることなど
株主かぶぬし以外いがいのステークホルダーとの適切てきせつ協力きょうりょく あたらしい工場こうじょう建設けんせつするさいには、地域ちいき住民じゅうみんとの対話たいわもうけたり、従業じゅうぎょういんはたらきやすい職場しょくば環境かんきょう提供ていきょうしたりすることなど
適切てきせつ情報じょうほう開示かいじ透明とうめいせい確保かくほ 財務ざいむ状況じょうきょう法定ほうてい開示かいじ適切てきせつ開示かいじ、リスク開示かいじやリスク情報じょうほう、ガバナンス情報じょうほう提供ていきょうなど
取締役とりしまりやくかい責任せきにん 企業きぎょう戦略せんりゃく方向ほうこうせいしめし、経営けいえいじん適切てきせつなリスクテイク(危険きけん承知しょうちしたうえで行動こうどうすること)をささえる環境かんきょう整備せいびすることなど
株主かぶぬしとの対話たいわ 企業きぎょう将来しょうらい計画けいかく株主かぶぬしつたえ、株主かぶぬしからの意見いけんくなどのコミュニケーションをはかること

企業きぎょうには、これら基本きほん原則げんそくにもとづいた企業きぎょう経営けいえい実践じっせんしていくことがもとめられています。

5.コーポレートガバナンス・コードは2021ねん改訂かいてい

2021ねんにコーポレートガバナンス・コードが改訂かいていされました。この改訂かいていは、サステナビリティと企業きぎょう価値かち向上こうじょう意識いしきし、株主かぶぬしとそののステークホルダーの関係かんけいせい考慮こうりょしながら、企業きぎょう中長期ちゅうちょうきてき持続じぞくてき成長せいちょう目指めざすことを意図いとしています。

おも変更へんこうてんおおきくふたつあります。まず、経営けいえいトップが取締役とりしまりやくかい役割やくわり効果こうかてきたすための変更へんこうです。具体ぐたいれいとして独立どくりつ社外しゃがい取締役とりしまりやく人数にんずうおよび比率ひりつ指名しめい委員いいんかい報酬ほうしゅう委員いいんかい設置せっち経営けいえい戦略せんりゃく明示めいじなどがげられます。

つぎに、企業きぎょう中核ちゅうかく人材じんざい多様たようせい確保かくほするため、女性じょせい外国がいこくじん、および中途ちゅうと採用さいようしゃ管理かんりしょくでの登用とうようまれました。また、企業きぎょう財務ざいむてき価値かちだけでなく、地球ちきゅう環境かんきょう問題もんだい人権じんけん消費しょうひしゃ課題かだいなどの社会しゃかいてき課題かだい考慮こうりょすべきだとしめされています。とくにプライム市場いちば上場じょうじょうしている企業きぎょうにおいては、気候きこう関連かんれん情報じょうほう開示かいじもとめられるようになりました(参照さんしょう「コーポレートガバナンス・コードと投資とうし企業きぎょう対話たいわガイドラインの改訂かいていについて」の公表こうひょうについて|金融きんゆうちょう)。

6.サステナビリティ時代じだいもとめられるコーポレートガバナンスの論点ろんてん

サステナビリティ時代じだいにおけるコーポレートガバナンスの論点ろんてんについて、おもみっかんがえたいとおもいます。上場じょうじょう企業きぎょうのみならず、上場じょうじょう企業きぎょう中小ちゅうしょう企業きぎょうにおいても重要じゅうよう論点ろんてんであるため、どのようにむべきかの示唆しさられます。

(1)株主かぶぬし利益りえきとサステナビリティは両立りょうりつできるか?

ダノン(飲食いんしょくりょう業界ぎょうかい国籍こくせき企業きぎょう)のぜんCEOであったエマニュエル・ファベールは、サステナビリティ経営けいえい熱心ねっしんでした。しかし、2021ねん取締役とりしまりやくかいによって解任かいにんされています。ファベールは、健康けんこう食品しょくひんへの投資とうし持続じぞく可能かのうなビジネスモデルを推進すいしんしていました。一方いっぽうで、これらの施策しさくによりダノンのげおよび利益りえきマージンの成長せいちょう一部いちぶ競合きょうごう他社たしゃ下回したまわ結果けっかとなります。

かれ解任かいにんは、おも業績ぎょうせき不振ふしん株主かぶぬしからの圧力あつりょく原因げんいんでした。しかし、この事例じれいはサステナビリティ経営けいえいかならずしも株主かぶぬしかられられなかったわけではありません。むしろ企業きぎょう業績ぎょうせき不振ふしんのほうが解任かいにんおも要因よういんであった可能かのうせいたかいと指摘してきされています。

この事例じれいからは、サステナビリティ経営けいえい採用さいよう株主かぶぬし価値かちとの関連かんれんせいのほか、企業きぎょう業績ぎょうせき両立りょうりつする重要じゅうようせいがわかります。くわえて、株主かぶぬしとのコミュニケーションを強化きょうかする必要ひつようせいも、この事例じれい重要じゅうよう論点ろんてんひとつです(参照さんしょうDanone board ousts boss Faber after activist pressure〈ダノン取締役とりしまりやくかい、アクティビストの圧力あつりょくけCEOファベール更迭こうてつ〉|REUTERS)。

(2)長期ちょうきてきなコミットメントを株主かぶぬし存在そんざい

株主かぶぬし企業きぎょう規律きりつけるには、企業きぎょう株主かぶぬし双方そうほう目的もくてき一致いっちしていることが重要じゅうようです。企業きぎょう安定あんていせいたもつべく、創業そうぎょう一族いちぞくによるアンカー株主かぶぬしとしての役割やくわり必要ひつようとされています。長期ちょうきてき目的もくてき戦略せんりゃくづくりに注視ちゅうしできるとかんがえられているためです。

しかし、日本にっぽんでは創業そうぎょう一族いちぞくによるだい規模きぼ上場じょうじょう企業きぎょう支配しはいけんはほとんど存在そんざいせず、財閥ざいばつ家族かぞくによる株式かぶしき所有しょゆうだい2世界せかい大戦たいせん解体かいたいされました。

このようなてんから、とく日本にっぽんでは年金ねんきん積立つみたてきん管理かんり運用うんよう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん(GPIF)が機関きかん投資とうしとして重要じゅうよう役割やくわりたしており、ESG投資とうし積極せっきょくてき展開てんかいしています。また、長期ちょうき保有ほゆう株主かぶぬし議決ぎけつけん相対そうたいてきたかめることで、株主かぶぬしによる企業きぎょうへの長期ちょうきてきなコミットメントが期待きたいされます(参考さんこう文献ぶんけん:コリン・メイヤー ちょ株式会社かぶしきがいしゃ規範きはんのコペルニクスてき転回てんかいだつ株主かぶぬしファーストの生存せいぞん戦略せんりゃく』p.230 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ 2021)。

(3)中小ちゅうしょう企業きぎょうにおけるコーポレートガバナンスの実践じっせん

サステナビリティ経営けいえい視点してんからも、中小ちゅうしょう企業きぎょうにはコーポレートガバナンスがもとめられます。コーポレートガバナンスは、企業きぎょうのリスク管理かんりとコンプライアンスの強化きょうかくわえ、サスビリティ経営けいえい促進そくしん可能かのうにするのがポイントです。さらに、コーポレートガバナンスは企業きぎょう透明とうめいせい責任せきにんたかめるため、投資とうし金融きんゆう機関きかんからの信頼しんらいられます。

これらの理由りゆうから、中小ちゅうしょう企業きぎょうにもコーポレートガバナンスがもとめられ、サステナビリティ経営けいえい実践じっせんにおいても重要じゅうよう役割やくわりたします(参照さんしょうHandley, K., & Molloy, C. (2022). SME corporate governance: a literature review of informal mechanisms for governance. Meditari Accountancy Research, 30(7), 310-333)。

7.コーポレートガバナンスにおける経営けいえいしゃ役割やくわり

コーポレートガバナンスは企業きぎょう健全けんぜん運営うんえい保証ほしょうする仕組しくみであり、経営けいえいしゃ役割やくわり責任せきにん明確めいかくにするものです。また、経営けいえいしゃたん企業きぎょう利益りえき追求ついきゅうするだけではなく、社会しゃかいてき役割やくわり重要じゅうようで、その行動こうどう企業きぎょうおおくの関係かんけいしゃ影響えいきょうあたえます。コーポレートガバナンスは、経営けいえいしゃ行動こうどう適切てきせつにチェックし、規律きりつをもたらす役割やくわりたします。

重要じゅうようてんは、企業きぎょう活動かつどう多様たようなステークホルダー(たとえば従業じゅうぎょういん取引とりひきさき地域ちいき社会しゃかい環境かんきょう)や将来しょうらい世代せだいあたえる影響えいきょう考慮こうりょし、経営けいえいしゃ社会しゃかいてきなコミットメントをって行動こうどうすることです。つまり、経営けいえいしゃがステークホルダーとのあいだ良好りょうこう関係かんけいきずき、透明とうめいせい責任せきにん確保かくほすることが、コーポレートガバナンスにもとめられます。これらがうまく機能きのうすれば、サステナビリティ時代じだいにおける「企業きぎょう価値かち向上こうじょう」と「ステークホルダーの利益りえき」の両立りょうりつ実現じつげんできます(参考さんこう文献ぶんけん伊丹いたみ敬之たかゆき加護かご忠男ただお ちょ『ゼミナール経営けいえいがく入門にゅうもんだい3はん〉』日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ 2003)。

編集へんしゅう協力きょうりょく スタジオユリグラフ・高橋たかはしじゅん

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