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経団連、選択的夫婦別姓の実現を政府に提言 「旧姓の通称使用、ビジネス上のリスクに」:朝日新聞SDGs ACTION!
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経団連、選択的夫婦別姓の実現を政府に提言 「旧姓の通称使用、ビジネス上のリスクに」
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経団連けいだんれんは6がつ10日とおか選択せんたくてき夫婦ふうふ別姓べっせい制度せいど早期そうき実現じつげんもとめる政府せいふへの提言ていげん発表はっぴょうした。民間みんかん企業きぎょうなどでは、改姓かいせいによるキャリアの分断ぶんだんけるために結婚けっこん旧姓きゅうせい通称つうしょうとして使用しようすることが定着ていちゃくしているが、提言ていげんは、通称つうしょう使用しようによるトラブルが「企業きぎょうにとっても、ビジネスじょうのリスクとなり事象じしょうであり、企業きぎょう経営けいえい視点してんからも無視むしできない重大じゅうだい課題かだい」だと指摘してき。「不自由ふじゆうなくみずからのせい選択せんたくできる制度せいど実現じつげん」をもとめた。(編集へんしゅうちょう竹山たけやま栄太郎えいたろう

「DEIはイノベーションの源泉げんせん

提言ていげんのタイトルは「選択肢せんたくしのある社会しゃかい実現じつげん目指めざして~女性じょせい活躍かつやくたいする制度せいどかべえる~」。「ダイバーシティ(多様たようせい)、エクイティ(公平こうへいせい)、インクルージョン(包摂ほうせつせい)(DEI)は、イノベーションの源泉げんせんであり、社会しゃかい経済けいざいのサステナブルな成長せいちょうかせない要素ようそだ」としたうえで、夫婦ふうふ同姓どうせい義務ぎむづけた民法みんぽう750じょう規定きていは、「DEIの本質ほんしつらし、時代じだいとともに変化へんか多様たようしていく価値かちかんかんがかた社会しゃかい実態じったいわせて、一人ひとりひとりの『選択肢せんたくし』をやす観点かんてんからも見直みなおしが必要ひつようである」と指摘してき。「希望きぼうすれば、不自由ふじゆうなく、みずからのせい自身じしん選択せんたくすることができる制度せいど」の早期そうき実現じつげんもとめている。

提言ていげんは、現行げんこう制度せいどで95%の夫婦ふうふおっとせいえらび、つませいあらためていることについて、「アイデンティティの喪失そうしつ自己じこ存在そんざいしょうすることができないことによる日常にちじょう生活せいかつ職業しょくぎょう生活せいかつじょう不便ふべん不利益ふりえきといった、改姓かいせいによる負担ふたんが、女性じょせいかたよっているのが現実げんじつである」と指摘してき

企業きぎょう現場げんばでも、「社員しゃいんぜい社会しゃかい保険ほけんなどの手続てつづきにさいし、戸籍こせきじょうせいとの照合しょうごうなどの負担ふたんいられてきた」「結婚けっこん離婚りこんといったセンシティブな個人こじん情報じょうほうを、本人ほんにん意思いし関係かんけいなく一定いってい範囲はんい社員しゃいんあつかわねばならない」といった弊害へいがいきているとべた。

そのうえで、政府せいふたいして「おっとつまおのおのが、希望きぼうすれば、まれったせい戸籍こせきじょうせいとして名乗なのつづけることができる制度せいど早期そうき実現じつげんもとめたい」とし、改正かいせい法案ほうあん国会こっかい提出ていしゅつと、国会こっかいでの建設けんせつてき議論ぎろんもとめた。

経団連けいだんれんによると、じゅうくら雅和まさかず会長かいちょうは6がつ10日とおか定例ていれい会見かいけんで、選択せんたくてき夫婦ふうふ別姓べっせいについて「家族かぞくのありかたわっており、すみやかに議論ぎろんをおこない、課題かだいあらして、スピーディーに対応たいおういただきたい。今後こんご女性じょせい活躍かつやくねがうのであれば、この問題もんだい放置ほうちされるべきではない」とべた。

改姓かいせいべつ人格じんかくとみなされる」

法務省ほうむしょうによると、夫婦ふうふ同姓どうせい義務ぎむづけられているのは世界中せかいじゅう日本にっぽんだけだとされる。

民間みんかん企業きぎょう行政ぎょうせいなどの職場しょくばでは、改姓かいせいによるキャリアの分断ぶんだんけるため、旧姓きゅうせい通称つうしょうとして使つかうことが一般いっぱんてきになっている。しかし、経団連けいだんれん提言ていげんは、「旧姓きゅうせい併記へいき拡大かくだいするだけでは解決かいけつできない課題かだいおおい」とし、「女性じょせい活躍かつやくすすめばすすむほど通称つうしょう使用しようによる弊害へいがい顕在けんざいするようになった」としている。

経団連けいだんれんによると、トラブルになるのは「①契約けいやく手続てつづきなどをおこなうさい弊害へいがい」「②キャリアをむうえでの弊害へいがい」「③海外かいがい渡航とこうするさい弊害へいがい」「④プライバシーの侵害しんがい」といったパターンがあり、具体ぐたいてきには以下いかのような事例じれいげている。

おおくの金融きんゆう機関きかんでは、ビジネスネームで口座こうざをつくることや、クレジットカードをつくることができない。(契約けいやく手続てつづきでの事例じれい

国際こくさい機関きかんはたら場合ばあい公的こうてき氏名しめいでの登録とうろくもとめられるため、せいわるとべつ人格じんかくとしてみなされ、キャリアの分断ぶんだん不利益ふりえきしょうじる。(キャリアにかんする事例じれい

社内しゃないではビジネスネーム(通称つうしょう)が浸透しんとうしているため、現地げんちスタッフが通称つうしょうでホテルを予約よやくした。その結果けっか、チェックインにパスポートの姓名せいめいことなるという理由りゆうから、宿泊しゅくはくことわられた。(海外かいがい渡航とこう事例じれい

岸田きしだ首相しゅしょう真摯しんしめる」とするが…

選択せんたくてき夫婦ふうふ別姓べっせい制度せいどをめぐっては、1996ねん法相ほうしょう諮問しもん機関きかんである法制ほうせい審議しんぎかい導入どうにゅうすべきだと答申とうしん。これをけて、法務省ほうむしょうが1996ねんと2010ねん改正かいせい法案ほうあん準備じゅんびしたが、自民党じみんとうない反対はんたい根強ねづよく、国会こっかい提出ていしゅつにはいたらなかった。

最高裁さいこうさいは2015ねんと2021ねんに、現行げんこう夫婦ふうふ同氏どうし制度せいどについて合憲ごうけん判断はんだんした一方いっぽう、「このたね制度せいどかた国会こっかいろんぜられ、判断はんだんされるべき事柄ことがら」だとも指摘してきした。

今回こんかい提言ていげんけても、政府せいふ消極しょうきょく姿勢しせいのままだ。岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうは6がつ17にち衆院しゅういん決算けっさん行政ぎょうせい監視かんし委員いいんかいで、提言ていげんについて「真摯しんし(しんし)にめる必要ひつようがある。ご指摘してきおもめる」とした一方いっぽう、「議論ぎろんさいには、ビジネスじょうのさまざまなリスクとあわせて、家族かぞく形態けいたい変化へんか国民こくみん意識いしき動向どうこう家族かぞく一体いったいかんどもへの影響えいきょうといったさまざまな視点してん考慮こうりょされる必要ひつようがある」ともべた。

岸田きしだ首相しゅしょうは「国会こっかいにおいて建設けんせつてき議論ぎろんをしていくことが重要じゅうようだ。社会しゃかい全体ぜんたいにおける家族かぞくのありかたにもかかわる問題もんだいであり、国民こくみんあいだにさまざまな意見いけんがあることから、より幅広はばひろ国民こくみん理解りかい必要ひつようがある」とするにとどめた。

竹山栄太郎
竹山たけやま栄太郎えいたろう ( たけやま ・えいたろう )
朝日新聞あさひしんぶんSDGs ACTION!編集へんしゅうちょう。2009ねん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ入社にゅうしゃ京都きょうと高知こうちりょう総局そうきょく勤務きんむ東京とうきょう名古屋なごや経済けいざい通信つうしん自動車じどうしゃ小売こうりなどの企業きぎょう取材しゅざい。2021ねんにSDGs ACTION!編集へんしゅうくわわり、ふく編集へんしゅうちょうて2024ねん4がつから現職げんしょく
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