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生分解性プラスチックとは? 特徴や種類、メリット・問題点を解説:朝日新聞SDGs ACTION!
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なま分解ぶんかいせいプラスチックとは? 特徴とくちょう種類しゅるい、メリット・問題もんだいてん解説かいせつ

生分解性プラスチックとは? 特徴や種類、メリット・問題点を解説
なま分解ぶんかいせいプラスチックとは(デザイン:増渕ますぶちまい
日本にっぽん大学だいがく生産せいさん工学部こうがくぶじゅん教授きょうじゅ木村きむら悠二ゆうじ

わたしたちののまわりにはさまざまなプラスチックが使つかわれていますが、なかでもとく環境かんきょう配慮はいりょした材料ざいりょう注目ちゅうもくあつまっています。その代表だいひょうてきなプラスチックとして「なま分解ぶんかいせいプラスチック」とばれる材料ざいりょう活用かつようされてきています。この記事きじでは、なま分解ぶんかいせいプラスチックとはどのような材料ざいりょうなのか、メリット、問題もんだいてんなどを高分子こうぶんし化学かがく専門せんもん解説かいせつします。

筆者写真_木村悠二さん
木村きむら悠二ゆうじ(きむら ゆうじ)
製造せいぞうメーカー、くに研究けんきゅう機関きかんて、2013ねん日本にっぽん大学だいがく生産せいさん工学部こうがくぶ着任ちゃくにんし、2022ねんより現職げんしょく高分子こうぶんし(プラスチック)材料ざいりょう開発かいはつ物性ぶっせい評価ひょうかについて研究けんきゅうをおこなっている。また、生産せいさん工学部こうがくぶない外部がいぶ研究けんきゅう機関きかん連携れんけいし、マイクロプラスチックの汚染おせんじょうきょうなど環境かんきょう動態どうたい評価ひょうかすすめている。

目次もくじ

1.なま分解ぶんかいせいプラスチックとは?

なま分解ぶんかいせいプラスチックとは、微生物びせいぶつはたらきで最終さいしゅうてきみず二酸化炭素にさんかたんそ(CO2)に分解ぶんかいされる、環境かんきょうにやさしいプラスチックのひとつです。おおくのひとおもかべる従来じゅうらいのプラスチックは時間じかんっても分解ぶんかいされないのにたいし、なま分解ぶんかいせいプラスチックは、適切てきせつ環境かんきょうにおいて完全かんぜん分解ぶんかいされ、環境かんきょう負荷ふか軽減けいげんするとかんがえられています。

原材料げんざいりょうとしては、生物せいぶつ植物しょくぶつ(バイオマス)由来ゆらいのものと石油せきゆ由来ゆらいのものがあります。どちらも「なま分解ぶんかいせいプラスチック」ではあるものの、厳密げんみつにはみずとCO2に分解ぶんかいされる(なま分解ぶんかいせいがある)プラスチック全般ぜんぱんを「なま分解ぶんかいせいプラスチック」とび、そのなかでもとく生物せいぶつ植物しょくぶつ由来ゆらいのものを「なま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチック」とびます。

なま分解ぶんかいせいプラスチックの特徴とくちょうは、特定とくてい自然しぜん環境かんきょうにおいて上述じょうじゅつのようにみずとCO2に分解ぶんかいされることです。また、原材料げんざいりょう再生さいせい可能かのう資源しげん利用りようされることがおおいため、環境かんきょう負荷ふか軽減けいげんするとかんがえられており、持続じぞく可能かのう社会しゃかいへの実現じつげんけて期待きたいされている材料ざいりょうとなります。

すでに一部いちぶ製品せいひんなどでえがすすめられていますが、まだまだ課題かだいのこっています。

(1)プラスチック汚染おせん現状げんじょう

プラスチックごみによる汚染おせん深刻しんこくであり、1950ねん以降いこう廃棄はいきされたプラスチックごみは63おくt(生産せいさんされたプラスチック83おくtにたいし)。そのおおくが海洋かいよう流出りゅうしゅつしているとされています。さらに今後こんご流出りゅうしゅつつづき、2050ねんまでに海洋かいよう魚類ぎょるい重量じゅうりょう上回うわまわると予想よそうされています(参照さんしょうプラスチックを国内外こくないがい状況じょうきょう p.8|環境省かんきょうしょう)。

これまで流出りゅうしゅつしたプラスチックごみのおおくは、石油せきゆ原材料げんざいりょうとしたプラスチックです。そのため、自然しぜん環境かんきょうちゅうでは紫外線しがいせんなみなどによる影響えいきょうけて劣化れっかし、マイクロプラスチックとばれる微細びさいへん(5mm以下いか)となり存在そんざいつづけることになります。

マイクロプラスチックの蓄積ちくせき解消かいしょうするためにも、これまでのプラスチックの使用しよう方法ほうほう見直みなおしやリサイクルの推進すいしん重要じゅうようとなってきています。そのなかでも環境かんきょうにやさしい材料ざいりょうとしてバイオプラスチックの利用りようすすめられており、なかでも自然しぜん環境かんきょうちゅう流出りゅうしゅつしたさい分解ぶんかいするようななま分解ぶんかいせいプラスチックの利用りよう重要じゅうようとなっているのです。

(2)なま分解ぶんかいせいプラスチックの役割やくわり製品せいひん具体ぐたいれい

なま分解ぶんかいせいプラスチックの研究けんきゅうは1930年代ねんだいからはじまり、アメリカのデュポンしゃによってポリ乳酸にゅうさん開発かいはつされました。

その石油せきゆ資源しげん枯渇こかつ環境かんきょう問題もんだい注目ちゅうもくされはじめた1970年代ねんだいから本格ほんかくてき研究けんきゅうすすめられ、1990年代ねんだい日本にっぽん国内こくないでは昭和電工しょうわでんこうげん:レゾナック・ホールディングス)によって食品しょくひん包装ほうそうざいとして商業しょうぎょう生産せいさん開始かいしされました。

現在げんざいでは、なま分解ぶんかいせいプラスチックは幅広はばひろ分野ぶんや利用りようされています。

なま分解ぶんかいせいプラスチックが使つかわれている用途ようと具体ぐたいれいをまとめました。

用途ようと 具体ぐたいれい 特性とくせい
包装ほうそうざい 食品しょくひん包装ほうそうフィルム・ショッピングバッグ 透明とうめいせい・ガスバリアせい食品しょくひん安全あんぜんせいたか
容器ようき食器しょっきるい 使つかてカトラリー(フォーク・ナイフ・スプーン)・コップ・さら たい熱性ねっせい強度きょうどたかい、コスト効率こうりつがよい
農業のうぎょう水産すいさんぎょう資材しざい マルチフィルム・肥料ひりょうカプセル・植木鉢うえきばちいと漁網ぎょもう 土壌どじょうへの影響えいきょうちいさい、植物しょくぶつ成長せいちょう促進そくしんする
医療いりょう用品ようひん 手術しゅじゅつよう縫合ほうごういとほね固定こていざい、ドラッグデリバリーシステム 生体せいたい適合てきごうせいたかい、分解ぶんかい速度そくど調整ちょうせい可能かのう
衛生えいせい用品ようひん事務じむ用品ようひん 洗剤せんざい容器ようき化粧けしょうひん容器ようき筆記具ひっきぐブラシ たい薬品やくひんせい加工かこうせいたかい、うつくしくできる
3Dプリンティング プリントフィラメント(専用せんよう樹脂じゅし プリント精度せいど強度きょうどたかい、溶融ようゆう温度おんど適正てきせいがある
繊維せんい 衣料いりょうひん農業のうぎょうよう繊維せんい医療いりょうよう繊維せんい 強度きょうど柔軟じゅうなんせい洗濯せんたく耐久たいきゅうせいたか
自動車じどうしゃ部品ぶひん 内装ないそうざい(ダッシュボード・ドアパネル)・外装がいそうざい・パッキング材料ざいりょう たい衝撃しょうげきせいたい熱性ねっせい加工かこうせいたか

このようになま分解ぶんかいせいプラスチックはわたしたちののまわりのさまざまな製品せいひん使つかわれています。

(3)なま分解ぶんかいせいプラスチック製品せいひんなま分解ぶんかい様子ようす分解ぶんかいまでの時間じかん

上述じょうじゅつしたようになま分解ぶんかいせいプラスチックの用途ようと多岐たきにわたり、今後こんごもさまざまな分野ぶんやでの利用りよう期待きたいされています。つぎ写真しゃしんは、筆者ひっしゃ開発かいはつしている分解ぶんかいせいたかい(分解ぶんかい時間じかんみじかい)なま分解ぶんかいせいプラスチックと分解ぶんかいせいひくい(分解ぶんかい時間じかんながい)なま分解ぶんかいせいプラスチックが実際じっさい分解ぶんかいされている様子ようす撮影さつえいしたものです。

水中での生分解の様子
水中すいちゅうでのなま分解ぶんかい様子ようす著者ちょしゃ研究けんきゅうちゅう材料ざいりょう筆者ひっしゃ撮影さつえい

それぞれ写真しゃしん中央ちゅうおう付近ふきん四角よつかどのフィルムじょうのサンプルをれ、一定いってい経過けいか時間じかん状態じょうたいしめしています。水中すいちゅうれるまえ材料ざいりょうは、透明とうめいたかい(下地したじ文字もじ確認かくにんできる)フィルムじょう形状けいじょうです。

分解ぶんかいせいたか材料ざいりょうでは、5あいだ水中すいちゅうれるとやく90%が溶解ようかいし、青色あおいろ点線てんせんわくないにわずかにのこ程度ていどとなっています。また、べつ分解ぶんかいせいひくくした材料ざいりょうでは、120あいだまでばしても20〜30%程度ていど溶解ようかいまり、フィルムじょう形状けいじょう維持いじできていることがわかります。

なま分解ぶんかいせいプラスチックは、製品せいひんをどのような用途ようと使用しようするか、どのような特性とくせいたせるかによって分解ぶんかい速度そくどをある程度ていど制御せいぎょできます。しかしそれでも、なま分解ぶんかいせいプラスチックは完全かんぜん分解ぶんかいするまで最低さいていでも数時間すうじかんければ数カ月すうかげつからすうねん時間じかんようすることになります。

このように、現在げんざい使用しようされている製品せいひんにおいてもさまざまな分解ぶんかい速度そくどつものがあるため、「なま分解ぶんかいせいプラスチック=自然しぜん環境かんきょうちゅうててよい」ということではないことに注意ちゅうい必要ひつようです。

2.なま分解ぶんかいせいプラスチックとプラスチックの種類しゅるい

現在げんざい製品せいひんとして使用しようされているプラスチックはのように4種類しゅるいけられます。

プラスチックの種類
プラスチックの種類しゅるい(「なま分解ぶんかいせいプラスチックの誤解ごかい。バイオマスプラスチックだからなま分解ぶんかいされるわけじゃないんです。|三和さんわ綜合そうごう印刷いんさつ」をもとに中村なかむら倫明みちあき作成さくせい

さまざまな名称めいしょうがあり混乱こんらんしやすいところですが、まずはみなさんがイメージする「従来じゅうらいのプラスチック」とのちがいを確認かくにんしていきます。

(1)従来じゅうらいのプラスチックとなま分解ぶんかいせいプラスチックのちが

わたしたちののまわりにあるおおくのプラスチック製品せいひんは、石油せきゆ原材料げんざいりょうとしています。「石油せきゆからなぜプラスチックが?」とおもひともいるかもしれませんが、石油せきゆはエネルギー(ガソリン・軽油けいゆ灯油とうゆなど)として利用りようされるほか、一部いちぶ化学かがく製品せいひん原材料げんざいりょうとして利用りようされています。

化学かがく製品せいひん原材料げんざいりょうとして利用りようされるものが、プラスチック製品せいひんとしてわたしたちの生活せいかつゆたかにする材料ざいりょうとして使用しようされており、このような材料ざいりょうが「従来じゅうらいのプラスチック」の位置付いちづけです。

この従来じゅうらいのプラスチックが近年きんねんのエネルギーや環境かんきょう問題もんだいとの関連かんれんたかいことから、なま分解ぶんかいという特性とくせいったものや、バイオマス(生物せいぶつ植物しょくぶつ由来ゆらいのプラスチックに注目ちゅうもくあつまっています。

エネルギーや環境かんきょう問題もんだい注目ちゅうもくすると「なま分解ぶんかいせいやバイオマスのプラスチックにすべてえたほうがいいのでは?」とおもうかもしれませんが、材料ざいりょう特性とくせいじょうすべての石油せきゆ由来ゆらいのプラスチックの製品せいひん使用しよう中止ちゅうしする必要ひつようはないとかんがえています。それぞれの材料ざいりょう得意とくい不得意ふとくい分野ぶんやがあり、用途ようとわせた利用りよう方法ほうほう検討けんとう必要ひつようとなります。

たとえば、衣類いるい収納しゅうのうするためのプラスチックケースなどを使つかっている家庭かていおおいでしょう。また、食品しょくひん密閉みっぺいするための梱包こんぽう(こんぽう)や災害さいがいようのエアマットなどは、耐用たいよう年数ねんすう必要ひつようとなります。

無理むり不得意ふとくい分野ぶんや利用りようすることで、余計よけいなエネルギーの消費しょうひへとつながる可能かのうせいかんがえなくてはなりません。従来じゅうらいのプラスチックの最大さいだい特徴とくちょうひとつである耐久たいきゅうせいは、環境かんきょうへの配慮はいりょ耐久たいきゅうせいたかい・耐用たいよう年数ねんすうながい)ということでは最大さいだい利点りてんとなります。

(2)バイオマスプラスチック、なま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチックとのちが

なま分解ぶんかいせいプラスチックが石油せきゆ由来ゆらいなのにたいし、バイオマスプラスチック・なま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチックは植物しょくぶつ由来ゆらいのプラスチックです。

バイオマスプラスチックの特徴とくちょう
原材料げんざいりょう トウモロコシやサトウキビなどの植物しょくぶつ由来ゆらいやゼラチンなどの動物どうぶつ由来ゆらいのもの
環境かんきょう負荷ふか 原料げんりょう再生さいせい可能かのう資源しげんからられ、石油せきゆ原材料げんざいりょうとしないため、温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ削減さくげん寄与きよする
耐久たいきゅうせい 製品せいひんとして丈夫じょうふ長持ながもち(材料ざいりょう強度きょうどたかい)
なま分解ぶんかいせい なま分解ぶんかいせいはない
なま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチックの特徴とくちょう
原材料げんざいりょう トウモロコシやサトウキビなどの植物しょくぶつ由来ゆらいやゼラチンなどの動物どうぶつ由来ゆらいのもの
環境かんきょう負荷ふか 原料げんりょう再生さいせい可能かのう資源しげんからられ、石油せきゆ原材料げんざいりょうとしないため、温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ削減さくげん寄与きよする
耐久たいきゅうせい 分解ぶんかいせい考慮こうりょし、やわらかい製品せいひんおお
なま分解ぶんかいせい なま分解ぶんかいせいがあり、自然しぜん環境かんきょうちゅう微生物びせいぶつによって分解ぶんかいされる

(3)なま分解ぶんかいせいプラスチックはさらにPLA、PBS、PHAなどにけられる

なま分解ぶんかいせいプラスチックはおおくの種類しゅるい開発かいはつされています。主要しゅよう種類しゅるいとしては10しゅ程度ていどとなりますが、そのなかでも天然てんねんけいなま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチック)と石油せきゆけいなま分解ぶんかいせいプラスチック)で5種類しゅるいずつにけることができます。以下いか代表だいひょうてきなま分解ぶんかいせいプラスチックとその特徴とくちょうげます。

天然てんねんけいなま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチック)の種類しゅるい特徴とくちょう
ポリ乳酸にゅうさん(PLA) トウモロコシやサトウキビなどの植物しょくぶつからつくられ、自然しぜん分解ぶんかいされやすい
ポリグリコールさん (PGA) ガスをとおしにくく、自然しぜん環境かんきょうちゅう分解ぶんかいされやすい
ポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 微生物びせいぶつつくるプラスチックで、みずなか完全かんぜん分解ぶんかいされる
セルロースアセテート (CA) 植物しょくぶつ繊維せんいのパルプからつくられ、透明とうめいせい加工かこうせいたか
スターチブレンド トウモロコシやジャガイモなどのデンプンからつくられ、なか分解ぶんかいされる
石油せきゆけいなま分解ぶんかいせいプラスチック)の種類しゅるい特徴とくちょう
ポリブチレンサクシネート (PBS) ねつつよく、丈夫じょうぶで、工場こうじょうでも自然しぜんでも分解ぶんかいされる
ポリカプロラクトン(PCL) 低温ていおんなま分解ぶんかいせいつポリエステルの一種いっしゅ
ポリエチレンオキシド (PEO) 水溶すいようせいたかく、ぞうねばざいやゲルざいとしても使用しようされる
ポリブチレンサクシネートコアジペート(PBSA) 柔軟じゅうなんせいたい熱性ねっせいたか
ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート) (PHBH) 土壌どじょうちゅうだけでなく、海水かいすいちゅうでも微生物びせいぶつによって分解ぶんかいされる

(4)海洋かいようせい分解ぶんかいせいプラスチックとは

従来じゅうらいなま分解ぶんかいせいプラスチックは土壌どじょうちゅう微生物びせいぶつはたらきによって分解ぶんかいされるのにたいし、海洋かいようせい分解ぶんかいせいプラスチックとは海水かいすいちゅうでも分解ぶんかいされるプラスチック材料ざいりょうのことです。

1.(1)記載きさいしたとおり、自然しぜん環境かんきょうちゅう放出ほうしゅつされたプラスチックごみは、最終さいしゅうてき海洋かいよう流出りゅうしゅつするとかんがえられています。このため、海水かいすいなどの水中すいちゅうでも微生物びせいぶつによる分解ぶんかいせいつプラスチックの開発かいはつすすめられています。

日本にっぽん国内こくないにおいては、2017ねんにカネカのGreen Planet®が、2021ねんには日清紡にっしんぼうホールディングスのフラビカファイン®が国際こくさい認証にんしょうであるOK biodegradable MARINE認証にんしょう取得しゅとくしています(参照さんしょうカネカせい分解ぶんかいせいバイオポリマー Green Planet®でなぜ世界せかい健康けんこうになるの?|カネカ、フラビカファイン®SILKYタイプとは|日清紡にっしんぼうホールディングス)。

また、アメリカ・イタリア・韓国かんこくのメーカーなども製品せいひん展開てんかいしており、海洋かいようせい分解ぶんかいせいプラスチックは世界せかい開発かいはつすすめられている材料ざいりょうです。

(5)バイオプラスチックとは

バイオプラスチックとは、なま分解ぶんかいせいプラスチックとバイオマスプラスチックの総称そうしょうします(参照さんしょうバイオプラスチックとは?|環境省かんきょうしょう)。環境省かんきょうしょうの「バイオプラスチック導入どうにゅうロードマップ」によると、かみ・セルロース成形せいけいひん・バイオマスふくあい素材そざいなどを「そののプラスチック代替だいたい素材そざい」としています。

環境省によるバイオプラスチックの分類
環境省かんきょうしょうによるバイオプラスチックの分類ぶんるい(「バイオプラスチックとは?|環境省かんきょうしょう」と筆者ひっしゃコメントをもとに作成さくせい、デザイン・高橋たかはしじゅん

3.なま分解ぶんかいせいプラスチックのメリット

なま分解ぶんかいせいプラスチックのメリットは、前述ぜんじゅつのように従来じゅうらいのプラスチックとことなり、微生物びせいぶつ作用さようによって自然しぜん環境かんきょうちゅう分解ぶんかいされることです。ここでは、とく重要じゅうようなメリットとしてみっ紹介しょうかいします。

(1)化石かせき燃料ねんりょう依存いぞん軽減けいげんなま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチックの場合ばあい

おおくのなま分解ぶんかいせいプラスチックは、再生さいせい可能かのうなバイオマスから製造せいぞうされます。これにより、従来じゅうらいのプラスチック製造せいぞう必要ひつよう石油せきゆなどの化石かせき燃料ねんりょう使用しようりょう減少げんしょうします。

さらに、バイオマス由来ゆらいのプラスチックは、製造せいぞう過程かていにおいてCO2排出はいしゅつりょうすくなく、全体ぜんたいてきなカーボンフットプリント(原材料げんざいりょう調達ちょうたつから廃棄はいき・リサイクルまでのライフサイクル全体ぜんたいとおして排出はいしゅつされる温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつりょうをCO2に換算かんさんして、商品しょうひんやサービスに表示ひょうじすること)が低減ていげんされます。

これにより、気候きこう変動へんどうへの影響えいきょう緩和かんわする効果こうか期待きたいされ、持続じぞく可能かのう開発かいはつ目標もくひょう(SDGs)の目標もくひょう13「気候きこう変動へんどう具体ぐたいてき対策たいさくを」達成たっせい貢献こうけんします。

目標13

(2)環境かんきょうへの負荷ふか軽減けいげん

なま分解ぶんかいせいプラスチックは、自然しぜん環境かんきょう微生物びせいぶつによって分解ぶんかいされるため、自然しぜん環境かんきょう土壌どじょう海洋かいようちゅうのプラスチック汚染おせん減少げんしょうさせることにつながります。

従来じゅうらいのプラスチックは自然しぜん環境かんきょうちゅうでは分解ぶんかいしにくく、紫外線しがいせんなどによって劣化れっか微細びさいへんとなります。それらを動物どうぶつあやましょくし、さらに微小びしょうプラスチック(マイクロプラスチック)となって生態せいたいけい悪影響あくえいきょうあたえることが懸念けねんされています。

なま分解ぶんかいせいプラスチックは自然しぜん環境かんきょうちゅう分解ぶんかいするため、長期間ちょうきかんにわたって環境かんきょうのこつづける問題もんだい軽減けいげんされ、SDGs目標もくひょう14「うみゆたかさをまもろう」の達成たっせいにつながります。

目標14

(3)廃棄はいきぶつ管理かんり改善かいぜん

なま分解ぶんかいせいプラスチックは、堆肥たいひ(たいひ)施設しせつ生物せいぶつ処理しょり施設しせつ効率こうりつてき処理しょりできます。このことから、従来じゅうらい廃棄はいきぶつ処理しょり方法ほうほう多様たようし、使用しようりょう減少げんしょうさせることが期待きたいされます。

なま分解ぶんかいせいプラスチックはとくにコンポスト(堆肥たいひ堆肥たいひつく容器ようき)などでの処理しょりてきしており、食品しょくひん廃棄はいきぶつ一緒いっしょ処理しょりし、その堆肥たいひとしてさい利用りようすることも可能かのうです。このことから、廃棄はいきぶつ総量そうりょう減少げんしょうし、資源しげん有効ゆうこう活用かつようにつながり、SDGs目標もくひょう12「つくる責任せきにん つかう責任せきにん」の達成たっせい貢献こうけんします。

目標12

4.なま分解ぶんかいせいプラスチックのデメリット・問題もんだいてん

なま分解ぶんかいせいプラスチックには前述ぜんじゅつしたようなメリットがありますが、用途ようと拡大かくだいできないデメリットと問題もんだいてんもあります。ここでは、とく重要じゅうようなデメリット・問題もんだいてんとしてみっ解説かいせつします。

(1)適切てきせつ分解ぶんかい環境かんきょう設定せってい

なま分解ぶんかいせいプラスチックは、自然しぜん環境かんきょうちゅう分解ぶんかいすることが最大さいだい特徴とくちょうですが、どこでも分解ぶんかいするのではなく、堆肥たいひ施設しせつなどの特定とくてい条件下じょうけんかでのみ効果こうかてき分解ぶんかいします。

たとえば、先述せんじゅつした代表だいひょうてきなま分解ぶんかいせいプラスチックのポリ乳酸にゅうさんは、高温こうおんこう湿度しつど条件じょうけんととのった施設しせつでなければ完全かんぜん分解ぶんかいされません。一般いっぱんてき家庭かていのコンポストや自然しぜん環境かんきょうでは、これらの条件じょうけんたされず、分解ぶんかいすすまないことがおおいのです。

このため、適切てきせつ処理しょりインフラが不足ふそくしている地域ちいきでは、なま分解ぶんかいせいプラスチックが従来じゅうらいのプラスチックと同様どうよう環境かんきょうちゅう長期間ちょうきかんのこ可能かのうせいがあり、最大さいだい特徴とくちょう分解ぶんかいせい十分じゅうぶん発揮はっきされないことになります。

(2)リサイクルシステムの課題かだい

従来じゅうらいのプラスチックは、さまざまなリサイクルシステムによって年々ねんねんリサイクルりつ向上こうじょうしてきています。しかし、なま分解ぶんかいせいプラスチックは、従来じゅうらいのプラスチックリサイクルシステムとはことなるリサイクルとなるため、回収かいしゅうさい混入こんにゅうしてしまうと問題もんだいとなります。

なま分解ぶんかいせいプラスチックが従来じゅうらいのプラスチックリサイクル工程こうてい混入こんにゅうすると、リサイクルされた製品せいひん品質ひんしつ低下ていかする可能かのうせいがあります。

たとえば、ポリ乳酸にゅうさんなま分解ぶんかいせいプラスチック)がPET(従来じゅうらいのプラスチック)のリサイクル過程かてい混入こんにゅうすると、リサイクルされたPETの物理ぶつりてき性質せいしつ強度きょうどなど)が悪化あっかし、目的もくてき用途ようととして使用しようできないことにもなります。

混入こんにゅうさせないようにリサイクル施設しせつでは、これらのプラスチックを正確せいかく分別ふんべつする必要ひつようがあり、そのための追加ついかコストや技術ぎじゅつてき課題かだい発生はっせいします。さらに、わたしたち消費しょうひしゃ正確せいかく分別ふんべつしない(できない)場合ばあい、リサイクルりつ低下ていかし、リサイクル可能かのう材料ざいりょう廃棄はいきされる可能かのうせいもあります。

(3)製造せいぞうコストと大量たいりょう生産せいさんなま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチックの場合ばあい

とくなま分解ぶんかいせいバイオマスプラスチックの原材料げんざいりょうであるバイオマスは、石油せきゆ由来ゆらいのプラスチック原料げんりょうくらべて高価こうかであり、製造せいぞうプロセスも複雑ふくざつでコストがかかります。これにより、なま分解ぶんかいせいプラスチックの価格かかくたかくなってしまうことがおおく、汎用はんようてき製品せいひんとして普及ふきゅうむずかしい場合ばあいがあります。

こうコストなため、とく価格かかく重要じゅうよう使つか製品せいひん包装ほうそうざい市場いちばでの導入どうにゅうすすまないことがあります。また、需要じゅよう急増きゅうぞうした場合ばあい生産せいさん能力のうりょくかぎられているため、供給きょうきゅういつかない問題もんだいしょうじる可能かのうせいもあります。

5.なま分解ぶんかいせいプラスチックの実用じつようれい企業きぎょう

現在げんざい多数たすう企業きぎょうなま分解ぶんかいせいプラスチックの普及ふきゅう目指めざして開発かいはつみがすすめられている。そのうち2しゃ事例じれいについて紹介しょうかいします。

なお、ここで紹介しょうかいする企業きぎょうみは、持続じぞく可能かのう開発かいはつ目標もくひょう(SDGs)の目標もくひょう12「つくる責任せきにん つかう責任せきにん」や目標もくひょう14「うみゆたかさをまもろう」に直結ちょっけつしています。

(1)三菱みつびしケミカル

三菱みつびしケミカルが開発かいはつしたなま分解ぶんかいせいプラスチック「BioPBS™」は、おもにポリブチレンサクシネート(PBS)をベースとしており、土壌どじょうちゅうみずとCO2に分解ぶんかいされます。

なま分解ぶんかいせいという特徴とくちょうわせながら、たかたい熱性ねっせいがあり、さらに繊維せんいなどとのあい溶性ようせい特徴とくちょうで、ほかの樹脂じゅし素材そざいとのふくごうざいとして性能せいのう発揮はっきします(参照さんしょう植物しょくぶつ由来ゆらいなま分解ぶんかいせい樹脂じゅし「BioPBS™」|三菱みつびしケミカル)。

(2)カネカ

カネカのなま分解ぶんかいせいプラスチックGreen Planet®は、植物しょくぶつ原料げんりょうとし、微生物びせいぶつ発酵はっこうにより生成せいせいされるバイオマスポリマーです。これは、土壌どじょう海水かいすいちゅう分解ぶんかいされ、最終さいしゅうてきみずとCO2になります。また、従来じゅうらいのプラスチックと同様どうよう機能きのうゆうしており、ストロー・カトラリー・ふくろなど多岐たきにわたる用途ようと使用しようされています。

カネカはGreen Planet®をつうじて環境かんきょう負荷ふか低減ていげんんでおり、自治体じちたい協力きょうりょくして廃油はいゆ回収かいしゅうからなま分解ぶんかいせいせいごみぶくろ製作せいさくなまごみの堆肥たいひまでの循環じゅんかんシステムを実証じっしょうしています。また、京都きょうと亀岡かめおかとのパートナーシップ協定きょうていつうじて、地域ちいき連携れんけいしながら環境かんきょうやさしい素材そざい普及ふきゅう推進すいしんしています(参照さんしょうカネカせい分解ぶんかいせいバイオポリマー Green Planet®でなぜ世界せかい健康けんこうになるの?|カネカ)。

6.プラスチックの将来しょうらいは?

ここまでなま分解ぶんかいせいプラスチックについて紹介しょうかいしましたが、みなさんはプラスチックはどのような将来しょうらいになると予想よそうするでしょうか。開発かいはつすすんで従来じゅうらいのプラスチックがすべてなま分解ぶんかいせいプラスチックにわることはあるでしょうか。

もちろん未来みらいけて環境かんきょう対策たいさくをする必要ひつようがありますが、すべてのプラスチックがなま分解ぶんかいせいわることはないとかんがえています。

現代げんだい社会しゃかいにおいてプラスチックを使つかわずに生活せいかつゆたかにすることは現実げんじつてきではありません。しかし、どのような用途ようとでプラスチックを使つかうのか、使用しようはどのようにリサイクルをすすめるのかについては、すべてのプラスチックにおいて世界せかいてきみが必要ひつようになります。

今回こんかい紹介しょうかいしたなま分解ぶんかいせいプラスチックは、2030ねんまでの目標もくひょうであるSDGsをすすめるうえでも重要じゅうよう材料ざいりょうであり、さらにその地球ちきゅう環境かんきょうまもじょう必要ひつよう不可欠ふかけつ材料ざいりょうひとつとなります。

編集へんしゅう協力きょうりょく スタジオユリグラフ・高橋たかはしじゅん

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