※記事などの内容は2018年6月12日掲載時のものです
日本国債の取引低迷に拍車がかかっている。11日の東京債券市場では、長期金利の指標となる10年物国債の取引が終日成立しなかった。日銀が大規模に国債を買い入れる金融緩和が長期化し、市場で出回る国債が減少していることが背景だ。
取引の不成立は今年に入り既に4度目。2017年は1年間でわずか2度だっただけに、大規模緩和の副作用が広がっている様子がうかがえる。
日銀は2%の物価目標の早期実現を目指しているが、4月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0.7%上昇と、伸び率は前月から0.2ポイント縮小。14日から始まる日銀金融政策決定会合でも、物価の伸び悩みが議論の中心になる見込み。金融政策の正常化には「なお距離がある」(黒田東彦総裁)という状況が続く。
日銀の国債保有残高は17年末で449兆円に拡大。国債発行残高(1092兆円)に占める割合も4割を超え、四半期ベースで過去最高を更新し続けている。日銀による国債の「独り占め」が続けば、「品薄状態が強まり、取引はさらに成立しにくくなる」(市場関係者)と懸念されている。