抄録
症例は43歳,男性.1985年に全結腸炎型の潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,サラゾピリン内服開始.以後約13年間にわたり緩解を維持していた.1998年7月に定期検査として行った注腸X線検査で,上行結腸から肝彎曲部にかけての嚢腫様気腫症(PCI)と診断した.他に原因はなくPCI発症にUCの関与が推定された.UCに合併したPCIは,最近12年間で9例の報告をみるのみであり,その病変部位は9例中8例が上行結腸近傍で,右側結腸が好発部であった.UCの活動性病変にPCIを認めることは少なく,従来推察されている腸管内圧亢進や粘膜脆弱化以外の成因が疑われる.