「隣家りんかの犬いぬの鳴なき声ごえや悪臭あくしゅうに困こまっています…」どこに相談そうだんすればよいのか？弁護士べんごしが解説かいせつ

　ペットの鳴なき声ごえや匂においなどが原因げんいんとなる近隣きんりんトラブルにおいて、飼かい主ぬしが充分じゅうぶんにペットの世話せわをできない状況じょうきょうだった場合ばあい、どのような解決かいけつ策さくがあるのだろうか。実際じっさいの法律ほうりつ相談そうだんに回答かいとうする形かたちで、弁護士べんごしの竹下たけした正ただし己おのれ氏しが解説かいせつする。

【質問しつもん】
　隣となりの家いえの人ひとは中型ちゅうがた犬けんと大型おおがた犬けんを合あわせて3匹ひき飼かっています。その隣人りんじんはここ1年ねんほど病気びょうきで入退院にゅうたいいんを繰くり返かえしているようで犬いぬの世話せわをすることができず、鳴なき声ごえや悪臭あくしゅうなどがひどくなり困こまっています。

　世話せわをすることができないなら犬いぬをなんとかしてもらいたいのですが、どこに相談そうだんしたらよいのでしょうか。（埼玉さいたま県けん・58才さい女性じょせい）

【回答かいとう】
　動物どうぶつ愛護あいご法ほうは、「飼育しいく動物どうぶつが人ひとの生命せいめい、身体しんたいもしくは財産ざいさんに害がいを加くわえ、生活せいかつ環境かんきょうの保全ほぜん上じょうの支障ししょうを生しょうじさせ、または人ひとに迷惑めいわくを及およぼすことのないように努つとめること」を飼かい主ぬしに求もとめています。加くわえて、環境省かんきょうしょうでも「犬いぬの所有しょゆう者しゃ等とうは、頻繁ひんぱんな鳴なき声ごえ等とうの騒音そうおんまたはふん尿にょうの放置ほうち等とうにより周辺しゅうへん地域ちいきの住民じゅうみんの日常にちじょう生活せいかつに著いちじるしい支障ししょうを及およぼすことのないように努つとめること」と、犬いぬの飼育しいく基準きじゅんを定さだめています。

　同どう法ほうにより都道府県とどうふけんの知事ちじは、飼育しいく動物どうぶつによる騒音そうおんまたは悪臭あくしゅうが発生はっせいして周囲しゅういの生活せいかつ環境かんきょうが損そこなわれている場合ばあい、飼かい主ぬしに指導しどうまたは助言じょげんをし、さらに必要ひつような措置そちを勧告かんこくし、勧告かんこくに従したがわないときはその措置そちを命令めいれいできます。また、飼育しいくが不充分ふじゅうぶんで動物どうぶつが衰弱すいじゃくする等ひとしの虐待ぎゃくたいを受うけるおそれがある場合ばあいは、動物どうぶつ愛護あいごの観点かんてんから必要ひつような措置そちを命めいじたり、勧告かんこくすることができます。

　ご質問しつもんでは両方りょうほうのケースにあてはまる可能かのう性せいがありますが、知事ちじに対応たいおうしてもらうには、前者ぜんしゃ（周囲しゅういへの迷惑めいわく）のケースだと、騒音そうおんまたは悪臭あくしゅうの発生はっせい等とうが周辺しゅうへん住民じゅうみんの日常にちじょう生活せいかつに著いちじるしい支障ししょうを及およぼし、そのことが複数ふくすうの住民じゅうみんから知事ちじ宛あての苦情くじょうの申出もうしで等とうによって、周辺しゅうへん住民じゅうみん共通きょうつうの認識にんしきとなっていると認みとめられるなど特別とくべつの場合ばあいであることが必要ひつようです。