阪神はんしん高橋たかはし聡さとし文ぶん投手とうしゅ（36）が25日にち、兵庫ひょうご・西宮にしのみや市内しないの球団きゅうだん事務所じむしょで現役げんえき引退いんたいを表明ひょうめいした。

中日ちゅうにち、阪神はんしんで中継なかつぎに徹てっし、通算つうさん531試合しあい登板とうばん。「30年ねんずっと野球やきゅうをやってきた。辞やめると言いうのは怖こわかった。決きめたら楽らくになりました」と晴はれやかな表情ひょうじょうで振ふり返かえった。

18年ねん目めの今季こんきは左肩ひだりかたの不安ふあんもあり1軍ぐん登板とうばんなし。鳴尾浜なるおはまで若わか虎とらのギラついた姿勢しせいを目めにする度たびに悟さとった。「生いき生いきした目め、若々わかわかしさがうらやましかった。自分じぶんはそういうものが足たりなくなっていた」。両親りょうしんや藤川ふじかわ、中日ちゅうにち山井やまいにも相談そうだん。最後さいごは「冷静れいせいに考かんがえて体からだが限界げんかい」とボールを置おく決断けつだんを下くだした。

中日ちゅうにち時代じだいの10年ねんには63試合しあいに登板とうばんし、浅尾あさおとのセットアッパーコンビでリーグ優勝ゆうしょうに導みちびいた。15年ねんオフに阪神はんしん移籍いせき後ごも16、17年ねんに2年ねん連続れんぞくで50試合しあい登板とうばん。先発せんぱつ登板とうばんは1度どもなかったが「僕ぼくは荒あれたマウンドでいい」と照てれ笑わらい。「中継なかつぎはおもしろさがすごくあった。何なに十じゅう時じ間あいだ練習れんしゅうしてたった1球きゅうしかない時ときもあるけど、それでも人ひとを感動かんどうさせられる」と胸むねを張はった。

野球やきゅうは「自分じぶんの人生じんせいそのもの」だった。「朝あさ起おきて今日きょうは肩かた大丈夫だいじょうぶかな、夜よる寝ねる時ときに肩かた大丈夫だいじょうぶかな、と。野球やきゅうがすべてだった。野球やきゅうを取とったらどうなるのか楽たのしみです」。今後こんごは未定みてい。まずは酷使こくしした体からだを休やすませる。【佐井さい陽介ようすけ】

 

◆高橋たかはし聡さとし文ぶん（たかはし・あきふみ）1983年ねん（昭あきら58）5月がつ29日にち、福井ふくい県けん生うまれ。富山とやま・高岡たかおか第だい一いちから01年ねんドラフト8巡じゅん目めで中日ちゅうにち入団にゅうだん。10年ねんは自己じこ最多さいた63試合しあいに登板とうばんし優勝ゆうしょうに貢献こうけん。15年ねんオフに阪神はんしんにFA移籍いせき。176センチ、87キロ。左ひだり投なげ左ひだり打うち。