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新しん日本にっぽんの鬼おに軍曹ぐんそう、山本やまもと小しょう鉄てつさん突然とつぜん死し

［2010年ねん8月がつ30日にち9時じ16分ふん　紙面しめんから］

　元もとプロレスラーで、鬼おにコーチとして数々かずかずのトップ選手せんしゅを育そだてた新しん日本にっぽんプロレス顧問こもんの山本やまもと小しょう鉄てつさん（本名ほんみょう山本やまもと勝まさる）が２８日にち午前ごぜん６時じ４２分ふん、低てい酸さん素性すじょう脳症のうしょうで死去しきょした。６８歳さいだった。静養せいよう先さきの長野ながの・軽井沢かるいざわ町まちでのどに異変いへんを訴うったえて２４日にちに入院にゅういん。２８日にち早朝そうちょうに呼吸こきゅう困難こんなんを起おこして心肺しんぱい停止ていし状態じょうたいとなり、息いきを引ひき取とった。山本やまもとさんはアントニオ猪木いのき（６７）とともに１９７２年ねん（昭和しょうわ４７）に新しん日本にっぽんプロレス旗揚はたあげに参加さんか。引退いんたい後ごは「鬼おに軍曹ぐんそう」と呼よばれる熱血ねっけつ指導しどうで、前田まえだ日明ひあがり、武藤むとう敬たかし司つかさどら名めい選手せんしゅを育そだてた。通夜つや・告別こくべつ式しきは親族しんぞく、関係かんけい者しゃのみで行おこなわれる。喪主もしゅは妻つまミツ子みつこさん。

　あまりにも突然とつぜんの訃報ふほう（ふほう）だった。山本やまもとさんは２８日にち朝あさ、呼吸こきゅう困難こんなんに陥おちいった。医師いしも処置しょちを施ほどこせぬまま、同どう午前ごぜん６時じ４２分ふん、低てい酸さん素性すじょう脳症のうしょうのため死去しきょした。関係かんけい者しゃによると、亡なくなる４日にち前まえの２４日にちにのどに異常いじょうを訴うったえ、入院にゅういんしたという。特とくに問題もんだいは見みつからなかったが、体からだに何なんらかの異変いへんが起おきていた可能かのう性せいが高たかい。

　直前ちょくぜんまで元気げんきいっぱいだった。２週間しゅうかん前まえの新しん日本にっぽんのＧ１じーわんクライマックスの打うち上あげでは、生なまビールをジョッキ１０杯はいも飲のみ干ほしていたという。先週せんしゅうも新日本しんにほんの道場どうじょうで４０キロのバーベルを両手りょうてに持もち、若手わかてとともに汗あせを流ながしていた。５キロの散歩さんぽが日課にっかで、激はげしいトレーニングも欠かかしたことはなかった。引退いんたいから３０年ねんたった現在げんざいも、現役げんえき時代じだいと変かわらない張はりのある体からだを維持いじしていた。年としに７０～８０回かいこなす講演こうえんの日ひは、「体からだを見みせて元気げんきづけるんだ」と、朝あさは必かならず新しん日本にっぽん道場どうじょうに向むかった。

　死しの予兆よちょうは見当みあたらなかったが、新しん日本にっぽん道場どうじょう管理人かんりにんの小林こばやし邦明くにあき氏しは先週せんしゅう会あったとき、ある不安ふあんを抱だいていた。１１３キロほどの体重たいじゅうのある山本やまもとさんの太ふとりすぎが気きになり「２０キロくらい落おとした方ほうがいいですよ」と減量げんりょうを勧すすめた。山本やまもとさんは「死しんだら死しんだときだよ。ははは」と豪快ごうかいに笑わらい飛とばしたという。小林こばやし氏しは「『これから軽井沢かるいざわに行いくんだ。楽たのしみだよ』とうれしそうに話はなしていた。やっぱり少すこしやせてほしかった。それが残念ざんねんでならない」と悔くやんだ。

　力道山りきどうざん最後さいごの弟子でしで、日本にっぽんプロレス時代じだいは、星野ほしの勘太郎かんたろうとタッグチーム「ヤマハ・ブラザーズ」で活躍かつやくしたが、華はなのあるタイプではなかった。７２年ねんの新しん日本にっぽん旗揚はたあげ参加さんか後ごは、年下とししたの猪木いのきを縁えんの下したから支ささえた。１７０センチと小柄こがらな体からだをカバーするため、人ひとの倍ばい以上いじょうのトレーニングで体からだを膨ふくらませた。前座ぜんざを黙々もくもくとこなし、若手わかてを育そだてるという、自分じぶんの役目やくめに徹てっした。

　注目ちゅうもくを浴あびたのは、マット上じょうより、道場どうじょうでの「鬼おに軍曹ぐんそう」ぶりだった。現役げんえき時代じだいから鬼おにコーチとして、前田まえだ日明ひあがり、藤原ふじわら喜明よしあき、高田たかだ延のべ彦、船木ふなき誠まこと勝かちら若手わかてを鍛きたえ上あげた。２０００回かい以上いじょうのスクワットを命めいじられた選手せんしゅの下したには汗あせの水みずたまりができたという。かつて「４時じ間あいだかけてスクワット７０００回かいしたこともある。自分じぶんがやってきたから、人ひとにも厳きびしくできる」と話はなしたことがある。厳きびしい指導しどうがトップ選手せんしゅを育そだて、新しん日本にっぽん黄金おうごん期きの礎いしずえになった。