(セ・リーグ、DeNA3ー4阪神、6回戦、阪神3勝2敗1分、10日、横浜)現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(76)がプロ初の「5番」で1安打1打点の阪神・井上広大外野手(22)を高く評価した。
昇格させた井上を5番に据えたのは、岡田監督らしい。状態の良さを把握した上で、湿りがちの打線の流れを劇的に変えたい意図があったはずで井上も応えた。目を引いたのが、ノーステップにした打撃フォーム。試行錯誤の末だろうが、体を大きく動かさないことで、打撃に粘りが出てきた。過去に1軍昇格してきた時より、タイミングがスムーズに取れていた。捕手目線で「打ち取りにくい打者」になっている。六回の三塁強襲のタイムリーは、完ぺきに捉えて、打球スピードも速かった。二回の中飛も悪くない当たりだった。
こうなると、森下、ノイジーもノンビリしていられない。ノイジーは決勝打を含む2安打で意地を見せていた。岡田監督としては、思い描いた通りの展開ではないか。今後はこの3人が2つのポジションを争うことになるが、5番で結果を出した以上、井上は積極的にスタメン起用してもらいたい。ただ、あの粘りの打撃は代打でも面白いだろう。頼もしい戦力が加わったという印象だ。