教員きょういんわいせつ事件じけんで「傍聴ぼうちょうブロック」…横浜よこはま市し教委きょういが裁判所さいばんしょを職員しょくいんで満席まんせきに　工作こうさく隠かくしも指示しじ　旅費りょひまで支給しきゅう

2024年ねん5月がつ21日にち 21時じ49分ふん

　横浜よこはま市し教育きょういく委員いいん会かいは21日にち、2019年度ねんどから今年ことし4月がつにかけて横浜よこはま地裁ちさいで公判こうはんがあった教員きょういんによるわいせつ事件じけんで、多数たすうの職員しょくいんを動員どういんして法廷ほうていの傍聴ぼうちょう席せきに行いかせ、一般いっぱんの人ひとが傍聴ぼうちょうできないようにしていたと発表はっぴょうした。村上むらかみ謙介けんすけ教職員きょうしょくいん人事じんじ部長ぶちょうは記者きしゃ会見かいけんし、プライバシー保護ほごを求もとめる被害ひがい児童じどう・生徒せいと側がわの要請ようせいを受うけた対応たいおうで「教員きょういんを保護ほごしようという意図いとはない」と釈明しゃくめいし、「行いき過すぎだった。一般いっぱんの方ほうの傍聴ぼうちょうの機会きかいが損そこなわれたことについて、大変たいへん申もうし訳わけなく思おもう」と謝罪しゃざいした。（神谷かみや円香まどか）

◆「関係かんけい者しゃが集団しゅうだんで来きたと分わからないよう、待まち合あわせは避さけて」

記者きしゃ会見かいけんで謝罪しゃざいする横浜よこはま市し教委きょういの村上むらかみ部長ぶちょう（左ひだり）ら

　職員しょくいんを動員どういんしたのは、強制きょうせいわいせつ罪ざいに問とわれた小学校しょうがっこう校長こうちょうの他ほか、教員きょういんが被告ひこくとなった計けい4事件じけんの公判こうはん。

　地裁ちさいでは注目ちゅうもく事件じけんを除のぞく多おおくの裁判さいばんの傍聴ぼうちょうが、抽選ちゅうせんではなく先着せんちゃく順じゅんで、立たち見みは認みとめられていない。

　市し教委きょういによると、職員しょくいんの動員どういんは19年度ねんどに3回かい、昨年さくねん12月がつ～今年ことし4月がつに8回かいの計けい11回かい。4カ所かしょある学校がっこう教育きょういく事務所じむしょや人事じんじ担当たんとう部署ぶしょなどから毎回まいかい、傍聴ぼうちょう席せきを埋うめられるよう最大さいだい50人にんを業務ぎょうむとして出張しゅっちょうさせていた。19年度ねんどは延のべ125人にんに命めいじ、昨年さくねん12月がつ以降いこうは延のべ371人にんが地裁ちさいに赴おもむいた。旅費りょひを支給しきゅうする場合ばあいもあった。

　動員どういんが始はじまったきっかけは、19年度ねんどの公判こうはんで被害ひがい者しゃの保護ほご者しゃが一般いっぱん傍聴ぼうちょう者しゃに事件じけんの内容ないようを知しられるのを望のぞまなかったことだと説明せつめい。意向いこうを踏ふまえ、当時とうじの鯉渕こいぶち信也しんや教育きょういく長ちょうとも相談そうだんした上うえで、職員しょくいんが傍聴ぼうちょう席せきを埋うめる方針ほうしんを決きめた。市し教委きょういは、他たの3件けんも保護ほご者しゃの要望ようぼうに基もとづく対応たいおうと主張しゅちょうした。

　職員しょくいんに出張しゅっちょうを命めいじる文書ぶんしょでは、注意ちゅうい事項じこうとして「関係かんけい者しゃが集団しゅうだんで来きたことが分わからないよう、裁判所さいばんしょ前まえでの待まち合あわせは避さけて」などと要請ようせいしていた。市し教委きょういは「市しの事案じあんだと悟さとられないようにというのはあった」と認みとめた。

　今月こんげつ7日にちに外部がいぶから職員しょくいん動員どういんに関かんする問とい合あわせがあったことを受うけ、市し教委きょういは今後こんごの対応たいおうを協議きょうぎ。関係かんけい部署ぶしょに20日はつか、今後こんごは実施じっししないことを通知つうちした。

　4件けんはいずれも市内しないの児童じどう・生徒せいとが被害ひがい者しゃ。3件けんは教員きょういんが懲戒ちょうかい免職めんしょくとなり、もう1件けんも実刑じっけいを受うけて既すでに失職しっしょくしている。

横浜よこはま市し教委きょういが職員しょくいんに通達つうたつした文書ぶんしょには、傍聴ぼうちょうの注意ちゅうい事項じこうなどが細こまかく記しるされていた

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◆江川えがわ紹子さん「公開こうかいの原則げんそくゆがめ大おおきな問題もんだい」

　ジャーナリスト・江川えがわ紹子さんの話はなし　憲法けんぽうで保障ほしょうされている裁判さいばん公開こうかいの原則げんそくをゆがめており、大おおきな問題もんだい。公開こうかいされることで手続てつづきが公正こうせいかチェックできるほか、国民こくみんの知しる権利けんりにつながる。教育きょういく現場げんばでの性せい犯罪はんざいをどう防ふせぐかは大おおきな関心事かんしんじになっており、裁判さいばんは事件じけんの概要がいようや原因げんいんを知しることで再発さいはつ防止ぼうしを考かんがえるための場ばでもある。

　被害ひがい者しゃ保護ほごには裁判所さいばんしょも検察庁けんさつちょうも神経しんけいを使つかっており、被告人ひこくにんの名前なまえすら隠かくすケースもある。被害ひがい者しゃの家族かぞくからプライバシー保護ほごの要望ようぼうがあれば、検察庁けんさつちょうへの相談そうだんを促うながすのが市し教委きょういの適切てきせつな対応たいおう。なぜ動員どういんを始はじめたのか、第三者だいさんしゃが検証けんしょうする必要ひつようがある。