第だい286回かい：極上ごくじょうの卵たまごかけご飯めし定食ていしょく 【カーマニア人間にんげん国宝こくほうへの道みち】

上質じょうしつで落おち着つきがあって心地ここちいい

やっと新型しんがた「アコード」に試乗しじょうできました。

私わたしは2023年ねん10月がつ、『いよいよ“セダンの時代じだい”がやってくる!?　2024年ねん春はる発売はつばいの新型しんがた「ホンダ・アコード」に注目ちゅうもくせよ！』（参照さんしょう）なる記事きじを書かき、アコードの発売はつばいを心待こころまちにしていた。

アコードは今年ことし3月がつから国内こくない販売はんばいが始はじまり、5月にはさっそく416台だいという驚異きょうい的てきな売うれ行ゆきを見みせて、販売はんばいランキング49位いに食くい込こんだ。前年ぜんねん同月どうげつ比ひなんと1600％！ ディーラー向むけの試乗しじょう車しゃや展示てんじ車しゃも入はいっているんでしょうけど、アコード、思おもったより売うれるんじゃないだろうか（希望きぼう的てき観測かんそく）……。

実物じつぶつのアコードは、写真しゃしんよりさらにカッコよかった。奇跡きせき的てきなカッコよさといってもいい。セダンなのに、ものすごく自然体しぜんたいにカッコいいからである。

近年きんねんセダンは全ぜん世界せかいで売うれ行ゆきが鈍化どんかし、特殊とくしゅ化かと高級こうきゅう化かが進すすんでいる。特殊とくしゅで高級こうきゅうなので、見みた目めはつい派手はでになる。

ところがアコードは、どこにも派手はでさがない。ものすごくスタンダードで定番ていばんっぽいのに、ものすごくカッコいいのだ。ファストバックスタイルを採用さいようしている点てんは今いまどきっぽいけれど、それ以外いがいはウルトラオーソドックス。特とくに顔かおのオーソドックスさに涙なみだが出でる。今いまどきこんなけれん味あじのない、卵たまごかけごはん定食ていしょくみたいな顔かおのセダンって、世界中せかいじゅう探さがしてもないっしょ？　だから逆ぎゃくにすごく響ひびくんだよね……。

インテリアがまた極上ごくじょうの卵たまごかけごはん定食ていしょく。これ見みよがしにゴージャスな部分ぶぶんは見当みあたらないけど、全体ぜんたいに上質じょうしつで落おち着つきがあって心地ここちいい。

2023年ねん10月がつに登場とうじょうしてからずっと気きになっていた新型しんがた「ホンダ・アコード」にやっと試乗しじょうできた。ばんざい！ 実物じつぶつのアコードは、写真しゃしんよりさらにカッコよかった。

拡大かくだい

「アコード」は、どこにも派手はでさがない。ものすごくスタンダードで定番ていばんっぽいのに、ものすごくカッコいい。特とくに顔かおのオーソドックスさに涙なみだが出でる。

拡大かくだい

11代目だいめとなった「アコード」のリアビュー。ファストバックスタイルを採用さいようしている点てんは今いまどきっぽいが、それ以外いがいはウルトラオーソドックス。

拡大かくだい

水平すいへい基調きちょうのインテリアは、とてもシンプル。これみよがしにゴージャスな部分ぶぶんは見当みあたらないけれど、全体ぜんたいに上質じょうしつで落おち着つきがあって心地ここちいい。

拡大かくだい

F1サウンドがよりクリアに聞きこえる

アコードのスタイリングは、現在げんざいの私わたしの愛車あいしゃ“ちょいワル特急とっきゅう”こと「プジョー508」にかなり近ちかい。実際じっさい横よこに並ならべてみたら、全長ぜんちょうが多少たしょう違ちがう以外いがい、フォルムはクリソツだった。

ただ、細部さいぶは異ことなる。508は顔かおの頰ひげ（デイライムランニングランプ）やサイドの掘ほり込こみなど、今いまどきっぽいスタイリッシュなアクセントがちりばめられているが、アコードにそういうものはない。グリルは踏ふん張ばりの効きいた六角形ろっかっけいで、ヘッドランプはシャープなつり目め。サイドには水平すいへいのラインが1本ほんだけ。それらはすべてシンプルな直線ちょくせん基調きちょうで、これ見みよがしな意匠いしょうはゼロだ。斜ななめ後うしろから見みると、一いち世代せだい前まえのアウディの「スポーツバック」系けいに近ちかいけれど、もっとすがすがしい。この誰だれの反感はんかんも買かわないカッコ良よさが、カーマニアの心しんを打うつ。

「いや～、カッコいいなーアコード」

そうつぶやきながら首都高しゅとこうに出撃しゅつげきした。

パワートレインは大好だいすきな「シビックe：HEV」とほぼ同おなじだが、モーターが多少たしょうトルクアップしているので、重量じゅうりょう増加ぞうかをちょうど相殺そうさいし、気持きもちよく加速かそくする。アクセルを深ふかめに踏ふみ込こめば、お約束やくそくのホンダF1サウンドがさく裂れつ！ シビックより静粛せいしゅく性せいが高たかいので、F1サウンドがよりクリアに聞きこえるぜ……。涙なみだ。スポーツモードにすると、エンブレ（回生かいせいブレーキ）がEVっぽく強つよめになってラクチン。ノーマルモードではパドル操作そうさで同おなじことができる。気持きもちイイ～！

足あしまわりの感触かんしょくもイイ。特とくに乗のり心地ごこちがいいわけでもなく、特とくにスポーティーなわけでもないが、ひたすら自然しぜんにイイ。コーナリングで車両しゃりょうの挙動きょどうをコントロールする「モーションマネジメントシステム」が導入どうにゅうされているというが、全然ぜんぜん自然しぜんで効果こうかはサッパリわからない。さすが卵たまごかけご飯めし定食ていしょく。

新型しんがた「アコード」（写真しゃしん右みぎ）をわが愛車あいしゃ“ちょいワル特急とっきゅう”こと2019年ねん式しきの「プジョー508 GT BlueHDi」（同左どうさ）と比くらべてみた。508はデイライムランニングランプやサイドの掘ほり込こみなど、今いまどきっぽいデザインがちりばめられているが、アコードにそういうものはない。

拡大かくだい

「ホンダ・アコード」（写真しゃしん手前てまえ）と「プジョー508」（写真しゃしん奥おく）。全長ぜんちょうが多少たしょう違ちがうこと以外いがい、フォルムはクリソツである。斜ななめ後うしろから見みると、一いち世代せだい前まえぐらいのアウディの「スポーツバック」系けいに近ちかいが、アコードはシンプルでもっとすがすがしいデザインに感かんじる。

拡大かくだい

首都高しゅとこうを中心ちゅうしんに「アコード」に試乗しじょう。パワートレインは大好だいすきな「シビックe：HEV」とほぼ同おなじハイブリッドだが、モーターが多少たしょうトルクアップしているのでボディーが大おおきく重おもくなっていても、気持きもちよく加速かそくする。エンブレ（回生かいせいブレーキ）がEVっぽく強つよめに利きいてラクチンだ。

拡大かくだい

2リッター直じき4直ちょく噴エンジン（最高さいこう出力しゅつりょく147PS、最大さいだいトルク182N・m）と新しん開発かいはつの高こう出力しゅつりょくモーター（同どう184PS、同どう335N・m）を組くみ合あわせた2モーター式しきハイブリッドパワートレインを搭載とうさい。

拡大かくだい

次つぎはアコードを迎むかえ入いれよう！

ふと見みれば、前まえを走はしるのはモテないカーマニアカー「GRヤリス」だ。アコードとはまるっきり共通きょうつう点てんのないクルマだけど、不思議ふしぎな共感きょうかんを覚おぼえる。それはつまり「あなたも私わたしもカーマニア！」という共感きょうかんだ。アコードは、北米ほくべいでは最もっとも中庸ちゅうようで平凡へいぼんなセダンなんだろうけど、ここ日本にっぽんでは、間違まちがいなくカーマニア御用達ごようたしだから！

逆ぎゃくに、ドイツ御三家ごさんけのセダン系けいに対たいしては、微妙びみょうな優越ゆうえつ感かんを覚おぼえる。それはつまり「あなたは一般いっぱんピープル、私わたしはカーマニア」という優越ゆうえつ感かんだ。ドイツ御三家ごさんけの良よさなんて誰だれだって知しっているけど、アコードの良よさを知しっているのはカーマニアだけ。値段ねだんは向むこうのほうが高たかいんだろうけど、「ムダ金きん使つかってらぁ」って感かんじだぜ！

いつの間まにか私わたしのココロは、アコードと一体化いったいかしていた。私わたし＝アコード。そんな感かんじだ。ひょっとしてこのクルマ、自分じぶんのためにつくられたのではないだろうか。

首都高しゅとこうを気持きもちよく流ながして、一部いちぶアクセル全開ぜんかいも試ためして、燃費ねんぴ計けいの数値すうちは19.7km/リッターと出でた。スバラシイ。先日せんじつ試乗しじょうして感動かんどうしたスイフト（18.6km/リッター）に勝かった！ 低てい燃費ねんぴが大好だいすきな私わたしのどストライクである。

心しんは決きまった。次つぎの愛車あいしゃ候補こうほはアコードだ。プジョー508には一生いっしょう乗のるつもりだけど、私わたしより先さきに508が逝いった場合ばあいはアコードを迎むかえよう。決心けっしんするだけならタダだから！

（文ぶんと写真しゃしん＝清水しみず草くさ一いち／編集へんしゅう＝櫻井さくらい健一けんいち）

踏ふん張ばりの効きいた六角形ろっかっけいのグリルが目めを引ひく新型しんがた「アコード」（写真しゃしん右みぎ）は、ハイブリッド車しゃ「アコードe：HEV」のモノグレード展開てんかい。車両しゃりょう本体ほんたい価格かかくは544万まん9400円えんである。対たいする「プジョー508 GT BlueHDi」（同左どうさ）の新車しんしゃ価格かかくは、2023年ねんの時点じてんで634万まん2000円えんであった。

拡大かくだい

新型しんがた「アコード」のサイドには水平すいへいのラインが1本ほんだけ入はいっている。顔かおもリアもシンプルな直線ちょくせん基調きちょうで、インテリアと同様どうようにこちらもこれ見みよがしな意匠いしょうはゼロだ。この誰だれの反感はんかんも買かわないカッコ良よさが、カーマニアの心しんを打うつ。

拡大かくだい

今回こんかい、「アコード」で首都高しゅとこうを気持きもちよく流ながし、一部いちぶアクセル全開ぜんかいも試ためしたりして、燃費ねんぴ計けいの数値すうちは19.7km/リッター！ なんと先日せんじつ試乗しじょうして感動かんどうした「スズキ・スイフト」がたたき出だした18.6km/リッターに勝かった！ すごいぞアコード、すごいぞホンダの「e：HEV」！

拡大かくだい